雨畑川「乏しい」川虫 富士川流域の底生生物調査

 富士川水系環境復元ネットワーク(富士川ネット)からの依頼を受け、地域自然財産研究所は2月から富士川や支流の早川など計29カ所で釣り人らが「川虫」と呼ぶ、底生生物(水生昆虫類)の生息調査を開始している。研究所の篠田授樹さん(54)は早川の支流・雨畑川下流と、合流地点から下流の早川について「乏しい印象だ」と述べた。

川底の石に付いた底生生物をピンセットで採取する篠田授樹さん=4月中旬、富士川下流
川底の石に付いた底生生物をピンセットで採取する篠田授樹さん=4月中旬、富士川下流
富士川下流で採取されたヒラタカゲロウの幼虫
富士川下流で採取されたヒラタカゲロウの幼虫
川底の石に付いた底生生物をピンセットで採取する篠田授樹さん=4月中旬、富士川下流
富士川下流で採取されたヒラタカゲロウの幼虫

 篠田さんは26日までに29地点のうち26地点の調査を終えた。今月中に全地点の調査を終え、1994年の前回調査時データと比較する作業を行う予定だ。底生生物は渓流釣り客が餌として使う。河川環境を知る指標となることもある。雨畑川と同じ4月中旬に実施した、富士川下流の調査ではヒラタカゲロウの幼虫(体長1センチ弱)など複数の底生生物が見つかっている。
 富士川ネットの関係者は、コンクリくずの不法投棄と大量流出が明らかになった雨畑川での底生生物の現状を受け、26日に「行政は自然が壊れた原因を調べるべき」とした。
 雨畑川下流と合流地点から下流の早川では細かい粒子が川底の石と石の隙間を埋めている。堆砂が著しい雨畑ダムから流出している可能性があるという。
 底生生物はこうした隙間に生息する。すみかを奪われたうえ、石の表面に生える藻を食べられず餓死した可能性がある。濁り成分は体を物理的に傷付ける悪影響も及ぼす。
 長年、山梨県内の河川で底生生物の調査を行ってきた篠田さんによると、早川は自然の濁りが出やすい。ただ「もともと出やすい川なら、なおさら人の手を入れるときには慎重になるべき」と訴える。

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