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富士山頂の旧測候所、活用着々 夏期研究最多へ、運営に好影響

(2019/8/5 07:48)
被験者に機器を付けて、山頂で歩行時の揺れ具合と身体の変化の関係を調べる井出里香医師(右から2人目)ら=3日、富士山頂の旧富士山測候所
被験者に機器を付けて、山頂で歩行時の揺れ具合と身体の変化の関係を調べる井出里香医師(右から2人目)ら=3日、富士山頂の旧富士山測候所

 富士山頂の剣が峰にある気象庁の旧富士山測候所を借り受け、専門家の研究を支援する認定NPO法人「富士山測候所を活用する会」の夏期集中観測(7~8月)で行われる研究が、2019年度は40件を超えて過去最多になる見通しだ。同会は旧測候所を生かした活動が一定程度定着し、多様な研究で活用できることが認知されてきたと分析。NPOの運営にも徐々に好影響を及ぼしている。
 3日午後、旧測候所の一室。山頂に到着したばかりの被験者に機器を取り付け、血液中の酸素濃度や心拍数を測定した上で、歩行時の体幹や骨盤の揺れ具合を調べるテストが行われた。日本登山医学会理事の井出里香医師と鹿屋体育大による高所医学・高所順応の共同研究で、今夏は滑落を引き起こす登山中のふらつきと急性高山病や疲労との相関性などを検証している。
 井出医師は国内最高峰での研究について「平地の気圧の3分の2しかない低圧低酸素の環境のため、高所登山の心身への影響を調べる上では最適な場所」だと説明。「富士山は一般の観光客も数多く登る山。安全な富士登山の実現のためにも、研究成果を還元していきたい」と意気込む。
 旧測候所での研究は大気化学や放射線科学、永久凍土などをテーマにした内容が約6割を占めてきたが、近年は高所医学や通信、エネルギーなどの分野にも広がっている。
 同会事務局長の鴨川仁県立大特任准教授によると、旧測候所は年間4千万円超の維持管理費が必要だが、事業の増加により使用料で経費の約9割を賄えるようになったという。また、同会の内部組織として18年に「富士山環境研究センター」を設置。独自の研究を行い、国の科学研究費助成事業の獲得や企業調査の受託を目指す。
 研究体制も拡充し、3776メートルの山頂に加え、富士山中腹の太郎坊(御殿場市、標高1290メートル)や御殿場市街地の拠点事務所でも通年観測ができる仕組みを用意した。鴨川特任准教授は「次の10年を見据え、攻めの姿勢で事業を展開していきたい」と意欲的だ。

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