初物サクラエビ店頭へ 「待ってました」「もっと安かったら…」

 春漁初日に水揚げされた駿河湾産サクラエビが15日、静岡市のスーパーなどで発売された。新型コロナウイルスの感染拡大で、政府が大都市圏に緊急事態宣言を発令して1週間が経過した。ピンク色に輝く生サクラエビの「初物」に引きつけられながらも、景気悪化への警戒感が高まる中で、購入を迷う買い物客の姿が見られた。

春漁が解禁となり小売店に並んだサクラエビを手にする買い物客=15日午前、静岡市清水区のヒバリヤ新鮮市場高部店
春漁が解禁となり小売店に並んだサクラエビを手にする買い物客=15日午前、静岡市清水区のヒバリヤ新鮮市場高部店

 食品スーパーの「ヒバリヤ」は静岡、藤枝、焼津市などの店舗で10キロを発売した。仕入れ価格が去年よりやや抑えられたため、高部店(静岡市清水区)では昨年秋漁と同価格のパックで量を10グラム増やした。開店早々かごに入れた同区の女性(53)は「買う予定はなかったが家族の好物なので。待ってましたという感じ」と喜んだ。一方、夫を介護している同区の女性(76)は「コロナ禍で必需品を買い集め、今、家計の余裕がない。もう少し安かったらね」と迷った末に諦めた。同店鮮魚担当者は「以前は後々仕入れ価格が安定するのを見越して初物の価格を抑えられたが、漁獲減が深刻になった今は難しい」と話す。
 都内の豊洲や築地場外など市場の需要は激減し、加工業者も頭を抱える。由比地区の加工業者は「仕入れてもさばけるか皆不安。ネット通販をもっと活用するしかない」。蒲原地区の加工業者は「巣ごもり消費を見込んでスーパーやコンビニにも着目しているが、高すぎて棚に置いてもらえない」と当面は市場価格の推移を見守る方針だ。
 由比地区のサクラエビ料理店「くらさわや」の渡辺一正店主(58)は「今春客足を取り戻した矢先にコロナで途絶え、回復時期を全く見通せない。こんな状況は初めて」と打ち明ける。同店は2年ぶりにネット通販を再開するが「準備するには在庫がないと。例年のように5月下旬に向けて漁獲量が増えていくといい」と期待する。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞