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駿河湾の濁り、人工衛星でも確認 石坂名大教授が分析

(2019/4/10 07:09)
工場放水路(左手前)から駿河湾に拡散する濁り=9日午後、静岡市清水区蒲原(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
工場放水路(左手前)から駿河湾に拡散する濁り=9日午後、静岡市清水区蒲原(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 サクラエビの不漁との関連が指摘される、静岡市清水区蒲原の工場放水路から駿河湾に流れ出る濁水が湾内に拡散する様子などを、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の気候変動観測衛星「しきさい(GCOM―C)」が捉えていたことが9日までに分かった。名古屋大宇宙地球環境研究所副所長の石坂丞二教授(生物海洋学)の画像分析で判明した。
 分析したのは、大雨から1週間後の2018年7月14日と、少量の雨が降り続いた今年3月8日の画像。両日とも濁りの一般的な指標とされる懸濁(けんだく)物質濃度が、放水路周辺では駿河湾奥部で最も高いレベルにまで達していたことを確認。また、昨年7月14日は放水路から三保半島沖までの広いエリアでも懸濁物質濃度が上昇していた。
 しきさいは250メートル四方の懸濁物質濃度などを一つのドット(点)として表示できる世界最高レベルの多波長光学放射計(SGLI)を搭載している。深さ数メートルまでの海表面に浮遊する懸濁物質濃度や植物プランクトンの濃度を光の反射率から計算して画像化できる。
 石坂教授は「放水路から出た濁りが沖合数キロにまで拡散している可能性がある」と指摘した。一方で、SGLIは濁りと植物プランクトンを別々に表示する高精度の判別能力が備わっているものの「沖合の懸濁物質については植物プランクトンである可能性が高く、さらなる分析が必要だ」とも述べた。
 県は工場放水路から流れ出る濁りが、富士川支流の早川下流(山梨県早川町)から取水し、沈降など自然の浄化作用がないまま導水管を経てサクラエビの主産卵場の駿河湾奥部に流れ出ている可能性があるとみており、両県で共同調査に乗り出すことを決めている。

 ■濁り影響、軽視できず 石坂・名大教授見解
 サクラエビ漁師たちが危惧する工場放水路から駿河湾に流れ出る水の濁りとサクラエビの不漁との関係。はるか上空の人工衛星から撮影した画像でも、駿河湾に自然ではない濁りが流れ込んでいる事実が9日までに確認できた。
 石坂丞二・名古屋大教授は「駿河湾での濁りの挙動もサクラエビの生態も分かっていないことが多い」と指摘する。その上で「サクラエビがもともと濁りの少ない海域にいるのであれば、餌を捕食したり、交尾をしたりする場合に、濁りの影響は軽視できない可能性がある」と述べた。
 最新鋭の気候変動観測衛星「しきさい」などを活用し、日本中の海洋環境を約30年分析している石坂教授。「濁りがサクラエビなどの海洋生物や海洋生態系にどのような影響を及ぼしているか研究することは必要だ」と提案した上で、「人間生活と海の生態系は密接に関係しており、静岡県民も駿河湾をどうしたいか考えることが重要」とも指摘した。

 <メモ>しきさい(GCOM―C) 2017年12月、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた人工衛星(約2トン)。南北に回りながら、高度約800キロから、地球のあらゆる地点を2日に1回撮影する。多波長光学放射計(SGLI)を搭載し、気候変動とその生態系の影響の観測や赤潮のモニタリングなどを行う。微小粒子状物質「PM2・5」など大気中のちりも観測する。
 

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