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富士山、幻の登山道「復活」20年 明治期廃道の須山口

(2019/10/3 17:02)
富士山須山口登山歩道を歩く学習会の参加者たち=9月中旬、御殿場市印野
富士山須山口登山歩道を歩く学習会の参加者たち=9月中旬、御殿場市印野
富士山須山口登山道
富士山須山口登山道

 明治期に事実上廃道となり、幻の登山道と呼ばれた「富士山須山口登山道」が上りと下りともに“復活”して20年が経過した。整備を手掛け、現在も管理しているのは裾野市須山地区の住民。地元の熱意でできた手作りの道は自然豊かな景色を楽しめ、富士登山愛好家たちから隠れた人気ルートとして親しまれている。
 須山口登山道は登山歩道と下山歩道で構成する。登山歩道は須山浅間神社から宝永第一火口付近まで、下山歩道は御殿場口次郎坊から幕岩を抜け、水ケ塚公園周辺に至る。下山歩道の一部は世界遺産の構成資産になっている。
 9月14日には、富士山世界文化遺産裾野市民協議会が登山道の学習会を開催。参加者は地元住民が整備した道の感触を確かめながら、名所を巡った。同協議会の鈴木博己会長は「景色も良く、富士登山の醍醐味(だいごみ)を味わえるルート。愛好家の間で人気が高い」と評する。
 明治期に事実上廃道となった登山道を復活させる機運が高まったのは1992年。地元の郷土史研究家渡辺徳逸さんが始めた地区住民への語る会がきっかけだった。94年には地元の有志で調査を開始。史料を基にルートを再現し、各拠点に道標を立てていった。97年に登山歩道、99年に下山歩道それぞれが完成した。
 現在も管理は調査活動を担った住民らでつくる富士山須山口登山歩道保存会が行っている。毎年登山シーズン前後になると、階段を修繕したり、風倒木を処理したりして安心して歩けるよう整備する。
 同保存会の根上雄介会長は「台風で道が荒れていると聞くと、すぐに補修に向かう」と維持管理に余念がない。
 須山口登山道は登山シーズンに限らず原則いつでも利用は可能。鈴木会長は「利用する際には、単独では登らず、ヘルメットの着用や登山届を出すなどルールを守ってほしい」と呼び掛ける。

 <メモ>富士山須山口登山道の存在が確認できる最古の記録は、鎌倉時代の正治2(1200)年に記された文書。江戸時代には宝永4(1707)年の噴火で崩壊したが、安永9(1780)年に復旧し、山梨県側の吉田口に次いで登山者が多いルートだったとされる。明治時代になって新たに御殿場口が開かれ、その近くに東海道線(現JR御殿場線)も開通すると、須山口からの登山者は徐々に減少。明治45(1912)年に登山道の一部が旧陸軍の演習場となったことで、事実上の廃道となった。

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