深海に躍る赤い宝石 駿河湾で生態撮影成功 東海大・坂本准教授

 いまだ謎が多いサクラエビの生態解明につなげようと東海大海洋学部(静岡市清水区)の坂本泉准教授(55)=海洋地質=が昨年11月下旬以来、駿河湾の深海で生きた個体の撮影を試み、成功させていたことが24日までに分かった。深海でサクラエビの姿を捉えたのは極めて珍しい。

駿河湾の深海で画面いっぱいに乱舞するサクラエビ=2018年11月22日、静岡市清水区興津沖(東海大海洋学部・坂本泉研究室撮影)
駿河湾の深海で画面いっぱいに乱舞するサクラエビ=2018年11月22日、静岡市清水区興津沖(東海大海洋学部・坂本泉研究室撮影)
サクラエビの生態を捉えるため坂本准教授が発案した撮影装置
サクラエビの生態を捉えるため坂本准教授が発案した撮影装置
坂本泉東海大准教授
坂本泉東海大准教授
深海に生息するサクラエビを捉えるため坂本准教授が発案した特殊な撮影装置。二つのライトの他、尾翼のようなもので海流に従うよう設計されている
深海に生息するサクラエビを捉えるため坂本准教授が発案した特殊な撮影装置。二つのライトの他、尾翼のようなもので海流に従うよう設計されている
駿河湾の深海で画面いっぱいに乱舞するサクラエビ=2018年11月22日、静岡市清水区興津沖(東海大海洋学部・坂本泉研究室撮影)
サクラエビの生態を捉えるため坂本准教授が発案した撮影装置
坂本泉東海大准教授
深海に生息するサクラエビを捉えるため坂本准教授が発案した特殊な撮影装置。二つのライトの他、尾翼のようなもので海流に従うよう設計されている

 真っ暗な海の中、長い2本のひげでバランスを取るようにして泳ぎ回るサクラエビ。ライトに照らされた半透明の姿は「駿河湾の宝石」そのものだ。
  撮影に当たり坂本准教授が考えたのは「どうしたら過度に刺激せず、自然の姿を撮影できるか」。そのため、海中で自由な操作は可能だがモーター音を発する潜水艇やROV(有線水中ロボットカメラ)は使わず独自の撮影装置を考案した。
  1本の長いロープに一定間隔ごとカメラ入りケースを複数台くくり付け、ロープ先端の重りを水深300~400メートルの海底に着底させる。ケースには暗い海中を照らすライト二つと、尾翼のようなものを取り付けた。
  尾翼はケースが海流で回転を繰り返すなどして、ロープに負担がかからないようにするため。海流に柔軟に動くように設計した。
  これまで坂本准教授は静岡市清水区沖で7回程度撮影。カメラは電池駆動式のため数時間程度しかもたないが撮影に複数回成功。タチウオがサクラエビの群れの周りを泳ぐ姿なども確認した。
  水深の深い場所と浅い場所を往復する「日周鉛直移動」をするとされるサクラエビ。坂本准教授によると深海での撮影は1980年代に深海探査艇「しんかい2000」が成功して以来という。
  坂本准教授は23日の取材に対し、「今回撮影した動画が活用され、不漁の原因が解明されることを期待したい」などと述べた。
  (「サクラエビ異変」取材班)

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