山梨2町、水返還求め意見書提出 日軽金発電所の水利権更新問題

 アルミ製錬を前提に富士川水系の水利権を許可された日本軽金属波木井発電所(山梨県身延町)が国の水利権許可更新が認められないまま稼働を続け、間もなく1年経過する問題で、同県早川、南部の両町が、富士川水系早川や富士川本流の流量増を求める意見書を同県に提出していたことが25日までに明らかになった。静岡県内の人々からも同様の声が上がり始め、今後県内でも日軽金の巨大水利権に対する反発が“水返せ運動”として表面化する可能性もある。

日軽金波木井発電所の水利権許可更新 手続きの流れ
日軽金波木井発電所の水利権許可更新 手続きの流れ
山梨県南部町が昨年12月7日付で同県に提出した意見書。富士川水系の流量増を求め、日本軽金属の売電について河川法に抵触しないか聞いている
山梨県南部町が昨年12月7日付で同県に提出した意見書。富士川水系の流量増を求め、日本軽金属の売電について河川法に抵触しないか聞いている
日軽金波木井発電所の水利権許可更新 手続きの流れ
山梨県南部町が昨年12月7日付で同県に提出した意見書。富士川水系の流量増を求め、日本軽金属の売電について河川法に抵触しないか聞いている

 静岡新聞社は今月、山梨県に対し、同県が国からの意見聴取を受けて2020年11月30日付で身延、早川、南部の3町に実施した意見照会の回答を情報公開請求した。開示された意見書によると、山梨県内の富士川最下流に当たる南部町の佐野和広町長は「かつては水量が多く釣り人にとっては有数な川であったが、近年はその面影もない。流量の増加を望む」と表明。アルミ製錬から発電に事業をシフトしたと聞いているとして「“売電そのものを目的とした発電”は河川法に抵触しないのか」と指摘した。
 早川町の辻一幸町長は波木井発電所に導水する早川の榑坪(くれつぼ)えん堤の取水を減らし、おおむね毎秒1トン追加放流するよう求めた。身延町の望月幹也町長は「(申請通りで)支障はない」と回答した。
 河川法では国交省は都道府県知事の意見を踏まえ水利権の許可更新を判断する。ただ、同省は「取水口などが設置される土地の知事に聴取するのが原則」とし、下流の静岡県に意見を聞いていない。
 富士川水系の環境問題に取り組む富士宮市議の近藤千鶴氏(64)は「日本三大急流か疑いたくなる水量の少なさ。リニア中央新幹線の大井川問題と並び静岡県が対応すべき“もう一つの水問題”。問題意識を共有し、地方議会でしっかり声を上げたい」と述べた。
 ■波木井発電所の水利権更新問題 
 アルミ製錬事業から撤退した日本軽金属の波木井発電所(山梨県身延町)が20年3月末に水利権更新期限を迎え、国の許可更新が得られないまま1年近く稼働を続けている問題。日軽金が同年2月28日付で国土交通省関東地方整備局に提出した同発電所の水利権許可申請書では、19年4月に適用を受けた国の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を利用した売電を前提に従来通り最大毎秒30トンの取水を求めている。国はガイドラインで地域への説明を求めているが、静岡新聞社が昨秋富士川流域11自治体にアンケートしたところ、日軽金から説明が「あった」と答えた自治体はなかった。

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