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富士の後輩「誇らしい」 ノーベル化学賞、吉野さん受賞に歓喜 

(2019/10/10 08:07)
吉野研究室のメンバーと吉野彰さん(右から3人目)=2011年、富士市の旭化成富士支社(旭化成提供)
吉野研究室のメンバーと吉野彰さん(右から3人目)=2011年、富士市の旭化成富士支社(旭化成提供)

 有力候補と言われてきた研究者の受賞が現実のものとなった。旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)のノーベル化学賞受賞が9日、決まった。10年間、富士市の同社富士支社に研究室を構えた。会見で「ありがとうございました」と満面の笑みを浮かべた吉野さん。支社時代の後輩は吉野さんの研究への姿勢を振り返りながら「本当に誇らしい。自分のことのようにうれしい」と祝福の声を寄せた。
 富士市の旭化成富士支社の後輩や地元関係者は、数年来、待ち焦がれた吉報に喜びの声を上げた。
 吉野さんは2005年から10年間、同支社の吉野研究室でリチウムイオン電池の高度化に取り組んだ。現在も同支社では電池部品の研究を続け、新たな電池の開発にも取り組んでいる。
 「社内外を問わず、さまざまな技術を取り入れるアンテナや人脈の広さに圧倒された」。安全性に関する特許技術の共同研究者で、同支社セパレータ材料開発部主幹研究員の井上克彦さん(52)は「吉野さんとの研究の日々は研究者としての原点だ」と振り返る。
 1987年の入社直後に配属された川崎市内の研究所の上司が吉野さんだった。当時はリチウムイオン電池の技術が確立し、製品化へ研究室は活気にあふれていた。終電後、吉野さんより先に帰宅しても、翌朝に出勤すると吉野さんがいたこともあるほど研究熱心だった。
 製品化に必要な優れた技術があると聞けば、町工場にも出向き、電池に加重を掛けても発火しないまで安全性を追究した。「使いやすいものでなければ世に普及しない」と語り、早い時期から安全性能を重視する姿勢に感銘を受けたという。井上さんは「吉野さんの受賞は研究に関わったみんなが自分のことのようにうれしいはず」と感激した。
 9日、同支社で行われた若手技術者との懇親会場で一報を聞いた加藤仁一郎支社長(59)は「10年来待ち焦がれた受賞。吉野さんの真摯(しんし)な姿は、この世にないものを作ろうとする研究者の励みになる」と喜んだ。
 吉野さんは07年から8年間、富士市の旧富士常葉大の講座を受け持ち、同支社の地元学生に研究への思いを伝えてきた。講座を担当した常葉大の山田辰美名誉教授(67)は「常に将来を見据え、冷静に結果を分析する科学者としての姿勢が印象的だった」と話した。

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