トヨタの未来都市「ウーブン」裾野で着工 2025年までに入居
トヨタ自動車は23日、裾野市で先進技術の実証都市「ウーブン・シティ」の建設に着手した。2025年までに人が住み始められるよう工事を進める。住人が自動運転や人工知能(AI)、ロボットなどの技術を使いながら実証する場とし、自動車業界の枠を超えて社会課題を解決するイノベーションに取り組む。
昨年12月に閉鎖したトヨタ自動車東日本東富士工場跡地で地鎮祭を開いた。豊田章男社長や川勝平太知事、高村謙二裾野市長ら16人が出席し、工事の安全を祈願した。豊田社長は「東富士工場のDNAを受け継ぐ。地域に愛され、頼りにされる会社になりたいとの思いはこれから先も変わらない」とあいさつした。
建設用地70・8万平方メートルのうち、最初に整備する区域は用地の南端に位置し、同工場生産の完成車を置いていた旧車両ヤード約5万平方メートル。トヨタは整備する施設など詳細を明らかにしていない。
ウーブン・シティには、最初に高齢者や子育て世代ら360人程度が入居し、将来的にはトヨタ従業員を含む2千人が暮らす街になるとしている。社会課題解決を図る技術革新に向けたパートナーには、3600の個人・法人から応募があったという。
川勝知事は同日、御殿場市で開かれた富士山の日関連イベントでウーブン・シティに触れ「トヨタが社運を賭けて試みるまちづくりのくわ入れ式も行われ、富士山の日に花を添えた」と述べた。
■「イノベーション発信」 社長、異例の取り組み意欲
豊田章男社長は23日、裾野市で開いた実証都市「ウーブン・シティ」の地鎮祭後、静岡新聞社などの取材に応じ「多様性から生まれるイノベーションの発信の場にする」と意欲を示した。
跡地がウーブン・シティの建設地となるトヨタ自動車東日本東富士工場について「53年間、ありとあらゆる車を作り、日本のモータリゼーションを支えてくれた。良いたすきをもらって、未来につなげる」と述べた。
自動車メーカーが街を造る異例の取り組み。豊田社長は自動運転技術などを念頭に「今後は車を作るだけでなく、インフラとのセットが重要になる」と説明。「トヨタは工業製品をばらつきなく作り上げる均一性で強みを発揮してきた。今度は多様性でイノベーションに向かう大きなモデルチェンジをする」と強調した。