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消えゆく冬の風物詩「こも巻き」 静岡県内、松の名所で取りやめ

(2019/12/8 08:35)
静岡県内で姿を消しつつあるこも巻き。「何とか残したい」と、こもの状態を確認する加々見勝八郎会長=6日、三島市川原ケ谷
静岡県内で姿を消しつつあるこも巻き。「何とか残したい」と、こもの状態を確認する加々見勝八郎会長=6日、三島市川原ケ谷

 松の幹にわらで編んだこもを巻く「こも巻き」。冬の風物詩として知られる光景が、静岡県内で姿を消しつつある。専門家でも見解が分かれるが、害虫駆除の効果が少ないなどとして実施を取りやめる地域が出てきている。ただ、「季節の変わり目を実感する機会になる」との声から継続している地域もある。
 こも巻きは暖かい枯れ葉の中などで越冬する害虫「マツカレハ」の幼虫をこもの内部におびき寄せる駆除方法。立冬のころにこもを巻き、啓蟄(けいちつ)のころに外して焼却する。
 沼津市の沼津御用邸記念公園では、ことしから園内の松のこも巻きを中止した。30年ほど前から園内の松約100本に実施してきた愛鷹山森林組合によると、害虫駆除の効果は少なく、クモなどの益虫も一緒に駆除してしまうことから中止したという。かつては浜松市でも同市西区舞阪町の旧東海道松並木などで行っていたが、同じ理由で取りやめている。
 園内に数百本の松がある浜松市のはままつフラワーパークの園芸担当職員は「マツカレハより、マツクイムシが媒介して松を枯らす線虫の被害が目立つ。こも巻きでは松の中に寄生する線虫への対策として効果がない」と話す。同園では薬剤を幹に注入するなど線虫の対策を行っているという。
 一方、三島市では三島環境緑化研究会が40年以上にわたってこも巻きを継続している。加々見勝八郎会長(77)は「マツカレハの幼虫が多く捕れる年もあり、必要性は感じる。中止する場所が多いのはこもの価格が上がっていることも関係しているのでは」と分析する。冬を告げるこも巻きから、季節を実感するという地域住民も多く、継続の背中を押しているという。
 松の名所、静岡市の三保松原などでもこも巻きは行われておらず、“腹巻き”をした松の姿を見られる場所は少なくなっている。加々見会長は「実施場所が減る中、伝統を守る必要性は増している。可能な限り続けたい」と語った。

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