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戦地の遺骨収集事業岐路 遺児高齢化、どう継承

(2019/8/12 07:23)
父の遺骨を見つけたいと願い、洞窟で収集作業を行う稲田定彦さん(左)=2018年8月27日、サイパン島(本人提供)
父の遺骨を見つけたいと願い、洞窟で収集作業を行う稲田定彦さん(左)=2018年8月27日、サイパン島(本人提供)

 政府が2024年度まで集中実施している太平洋戦争戦没者の遺骨収集事業が、遺児の高齢化や遺骨取り違えの問題などで岐路に立たされている。日本遺族会の一員としてマリアナ諸島サイパン島で戦死した父親の遺骨を探す浜松市遺族会会長の稲田定彦さん(74)=同市東区=は、遺骨収集事業が将来的にどう継続されるのか不安を抱きながら、20日から4度目の収集作業のため島に向かう。
 「『ひょっとしたらこれは父の骨ではないか』と何度も思い、無我夢中で土を掘った」。稲田さんは昨年8月、サイパン島への派遣団で遺骨収集した時の心境を振り返る。
 稲田さんの父藤雄さん=享年(31)=は生き残った仲間の証言から、島の北端部へ逃げ、米軍の艦砲射撃か地上戦で亡くなったとみられるが、遺骨も遺品も見つかっていない。
 藤雄さんが亡くなった1944年7月、稲田さんは母親の胎内にいた。島の洞窟内で米軍が火炎放射器で攻撃した焦げ跡などの惨状を目にした稲田さんは「何とか遺骨を日本に持ち帰って墓に納めたい」と強く感じた。
 厚生労働省によると、第2次世界大戦で日本人の海外戦没者は約240万人で、うち約112万柱の遺骨が帰還していない。国は2016年に遺骨収集推進法を制定し、集中実施を進めてきた。
 派遣団には基本的に日本遺族会会員が参加するが、遺児で最も若い世代も74歳前後と高齢化した。同年代の稲田さんも日本遺族会から継続を期待されているが、体力的に年々厳しくなっている。稲田さんは「戦没者の孫、ひ孫世代にどう受け継ぐかが大きな課題」と指摘する。

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