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国内最古級ツバキ「太郎冠者」枯死の危機 御殿場移植3年半

(2019/12/2 17:32)
枝が1本だけになった太郎冠者。試練の冬を迎える=11月下旬、御殿場市の東山旧岸邸
枝が1本だけになった太郎冠者。試練の冬を迎える=11月下旬、御殿場市の東山旧岸邸
愛らしい花を咲かせる太郎冠者=2017年3月(御殿場市提供)
愛らしい花を咲かせる太郎冠者=2017年3月(御殿場市提供)

 推定樹齢400年、国内最古級とされる御殿場市のツバキ「太郎冠者(タロウカジャ)」が枯死の危機にひんしている。新東名高速道建設に伴い2016年3月に東山旧岸邸に移植された後も花を咲かせてきたが、近年の極端な気象が悪影響を及ぼしたとみられる。「(再生のため)できることは全てやった。元気になるのを願うばかり」と市の担当者。岸信介元首相にも愛された名木は試練の冬を迎える。
 樹高約8メートル、幹回り約1・8メートルの太郎冠者は例年12月から4月ごろに愛らしいピンクの花を咲かせる。市の景観重要樹木で、日本ツバキ協会により優秀古木ツバキに認定されている。
 初めて異常が確認されたのは18年8月、虫による食害が発生した。殺虫剤を散布し、その冬は開花。だが、19年5月ごろに葉が落ち始め専門家から「弱っている」と指摘を受けた。原因は定かでなく、18年の夏の猛暑と19年の春先の寒波の影響とみられる。
 市は複数の造園業者の助言を取り入れながら、あらゆる手段を講じた。根の周囲の土を掘り返して軟らかくし、周囲に土の土手を作り補水を促した。実から生えた根を木の根につなぐ特殊な根継ぎを試みた。温度変化から守るため周囲を寒冷紗で囲い、根元に栄養が集中するよう枝は1本残して伐採した。
 太郎冠者は過去にも危機に直面し、乗り越えた。元々あった同市柴怒田の民有地が新東名高速道の建設地となり伐採が検討された際、市民から保護を求める声が上がった。市は無償譲渡を受け、生前に所望したとされる岸元首相の邸宅跡地に移植。専門家の指導を受けて手入れを続け、「御殿場椿(つばき)の会」のメンバーが水やりなどを担った。
 来年の春を一つの目安に経過観察を続ける。市社会教育課の山崎和夫課長は「皆さんの思いが詰まったツバキ。これまでのように美しい花を咲かせて市民を喜ばせてほしい」。親のような気持ちで見守っている。

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