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海中画像を解析 AIがサクラエビ個体判別

(2019/12/6 17:06)
点を打ってサクラエビを囲み、AIに認識させている(静岡産業技術専門学校提供)
点を打ってサクラエビを囲み、AIに認識させている(静岡産業技術専門学校提供)
AIの開発を行う右から平井賢治さん、三輪玄太さん=11月下旬、静岡市葵区の静岡産業技術専門学校
AIの開発を行う右から平井賢治さん、三輪玄太さん=11月下旬、静岡市葵区の静岡産業技術専門学校

 静岡市葵区の静岡産業技術専門学校みらい情報科4年の三輪玄太さん(22)と平井賢治さん(22)が、海中で撮影した画像からサクラエビを判別する人工知能(AI)の開発に取り組んでいる。漁獲に適した体長35ミリ以上の個体数や、産卵間近のエビ「アタマグロ」といった、漁に影響するデータの瞬時の解析を目指す。2人は「漁に貢献できるレベルにまで精度を上げたい」と意気込む。
 不漁に直面している駿河湾産サクラエビの生態調査を行う市の「由比サクラエビプロジェクト」の一環。2人は6月ごろから、同市清水区の蒲原沖などの海底付近でとらえた映像の切り出し画像からサクラエビに印を付け、AIに形状を“学習”させてきた。野鳥を数えたり、車と人を判別したりするAIの開発事例があるが、海洋生物の判別は前例がないという。画像にはマリンスノウ(海中懸濁物)が多く、暗さから遠近感をつかみにくいため、小さなオキアミがサクラエビに見えることもあり「試行錯誤の連続だった」(三輪さん)。
 当初、最大の特徴の長いヒゲに着目し、サクラエビの体に沿って点を打ちAIに読ませたが識別精度は向上しなかった。入り乱れた群れの画像だとAIの精度が下がることも判明。そこで一匹のみの画像を切り出し、オキアミやタチウオなど付近を泳ぐ生物も抽出して「その他」と学習させたところ、精度は飛躍的に上がった。
 同学科の塩崎雅基教諭は「失敗を地道に検証して打開策を見立て、成功につなげてきた」とねぎらう。
 AIの“学習”に適した画像を突き止めたため、反転させるなどして1万種類に増やし、サクラエビをさまざまな角度から読ませることで「形状は理解できた段階」と平井さん。今後、重要データである体長を自動測定する技術の開発に挑戦する。プロジェクトを実施する同市産業クラスター協議会は「通常なら何時間もの映像を目視で確認する。高速で高精度な解析ができるAIの意義は大きい」と期待する。
 駿河湾産サクラエビは秋漁期中だが、水揚げ量は低迷し、資源状況も改善していない。2人は「復活につながる画像解析の実現に向けて頑張りたい」と意気込む。

 <メモ>由比サクラエビプロジェクト 駿河湾産サクラエビの記録的不漁を受け、産学官による静岡市海洋産業クラスター協議会が同プロジェクトを発足。サクラエビの海中撮影と画像解析を通じて、十分解明されていない生態や資源量の把握を目指す。顔触れは静岡産業技術専門学校のほか東海大、静岡県水産技術研究所、富士通ソフトウェアテクノロジーズ、小糸製作所、由比港漁協。同校の学生らは富士通ソフトウェアテクノロジーズから定期的に助言を受けながら開発を進めている。

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