駿河湾奧のサクラエビ漁、今秋も自主規制 また実質禁漁に

 駿河湾産サクラエビについて、静岡県桜えび漁業組合(実石正則組合長)は23日、船主会を由比港漁協で開き、11月1日解禁の秋漁で昨年同様に湾内を複数海域に分け、海域別に漁獲可能な親エビの割合(75~30%以上)を決めて操業する自主規制をまとめた。県水産・海洋技術研究所の資源調査でほぼ親エビがいなかった主産卵場の富士川沖などは実質禁漁区となりそうだ。

駿河湾産サクラエビ2020年秋漁の自主規制の内容
駿河湾産サクラエビ2020年秋漁の自主規制の内容
今秋、静岡市清水区由比の西倉沢定置網で混獲されたというサクラエビのホルマリン漬けを示す実石正則県桜えび漁業組合長=23日午後、同区の由比港漁協
今秋、静岡市清水区由比の西倉沢定置網で混獲されたというサクラエビのホルマリン漬けを示す実石正則県桜えび漁業組合長=23日午後、同区の由比港漁協
駿河湾産サクラエビ2020年秋漁の自主規制の内容
今秋、静岡市清水区由比の西倉沢定置網で混獲されたというサクラエビのホルマリン漬けを示す実石正則県桜えび漁業組合長=23日午後、同区の由比港漁協

 実石組合長が同日記者会見し、明らかにした。産卵後の体長35ミリ以上の親エビの割合についていずれも湾奥の富士川沖では75%、沼津沖では50%以上確認できた場合のみ操業する。湾中部は50%、湾南部で30%以上と設定する。1日当たりの操業隻数は最大60隻、1日1回の投網時間を20分以内とするなど2019年春漁以降の自主規制を基本的に継続した。
 19年春漁で実施した総漁獲量制限は見送った。総資源量が分からず科学的根拠が示せないことや、資源量が少なすぎて実質的な意味がないことなどを理由に挙げた。
 実石組合長は秋漁について「生物学的には休漁した方がよいのは分かっている」としながらも、産業としての側面を強調し、「漁業者も生活する人間。産業、経済で考えてほしい」と訴えた。西倉沢定置網(静岡市清水区)では今秋サクラエビが多く混獲されたといい、関係者が前向きな材料として受け止めているとも明かした。
 今月19日に県水技研が発表した秋漁前の資源調査では、漁師らの自主規制にもかかわらず、回復はほぼ見られなかった。特に主産卵場の湾奥では9~10月に採捕したサンプル1721匹中、親エビは約3%(約50匹)にすぎず、ほかの海域に比べても回復が一段と遅れている。
 

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