不透明感増す漁の将来 議論いまひとつ、漁師や加工業者危機感

 不漁が顕著となって1年以上が経過した駿河湾サクラエビ。将来の漁の在り方を検討する動きが乏しく、漁師や加工業者から「何も議論しないでいいのか」と不満の声が上がっている。漁業者組織の県桜えび漁業組合(実石正則組合長)が、由比、蒲原、大井川の3地区がそろった役員会や船主会を最後に開いたのは5月末。サクラエビ漁の将来像が描かれないまま、漁の行方は不透明感を増している。
 「県などの関連機関も関わる話。漁業者だけで議論はできない」
 実石組合長は取材に対し、早期の議論開始に慎重姿勢を崩さない。一方で例年10月下旬に始まる秋漁の操業方針は「ある程度の調査結果を待ってから」とし、駿河湾での産卵調査の結果を踏まえて話し合うと強調。議論は具体的なデータを基にすべきとした。
 漁業者から「秋漁だけでなく、5年後、10年後について今から話し合うべき」と、中長期的な漁の在り方も早急な課題と指摘する声がある。ただ、組合役員からは「あえて議論を避けているのでは」との声が漏れる。この役員は、将来展望を議題にすれば、事実上タブー視してきた減船や休漁に踏み込まざるを得ないとみる。
 今後の漁の在り方や現状に対し、別の漁業者は由比・蒲原と大井川の漁師の認識の違いも挙げ、「3地区が満足いく合意形成は難しい。物別れに終わってしまう可能性もある」と懸念する。
 県桜海老加工組合連合会も危機感が強い。ある役員は「漁師の危機意識は甘い部分がある。深めるべき議題がテーブルにすら上がっていない」と批判。「資源回復を本気で考えるなら、思い切って休漁の議論も必要」と訴える。
 昨年秋漁は自主規制を敷いたが水揚げは一度も行われず終了。今年の春漁では主な産卵場となる富士川沖や沼津沖を禁漁区に設定、過去最低の85・3トンの水揚げ量だった。

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