日軽金問題、売電「説明あった」ゼロ 富士川流域自治体調査

 富士川流域11自治体アンケートでは、日本軽金属がアルミ製錬を前提に水利権を認められた同社波木井発電所(山梨県身延町)で、得た電力を売電に「流用」している問題についても質問。国の制度を利用して売電する際のガイドラインで定められた地元への説明に関し、「あった」と答えた自治体はなく、3自治体が「説明を望む」と回答した。
 日軽金が同発電所について固定価格買い取り制度(FIT)に申請し、認定を受けている実態があることに「(同社側から)説明があったか」と尋ねた。「あった」はゼロ。「なかった」は7自治体に上った。
 「そのほか」を選んだのは静岡県、山梨県、同県市川三郷町、同県身延町。静岡県は「業務上必要な情報提供については該当なし」、山梨県は「不明(当時の書類の保存期限が過ぎ、確認できない)」と回答した。
 資源エネルギー庁はことし4月改訂のFITに関する「事業計画策定ガイドライン」で「地域住民に十分配慮して事業を実施し、誠実に対応することが必要」などと定め「違反時には認定取り消しが可能」としている。ただ「地域住民」の定義は定めず、同庁新エネルギー課は「努力目標」と解説する。
 「日軽金に説明を望むか」との問いには富士市、同県早川町、南部町の3自治体が「望む」と答えた。

 ■河川の〝自治〟放棄の態度 たかはし河川生物調査事務所 高橋勇夫代表
 結果を概観すると、自治体の富士川に対する無関心、責任を避ける姿勢が河川環境悪化の潜在的な一因になっているのではないか。「水質の測定項目が環境基準を満たしているため水質は良好だが、河川環境については判断できない」という回答が見受けられるが、身近な川の環境を水質でしか判断しないのは思考停止ではないか。
 複数の自治体が河川環境の良否を「判断できない」「河川管理者が判断すべき」というような理由で現状判断を保留しているが、河川環境の良しあしはそこで暮らす人々が判断すべきだ。判断の保留は河川の“自治”を放棄した態度で、自治体の本来的な機能を果たせていないと言える。
 河川管理者は河川整備計画を策定し、河川環境の保全に努めてはいるが、現実的には地元から「良好な地域環境を保全したい(取り戻したい)」などの強い要望がない限り、積極的には動きにくい。自治体が身近な川の環境に無責任な態度を取ると、改善すべきものも改善できなくなる。
 水力発電はクリーンエネルギーと言われるが、実際は川の水量を減らすなどして河川の生態系に与える悪影響は大きい。国策として水力発電が重要視されていた時代の価値観のまま企業が行動しているとすれば、深刻な問題ではないか。

 たかはし・いさお 全国の河川でアユの生態調査や漁場診断などを行う専門のコンサルタント「たかはし河川生物調査事務所」(高知県)代表。2015年度、富士川の天然アユの危機的減少に関する調査で濁りの影響に警鐘を鳴らした。専門は河川生態学。63歳。

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