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富士山の開山、見通せず 山小屋で「3密」対策困難

(2020/4/25 07:48)

 新型コロナウイルス感染拡大で、今夏の富士山の開山が危ぶまれる事態になっている。国内外の多くの登山者が宿泊や休息に利用し、夜通し登る「弾丸登山」の防止で欠かせない役割を果たす山小屋で、感染リスクの高い「3密」の対策が困難だからだ。例年なら一部の山小屋は営業を始める時期だが、ことしは見通しが立たない。感染状況の推移によっては、登山道を管理する県は難しい判断を迫られることになる。
 県は22日、御殿場口、須走口の県道2ルートの冬季閉鎖解除を当面、延期した。都道府県をまたいだ不要不急の移動による感染拡大を阻止するためで、今夏の開山見通しについて富士山世界遺産課は「検討中。(山小屋の)組合の考えを聞いてから判断する」としている。
 「営業したくても、できる状況じゃない。新型コロナが終息すればすぐにでも営業したい」。いつもは大型連休前に営業を始める須走口5合目の山小屋菊屋。経営者で須走山内組合の渡辺昇組合長(70)は表情を曇らせた。5合目周辺はハイキングコースなどがあり、大型連休からにぎわいを見せる。営業の見送りは1年分の商売の機会を失うことになり「安易に結論が出せない」。緊急事態宣言延長の有無などを見極め、組合員らと対応を相談するという。
 須走口の別の山小屋経営者の男性は「山小屋で感染防止策は困難だ。終息しなければ営業できない」とみる。例年4月に始める予約の受け付けを見合わせている。富士山表富士宮口登山組合の渡辺尚俊組合長(55)は「営業できるか分からず従業員を集められない。組合の会議も開きにくい」と頭を抱える。
 山小屋は山岳遭難事故など緊急時の対応拠点の側面もあり、須走口5合目の東富士山荘を営む米山千晴さん(69)は小屋周辺の雪かきを始めた。「登山道が開くなら営業しないといけない」と思案するのは御殿場口山内組合の福島邦彦組合長(68)。準備を始める6月上旬までに方向性を示すよう、県に求めている。

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