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富士山臨時支局ルポ 9合目憩いの山小屋、登山者に英気

(2019/8/2 07:57)
登山客を迎える万年雪山荘のスタッフ=1日午後、富士山富士宮口9合目
登山客を迎える万年雪山荘のスタッフ=1日午後、富士山富士宮口9合目

 富士山頂を目指す人々の宿泊地で、登頂直前の人々が空腹を満たす憩いの場でもある富士宮口9合目の万年雪山荘。静岡新聞社も長年、毎夏の富士山臨時支局を開設して取材拠点としている。頂上を目指す人々がひっきりなしに訪れる山小屋の日常を追った。

 ■料理2分で/未明に弁当準備/天気にらみ布団干し
 「ご苦労さまでした」。7月31日夕、5合目から8時間かけて同山荘にたどり着いた臨時支局の記者を、スタッフが総出で迎えてくれた。宿泊者が次々到着する多忙な時間帯にもかかわらず、丁寧に取材に応じてくれた上に「体調は大丈夫?」の一言。疲れ果てた記者(30)への気遣いが身に染みた。
 カレーライスや丼物、麺類などのメニューがそろう山小屋の食堂。厨房(ちゅうぼう)には、メキシコからこのアルバイトのために一時帰国した坂倉優樹枝さん(34)の姿があった。到着した登山者が注文してから料理が食卓に並ぶまでの時間はわずか2、3分。山小屋に詰め掛けた登山者に対応する手際の良さに驚かされた。「寒さで震えて来るお客さんもいる。とにかく温かいものを早く食べてほしい」と坂倉さん。支局員3人も夢中でかき込んだ。
 就寝時間の午後8時を過ぎるころ、ようやくスタッフに安息の時が訪れる。ただ、起床は翌日午前1時半前。宿泊者の弁当作りが始まる。ご飯や卵焼き、肉団子などが入った弁当を、1日は約70個用意した。「いってらっしゃい」。起床してきた登山者に満開の笑顔で手渡した。
 登山者を送り出した後も仕事は終わらない。午前9時ごろから布団の天日干しが始まった。敷布団と掛け布団合わせて50枚ほどを山小屋の屋根へと運んで干した。スタッフの悩みの種は移ろいやすい富士山の天候だ。1日は晴れ間が広がり「天気予報通りでほっとした。少しでも暖かい布団で寝てほしい」とスタッフ歴8年目の松森優介さん(33)。毎夏このアルバイトのためにスペインからやって来て同山荘に常駐する。登山者が英気を養えるのもこうしたスタッフのおかげだ。
 1日午後4時ごろ、翌日の登頂を控えた宿泊者が到着し始めた。1日から2日にかけては約200人が宿泊予定で、山小屋はあっという間に登山客でいっぱいに。三島市の大学3年生岩本健汰さん(20)は「『お疲れさま』と言ってもらえ、ここまで登ってきて良かったという気持ちでいっぱい」と笑顔を見せた。登山者にとって山小屋で過ごす時間は御来光や登山とともに忘れ得ぬ記憶になる。

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