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情報届かぬ要介護者 台風19号、熱海断水で「命の危険」

(2019/11/26 07:38)
介護従事者の迅速対応により飲料水は要介護者に行き届いた=10月中旬、熱海市内の給水現場
介護従事者の迅速対応により飲料水は要介護者に行き届いた=10月中旬、熱海市内の給水現場

 10月の台風19号で大規模断水した熱海市で、介護が必要な高齢者だけの複数の世帯が給水などの支援情報を把握できず、「生命の危険を招きかねない事態」(関係者)になっていたことが分かった。市の広報手段と当該世帯の情報収集方法にずれがあったのが原因。介護従事者が個別支援して混乱は回避されたが、県は災害のたびに同様の事象が起きるリスクがあるとみて、関係機関の情報共有体制を強化する。
 熱海市によると、市内は10月12日から最大で8千世帯が断水。被害地区や給水車の配置場所、巡回日程などを同報無線や市ホームページで広報した。
 ところが14日になって一部の介護支援専門員(ケアマネジャー)から「要介護の独居や夫婦のみの家庭が情報を全く認識していない」との連絡が入り、事態が発覚。「音声がよく聞こえない」「ネットを見る習慣がない」などの事情で「情報難民」になり、支援網から漏れていた。
 ケアマネジャーはヘルパーらとともに高齢者宅に電話するなどして支援情報を伝達。自宅と給水車の往復が体力的に難しい人にはボランティアを手配し、飲料水は無事に順次、各世帯に行き届いた。断水は9日間続いた。
 市長寿介護課によると、ケアマネジャーらが支援した高齢者は少なくとも50人に上るという。担当者は「市民のどこまで情報が浸透したか把握するには限界があり、介護従事者の的確で迅速な対応に感謝したい」とする。
 県は台風の被害が頻発する近年の傾向を踏まえ、今回の事態を重く見ている。今後は関係機関の連携強化に県在宅医療・介護連携情報システム「シズケア・かけはし」を活用する方針。県地域医療課は「医療・介護の会議や研修会で登録を呼び掛けたい」としている。

 ■静岡県医師会のシステムで連携 「シズケア・かけはし」
 県によると、断水時に要介護者にどう対応するかまでを想定した指針やマニュアルは現時点でない。一方で昨秋には78万戸超の大停電が起きるなど、今後も県内でライフラインが寸断される被害は増えると予想されている。関係者は行政情報の漏れを介護現場の従事者が補った今回のケースを契機に、同様の事象には関係機関の密な連携で対応する方針。
 県が情報共有に活用する県在宅医療・介護連携情報システム「シズケア・かけはし」は、医療や介護の専門職が在宅療養患者の情報をリアルタイムで共有できるツール。県医師会が運用している。同システムは登録者に情報を一斉送信する掲示板機能があり、今回の断水では熱海市の行政、医療・介護関係者間で活用した。

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