「日軽金へ指導徹底を」山梨知事、国に要請 雨畑ダム堆砂

 駿河湾サクラエビの深刻な不漁をきっかけに静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(山梨県早川町)について、長崎幸太郎山梨知事は12日、国土交通省を訪れ、堆砂が9割に達し、水害が頻発するダムの堆砂の解決に向け、管理する日本軽金属への指導を徹底するよう要請した。長崎知事は要請後、同社の対応を「誠意がなさ過ぎる」と批判した。

国土交通省の山田邦博技監(手前)に対し、雨畑ダムの写真を示しながら日本軽金属への指導強化を訴える長崎幸太郎・山梨県知事(左)と辻一幸・早川町長=12日午後、東京・霞が関の同省
国土交通省の山田邦博技監(手前)に対し、雨畑ダムの写真を示しながら日本軽金属への指導強化を訴える長崎幸太郎・山梨県知事(左)と辻一幸・早川町長=12日午後、東京・霞が関の同省

 国は8月、同社に堆砂の「抜本解決」を行政指導。しかし、今月上旬に同社が国や山梨県に呼び掛けて開いた検討会後の記者とのやりとりの中で、幹部が国の指導について「結構ハードルが高い」などと発言。関係者の間で反発が起きていた。
 長崎知事は山田邦博技監に現場の写真や堆砂の推移を示したグラフを掲げながら「日軽金は地元と危機感を共有できていない。10年も20年もかけて運び出すという計画では不安だ」と訴えた。
 要望書は、計画の速やかな策定、実行の指導を「強く要望する」と記した。同行した早川町の辻一幸町長も「一時的なことではなく雨畑湖を見直してもらいたい」と述べた。水管理・国土保全局にも同様の説明を行った。
 長崎知事は「危機感は国交省幹部に伝わった」と振り返った。一方、堆砂除去のための財政出動の可能性を問われ「筋としてどうか。日軽金がやらなければいけない話」と否定的な考えを示した。

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