追っかけわたしの特集

特集 : 大井川とリニア

リニア 国土交通省専門家会議 実名化議事録③

国土交通省専門家会議 第3回 議事詳報

2020年6月2日:国土交通省(オンライン形式)


時間的、空間的な広がりで問題把握を

 (江口秀二国土交通省鉄道局技術審議官)※資料1の説明
 本日の資料の構成についてご説明させていただく。第1回の会議では、JR東海から、この会議で先行して議論する二つの論点、すなわち①「トンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方」、②「トンネルによる大井川中下流域の地下水への影響」について、これまでの専門部会や地元でどのような説明をしてきたのか整理して、ご説明していただいた。
 これを受けて、第2回では、資料1の左側にあるように、二つの論点のうち、一つ目の「全量の戻し方」について、(a)(b)(c)の三つのテーマに分けて整理した方が分かりやすいだろうと考え、まずは(a)の「河川流量とトンネル湧水の関係」について集中的に議論していただいた。その時のご意見やご質問をとりまとめたのが右側の欄である。
 これをご覧いただくと、まずは大井川の全体像、全容を示してほしいというところから始まり、そもそも水収支(流量予測)モデルはどのような目的で作られたのか、モデルのメッシュや透水係数(水の通りやすさ)の設定など、モデルの構造に関する事項、さらには解析に当たっての様々な条件、解析結果を検証するに当たっての河川流量や地下水などなど、いわば基本的なご意見やご質問をいただいた。
 この会議では、まずは二つの論点について整理していくとの目的から考えると、右欄のご意見やご質問に対して、さらに一つ一つ回答していくという方法もあるが、前回、委員からもお話があったように、静岡県が作成した説明資料の方がこれまでのJRの資料よりも分かりやすい、パワーポイントばかりで文字による説明が少ない、また外部の方々からもJRの資料は複雑な数式が並んでいて分からないといったご指摘をいただいた。
 これまでのJR東海の資料については、専門部会での47項目に回答する形で整理されていたためパワポ形式の資料となっていたことはやむを得ない面もあると考える。
 一方、この有識者会議では、全体像を把握しながら、議論を深めていく必要があるのではないかと考え、本日は、従来のパワポの資料ではなく、資料2のように説明を文字でしっかりと書き込む形式で、またこれまで計測されたデータ等もしっかりと掲載した形で、委員からのご指示も受けながら、JR東海がとりまとめたものである。
 後ほど、JR東海から説明してもらうが、資料2のp2の目次を見ていただくと、基本的な対応方針からはじまり、工事着手前段階、実施段階、完了後の取り組みと、時系列的に整理されている。また、本件は、トンネル掘削を行う上流部から、実際に水利用をされている中下流部まで空間的にも広がりを持っている。このように、時間的、空間的な広がりの中で、何が問題になっているのかを把握していただき、議論していただくことが重要と考えている。
 この資料2の中で、資料1のご意見やご質問にも適宜回答していただければと思う。さらに、この資料の中には、二つの論点以外の47項目の中の事項も含まれている。できれば、今後はこの資料をベースに、表紙に記載しているように加除訂正しながら、今後の議論を進めていってはどうかと考えている。そのために本日の資料は素案となっている。


 (沢田尚夫JR東海中央新幹線推進本部次長)※資料2の説明
 資料2についてご説明させていただく。資料2については、ただ今、江口技術審議官からお話があったように素案ということであり、表紙にも記載したとおり今日現在の内容をまとめたものである。今後この資料で作業中としている箇所については、内容をしっかり追加させていただき、それとともに本会議でのご意見を踏まえて、内容やデータは逐次、加除訂正をしてまいりたい。
 最初の対応の方針から始まり、2、3、4と時系列で工事着手前、工事実施段階、工事完了後における取り組みを作成している。5は大井川中下流域の水資源利用に影響が生じた場合の対応としてまとめた。また、別冊としてデータ集を作成しているので後ほど紹介する。
 p3について「トンネル工事により生じる事象と大井川中下流域の水資源利用への影響回避低減に向けた基本的な対応方針」である。下の図をご覧いただきたい。図の一番左側、まず準備段階である施工ヤード(作業基地)整備、これに始まり、その後斜坑、導水路トンネルの掘削、先進坑掘削、本坑の掘削と進めていく。この途中で「斜坑、導水路トンネルの総括」とあるが、施工を通じて得られるデータ、これは常にその次の施工に生かしていくということで進めていく。図の中央、トンネルを掘り進めていった場合に生じる事象を記載しているが、私どもとしては、トンネル工事に伴って大井川中下流域の水資源利用に影響を及ぼさないようにする。そのための基本的な対応方針ということで右側に書いているが、一つは工事中のトンネル湧水量を低減する、もう一つはトンネル湧水を大井川に流すという、この二つを方針の基本に取り組んでまいる。これらを具体化した策だが、工事の実施に伴って各種のモニタリングをやっていくが、そういった結果も反映しながら具体策は実施していきたいと考えている。
 p4について、2として「工事着手前段階における取組み」である。その(1)として「トンネル湧水を大井川に流すための施設計画の策定」である。この施設計画の策定の前提に使っている水収支解析についてお話する。解析の条件設定であるが、環境アセスの時に、トンネル工事による水資源への影響の程度を把握し、水資源の環境保全措置を検討するために、南アルプストンネル全域を対象とし、工事の開始から工事完了後20年間の期間において、水収支解析を実施している。現地の地形の状況が厳しいということもあり、事前のボーリング等の調査が十分できていないということもあり、解析に用いたブロックは、一つの要素が100m×100m×25mと大きなサイズを用いている。トンネルの湧水量だが、大きめに出るようにし、施設の計画上、安全側の見積もり、すなわち、湧水を流すポンプであるとか、濁水を処理する施設の能力が施工時に不足とならないように条件設定を行って実施している。
 p5について、具体の話をさせていただくが、図をご覧いただきたい。前回もお示しした地盤のモデルであるが、上の図の赤い枠で囲った部分は畑薙山断層に相当するが、この部分を拡大したものがその下の図である。この下の図の黒やグレーの部分はモデル上、全て断層であるとか割れ目集中帯として扱っており、左の凡例の赤枠で示しているが、ここで示しているような大きめの透水係数を設定している。断層部といっても実際にはその中に不透水層があったり、あるいは固い層と柔らかい層が繰り返し出てくるといったばらつきを示すことが考えられるが、解析上ではこの断層部をひとくくりで大きな透水係数を設定している。また、解析上はトンネルの構造物としての吹き付けコンクリートや防水シート、覆工コンクリートといった構造は施工していないという状態で計算している。
 p6について、これらの条件設定から、トンネルの湧水量、あるいは河川の流量減少量は大きめに計算されていると考えている。今回の水収支解析の結果であるが、大井川の本流、特に中下流域の水資源への影響の評価、すなわち、保全措置を策定する上では十分活用できると考えているが、実際の影響については、解析結果よりもかなり小さくなるのではないかということで想定している。一方でこの水収支解析モデルだが、流量が少ない、例えば大井川の上流部の小さな沢部の影響検討においては限界があるものと考えている。また、突発的な湧水、数日間といったわずかな時間の出来事というのは表現できないものと考えている。
 次に2について、水収支解析の結果を踏まえた、揚水設備等の計画についてご説明する。計画段階における調査には限界があり、解析結果にも不確実性がある。この限界であるとか、不確実性をリスクと考え、これらのリスクを低減するための施設計画、施工計画を策定している。トンネルのポンプ設備、あるいは濁水処理設備、導水路トンネルといった施設については、トンネル湧水の上限値を設定し、上限値であってもトンネル湧水を大井川に流せるように計画している。この上限値であるが、水収支解析の結果や過去のトンネル湧水量などを考慮して、まず斜坑、先進坑、本坑については上限値を毎秒3トン、導水路トンネルについては、上限値を毎秒1トンに設定している。工事の実施段階においては、トンネル湧水軽減対策を取りながら掘削を進め、地質の詳細やトンネルの湧水量、河川流量、地下水位のモニタリングを十分に行って設備配置を行っていく。
 p7について、計画段階における水資源利用に関する想定リスクについてお話する。湧水量が解析による予測値等を上回ってしまう場合に想定されるリスクを3つ考えている。一つ目は、トンネル湧水量が先ほど、ご説明した上限値を上回った場合においては、一時的に濁水処理施設の処理能力を超えるリスクがあるということである。以下の二つのリスク(②、③) は、工事の安全という観点から山梨県の県境付近を山梨県側から掘削した場合に想定されるリスクである。
 ②について県境付近の畑薙山断層帯の先進坑掘削時に出る湧水量が予測値を大きく上回った場合には、大井川の河川流量の減少量が想定を超えるリスクがある。③について、同じく県境付近の本坑の掘削の際、湧水量が予測値を上回ると先進坑に設置する釜場の揚水設備の処理能力を超えるリスクがあると考えている。工事の実施の段階では、後ほどお話するモニタリングの結果などを踏まえて、リスクを回避低減してまいる。一方、工事による周辺環境への影響についても回避低減を図るため、引き続き工事実施の段階において必要な対応を取ってまいる。
 p8について、モニタリングの実施とバックグラウンドデータの作成ということであるが、河川の流量であるとか、地下水についてこれまで継続的に計測を実施している。この計測については、今後、工事中、工事完了後にもわたって計測を実施していくが、まず、上流域については、p9の図を使って説明する。まず、河川流量だが、図の一番左下に凡例があり、常時計測としては赤い丸で示した3カ所、それから、月1回の計測地点としては緑色の丸で示していて7カ所ある。黒い丸が38カ所あり、年2回の計測をしている箇所である。このうち、特に左上の方に集中しているピンクの丸で囲っている箇所、これは特に冬場、なかなか現地に行けないといったような箇所を対象に沢の状況をカメラを設置して常時監視することを検討している箇所であり、現在、画像の伝送試験等を始めている。次に地下水位についてであるが、図のオレンジの三角で示している箇所が井戸の位置であり、4カ所ある。浅井戸が3本、深井戸が1本で常時計測している。地下水位については、今後、西俣の非常口ヤードでボーリングを実施する予定であり、この調査孔を残して、深さ400m程の深井戸としてこの井戸の観測も追加していきたいと考えている。
 p10について、中下流域の計測であるが、河川流量については緑の三角で示している静岡県等が計測しているところを使わせてもらっている。地下水位については、これも静岡県等の観測井戸、図の赤丸で15カ所あるが、このデータを使用させてもらっている。なお、この図でいくと一番上の方、井川という地区に今後、観測井戸を追加で設置する計画で進めているところ。なお、これまでに取得したデータの一例を別冊に示している。その他、現在取り組んでいる事柄として、大井川上流域と中下流域の河川表流水と地下水の関係性を把握するために、水の涵養標高であるとか、涵養年代の分析、調査を進めており、既に着手したところ。
 p12について、ここから工事実施段階における取組みとなる。まず、トンネルの各掘削段階で共通しているトンネル湧水量の低減策である。下の図も併せて確認してほしい。南アルプスは非常に急峻(きゅうしゅん)な地形でアプローチがしにくいということもあり、地上からの調査は限定されてしまう。そこで施工時は、斜坑、先進坑の掘削時に、まず切羽(トンネル先端)の周辺から前方に向かって高速の長尺ボーリングを繰り返し実施して、トンネルの切羽から前方概ね500mまでの地質の性状を確認しながら進めていく。この高速長尺ボーリングの調査の結果、地質が変化する場所であるとか、破砕帯が想定される場所においては、さらにコアボーリング(穴を掘って円柱状の土質を採取する調査)を行って、地質の性状を詳しく調査する。こういった前方調査によって先進坑の掘削時に湧水が多く想定される場合においては、手前でいったん工事を止めて切羽前方に薬液注入等を行うなどして湧水を低減していく。
 p13について、高速長尺ボーリング実施時の湧水量についても、上限値として長さ10メートル当たり毎秒50リットルを設定して、この管理値に達した箇所については、掘削する手前でいったん工事を中断するということで考えていきたいと思っている。トンネル全体の湧水量の上限値は先ほど紹介した通りであるが、トンネル掘削においては、p13の下の図で、写真等で示している湧水量低減対策を実施して、湧水が上限値以下になるように管理していく。ただし、トンネル湧水量が上限値を一時的にでも上回るリスクはゼロにはできないと考えており、トンネル湧水の揚水設備であるとか濁水処理の設備、これは見直しを図ることも選択肢として考えている。
 p14について、専門家によるサポート体制及び関係箇所への報告についてである。国交省が作成した「土木事業における地質・地盤リスクマネジメントのガイドライン」を読み上げると「工事着手前に全ての地盤情報を明らかにできないことによる安全性や効率性に対するリスクが常にある」「初期の段階で地質・地盤条件に関する情報を適切に捉えられるよう努力すべきであることは言うまでもないが、事業の各段階で利用可能な情報の質と量に基づいた地質・地盤条件の推定・想定と、それが持つ不確実性の程度や特性を理解した上でリスクの評価を行い、設計や施工、維持管理でどのようにリスク対応していくか判断することが重要」とされている。こういったことを念頭に置きながら施工に生かしていくが、例えば、掘削の際に地質、湧水量の変化等において特異な状況が見られる場合には、現場にいる技術者に加えて、現地の情報をインターネット等を活用して速やかに地質の専門家やトンネルの専門家に確認していただくとか、場合によっては現地で確認していただく等、必要な助言をいただき、トンネル掘削を万全に行えるよう、現地のサポート体制を構築していく。また、これらの事柄から得られた結果については静岡県へ随時報告していく所存である。
 p15について、2本の斜坑(非常用トンネル)と導水路トンネルの掘削段階での取り組みについてご説明する。これらの斜坑や導水路トンネルの掘削段階においては、断層や破砕質の箇所の施工があり、河川、沢と交差する。さらには、土被りが1000mを超えるような区間も施工を行う。これらの施工を通じて、様々な地質、湧水の状況、トンネル上部の沢の流況等を実際に確認できるということから、得られた知見はその次の難しい工事が予想されている先進坑や本坑掘削に生かしていく。以下、各斜坑と導水路トンネルについて、具体的に示すが、まず千石斜坑についてご説明する。p15の下の図をご覧いただきたい。千石斜坑だが、全長約3070m、標高約1340mの地上ヤードから標高1080mの本坑の取り付け位置に向かって下向きに10%の勾配で掘り進める。
 p16について、斜坑の掘削工事の前に、準備段階であるヤード整備から始めていく。千石斜坑の施工ヤードは人工林を選定して計画している。林道東俣線沿いの斜面を一部切り土、盛り土して平地を造成し、そこにトンネル掘削に必要な設備を配置していく。
 p17について、この図は千石斜坑に沿った縦断図を示しており、左から右に掘り進めていく。勾配の途中にある平らな部分には、湧水をポンプアップする釜場を設ける予定。比較的小さな土被りで沢や大井川と交差するが、斜坑の掘削は常にボーリングによって前方調査を行い、河川、沢、断層や破砕質な箇所においては、薬液注入や前方先受けといった補助工法も併用しながら進める。トンネル湧水量を計測しながら進めるが、同時に交差する沢や河川の流況もしっかり確認をしながら進める。トンネルの施工を進めることによって実際の地質状況が確認、取得できる。さらに破砕帯や地質の変化があった箇所では、掘削断面の計測の頻度を上げたり、岩石の試験を行いながら、より詳細な地質の状況を把握していく。  p18についてこの図は解析の予測値から作成した、千石斜坑掘削時のトンネル湧水量の推移を示している。傾向としてはおおよそこのような形になると考えている。トンネル湧水量の実測値と解析による予測値を比較して実際の湧水量がどのような傾向になるかを検証しながら、その先の掘削にあたり、湧水量を低減していくための対策を実施し、トンネル湧水の揚水設備や濁水処理設備などの施設計画の見直しも図りつつ慎重に進めていく。なお、トンネルの湧水量は坑口に全部集まる湧水量だけではなく、一定の区間ごとに計測して把握していく。地下水について、千石斜坑においては、田代付近に設置した観測井戸を観測しながら解析との比較をし、実際にどのような挙動を示すのかということを見ながら進める。また、モニタリングをしたり、施工を進めることで蓄積される様々なデータを使って、さらなるリスクの回避、低減をしていくことについては、今後、解析による方法も含めて深度化していく。
 p19について、西俣斜坑についてご説明する。全長約3190m、標高1535mの地上部から標高約1210mの本坑取り付け部に向かって約10%の下り勾配で掘り進める。
 p20について、西俣斜坑の施工ヤードは、西俣川沿いの過去に伐採され、使用された実績のある、既に平地となっている場所を使用する。
 p21について、この図は西俣斜坑に沿った縦断図を示しており、左から右に掘り進めていく。蛇抜沢や新蛇抜沢といった沢と交差をし、図の右側では土被りが1,000mとなる。以下は先ほどの千石斜坑と同様の取組みについて記載している。
 p22について、この図も、トンネル湧水量の推移を解析の結果に基づいて作成している。おおよそこのような形になるということで傾向をしっかり見ていきたい。文章は先ほどの千石斜坑の取組と同様であるが、地下水位については、西俣付近の新たなボーリング孔を使って観測をしていく。  p23について、導水路トンネルについてご説明する。全長約11.4km、うち約9km は図の右下の標高約1120mの地上部からトンネルボーリングマシンを使って上向き0.1%の勾配で掘り進めていく。図の中央付近に連絡坑と記載した箇所があるが、千石斜坑からの連絡坑が整備でき次第、導水路トンネルの取り付け部の約2kmはNATM(ナトム工法=想定外の地質に対応しやすいトンネル掘削方法)で施工するという計画で考えている。
 p24について、導水路トンネルの施工ヤードも過去に伐採され、電力会社が使用した場所に計画している。
 p25について、この図は導水路トンネルの縦断図を示している。上下3段のうち、一番上の図の左から右に向かって掘り進めていく。坑口の300m付近まではNATMで計画しているが、なぜかと言うと、トンネルボーリングマシンを据え付けるための場所を確保するということで、最初にNATMで少し掘り、そこからマシンで掘削をしていくが、前方探査は行いながら進めていく。一番下の9kmと記載したところから取り付け部までがNATMの施工となる。この導水路トンネルは比較的小さな土被りでいくつかの沢と交差するため、沢の状況をしっかり確認しながら施工を進めていく。
 p26について、このグラフも同様に導水路トンネル掘削時の湧水量の推移を解析結果に基づいて作っているが、赤い線はトンネルボーリングマシンの施工区間の湧水、青線はNA TM区間の湧水であり、一時期に同時に施工するため、今回このような表現をさせていただいた。おおよそこのような傾向になると考えているが、実際の湧水を観測しながら慎重に進めていく。このような取組みは先ほどご紹介した斜坑の取組みと同様である。
 p27について、これまで斜坑と導水路トンネルの施工について取り組みを説明してきたが、斜坑の次は先進坑の掘削となる。先進坑の掘削において大きな課題となる畑薙山断層付近の掘削について説明する。p27に平面図と縦断図を示しているが、畑薙山断層は山梨県との県境付近の静岡側に位置しており、縦断図をご覧いただくとトンネルと800mにわたって交差すると推定している。位置関係としては、この図の通りとなっており、p28を読み上げると、この畑薙山断層の付近を工事の安全の観点から山梨県側から掘削することを考えると先進坑を掘削する段階においてトンネル湧水が山梨県側に流れてしまうこととなる。そのため、この付近を掘削する際には切羽の周辺からコアボーリングを行うなどして、地質の詳細な性状を把握して、薬液注入によって透水しにくいように改善するといったようなことをしながら、できる限りトンネル湧水量を低減するということで取り組んでいく。湧水量を計測しながら、掘削の計画も随時見直しながら、慎重に施工していくが、一方で薬液注入によるトンネル湧水の低減には限界があるということも考えると、場合によってはトンネル掘削を安全に進めるためにトンネル周辺の地下水、水圧を下げていくという対策も取らざるを得ない、という場合も出てくるだろうと考えている。そのような対策を実施するに当たっては、河川流量に与える影響について、それまでに得られた地質データと坑内からの前方探査で得られたデータを用いて詳細な評価を行って、対策の内容を考えていく。
 例えば、場合によっては、静岡側からのボーリング等についても検討していく。評価や検討に当たっては、専門の技術者も参画するという特別な体制を構築していくことを考えている。先進坑が静岡県側から貫通した段階からは、湧水は先進坑を通じて静岡県側にポンプアップする。先進坑に続いて、本坑も山梨県側から掘削する場合は本坑を含めた湧水の全量を確実に静岡県側にポンプアップできるよう、それまでに得られたデータを用いて湧水量を予測して、ポンプの設備等の能力を整える。こういった設備を整えることによって、将来にわたって静岡県内の湧水を全量大井川に流していく。
 続いて、p28の(5)「モニタリングの実施とデータ公開」についてである。トンネルの掘削が進むに連れて、湧水量、表流水、地下水位についてはモニタリングするが、このデータについてはしっかり公開し、河川管理者の方々には必要なデータを提供していく。
 p29の4「工事完了後における取組み」についてである。今、説明したモニタリングについては工事完了後も確実に実施していく。データの公開、提供についても同様に継続していく。
 5「大井川中下流域の水資源利用に影響が生じた場合の対応」についてである。引き続きデ ータの計測はしていき、その変動を把握していく。その際、その計測したデータを基に水資源 利用に影響があった場合にはトンネル掘削との因果関係の有無について客観的に、公正な判 断をいただけるように公的な研究機関や専門家の見解が得られるような仕組みを整えていく。当社としては、因果関係の有無についてはその見解を尊重する。以上が本編の説明となる。
 次にデータ集を紹介する。
 資料2(別冊)のp1、p2についてであるが、大井川の流量と現況をまとめている。
 p3は実際に測った上流域の流量である。p4はそれをグラフ化したものである。
 p5は上流域の沢の流量をまとめたものである。数字がいくつかあるが、上から豊水期の流量、次に渇水期の流量、3段目は一部の大雨の影響を除いた渇水期の流量を示している。また、流域面積、標高も示しており、赤のかっこ書きは比流量を計算したものである。
 p6からは中下流域の流量のデータである。緑の三角が調査地点となる。p7、p8は流量の計測結果である。
 p9は先ほど紹介した井戸のデータである。本編p9の凡例で「2番」としている浅井戸と深井戸の地下水位を示した資料である。この結果を見ると深井戸の方が地下水位が高いという結果になり、先生方からいろいろとご意見をいただいているが、なぜかということはなかなか結論を出しにくいので、今日のところはこうなっている、ということで紹介させていただく。
 p10からは中下流域の地下水に関わるデータである。15地点のデータを表でまとめている。
 p13の下のグラフには各井戸の水位の年平均を約10年分まとめたものを記載している。
 p14からは少し細かくなるが各井戸の月平均を月ごとに水位をまとめたものである。
 p19は大井川の利水の状況ということで、上の図は全体を、下の図は中下流域を少し拡大したものである。赤い数字は実際に利水者が使っている水の量を示している。
p20は地下水の利用状況について、いただいたデータをまとめている。
 p21は水収支解析の結果である。前回の会議でも説明した内容である。地下水について質問をいただいているが、現在作成中である。
 p22はトンネルの大きさのイメージを描いている。導水路トンネルのNATMとTBM(大きな掘削機械を使って比較的早く掘り進められるトンネル工法) についてはスケールに間違いがあったので次回までに修正する。


データの持つ意味、丁寧に説明を

 (委員・丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダー)
 まず資料1について、本意でなかったところがあるので訂正をお願いしたい。2の水収支モデルの(2)モデルの構成の中の②だが、これは私が申し上げたことで、「このメッシュ感では工学的にはいいかもしれないが、地表水の環境を考えた水科学的にはまずい」という文章になっているが、自身としては、モデリングの最初の段階で工学的な設計のため、あるいは安全性評価のためには、このように安全側に立った概略計算で良いが、環境を考えた水環境科学や、あるいは(水利権などの)社会科学的に地域、住民を考えた場合には少し説明足りないのではないか、もう少し細かく計算する必要があるのではないかと申し上げたつもりである。「工学的にはいいけど科学的にはまずい」と発言したつもりはないということをまず訂正させてほしい。
 モデリングに関連して申し上げると、p6において、このモデルでは大きめにトンネル湧水を評価している、あるいはp12において、グラウトなどの湧水量を低減させる方策が記載されているので、このモデルや計算では不十分だと認識されているはずである。是非、リアルな値がわかるモデリングあるいは計算を実施していただきたい。モデルの更新に時間がかかっているのは残念である。
 (資料1の)一番最後の4「JR東海の説明姿勢、資料作成方針」について、①は「誰が見ても分かるように」、②は「全体のストーリーが分かるように」お願いしたいと書いてある。特に②の方は私が発言した内容であるが、例えば、今日の資料2で、表紙をめくると目次に1.~5.とあるが、1は大井川中下流域の水資源の利用に関して基本的な対応姿勢というのが肉厚に書いてある。ここは当然だが、2、3について、工事着手前の段階における取組みとか工事実施段階の取組みと書いてあるが、これは大井川流域の住民から見ると、JR東海の発想、都合で作った資料でしかないと言わざるを得ない。例えば、住民の気持ちになって見れば、2の記載事項としては、現状の大井川がどうなっているかを記述してください、それから3で工事の進捗によって大井川にどういう影響があるのかというのが分かるようにしてください、というのが住民の皆さんのご意見ではないかと思う。
 この有識者会議の場というのは科学的、工学的な議論を重ねている。今日の資料もそうだが、国土交通省のホームページを通じて大井川の地域の住民の皆さん、ひいては国民の皆さんに資料や議論を公開するわけなので、相手方が求めるような結論なり、議論を進めていただくことが必要だと思う。
 工事がどうなったということは、途中の段階では勿論必要だが、住民の皆さんや国民の皆さんからは、現時点で強く求められていないのではないのか思う。特に3(5)(p28)以降については、非常にあっさりと書かれている。データを着実に提供しますとか、専門家の公正な意見を聞いて客観的に判断するというようなことがさらっと書いてあるが、やはりこれはさっきの全体のストーリーを示すということを考えると、2、3のところも十分に解析を行っていただき、今回の工事ではどんなリスクが生まれて、そのリスクのうち、どこまでが許容できる、どこからが許容できないといったようなことを示すべきだと思う。あるいは、想定されないリスクが起こった時にどうするのかということ。住民の皆さんからしてみれば、補償してくれるのかどうかという話になるが「データを提供します」とか「慎重に考えます」あるいは「公正な判断を専門家に求めます」だけだと、最後になって「やっぱりできませんでした」ということになってしまい、それだと住民の皆さんは納得しないと思うので、もう少し丁寧な説明が必要だと考える。
 その一例として、資料2(別冊)のデータについて、色々なデータを集めてきちんと報告していただいたのはありがたい。一つ言い忘れたが、本日の資料も文句を言っているわけではなく、前回より良くなっているということを遅ればせながら申し上げ、JR東海の資料作りに感謝したい。その上で、資料2(別冊)については、データが出ているだけで、何がどうなのか説明がほとんどされていない。専門家にとってはいいが、地域住民の皆さんにはわからない。例えば、大井川の水量や地下水位も月平均をグラフ化しているが、なぜ月平均でいいのか分からない。
 また、降雨への応答も分からない。例えば、降水量の変化に対して、河川水量は下流域では平滑化されるが、上流域では非常に応答がきついと、厳しいということが分かれば、モデル化すべき現象の時間遅れも検討することによって、例えば、モデルの計算のタイムステップを1ステップが1ヶ月でいいのかどうか判断できる。50年とか100年とかいう単位で計算するのだろうから、1ステップは1週間とか1ヶ月ということになろうかと思うが、適切な判断はバックグラウンドデータから出てくるわけであり、それを県民の皆さま方に分かるように、バックグラウンドデータがどういう意味を持っているかをもう少し丁寧に説明していただきたい。まずは全体的なところだけで恐縮だが、私が意図しなかった発言も含めてご検討いただければと思う。


フォローアップの体制構築を

 (委員・大東憲二大同大教授)
 非常によくまとめていただいたが、まだまだ不足しているところがあるなという感想である。p3のフローチャートについて、一番下に※が付いており「自然環境の影響については、一 部の沢等では影響が生じるおそれがあると予測しており、~」と書いてあるが、ここのところ を住民が一番関心を持っていると思う。水収支解析でどの沢で影響が出るのか、それが大きく出るのか、小さく出るのか含めてだが、それをまず明示していただくのが大事だと思う。 それによって、大きく影響が出るところ、前回も述べたが、基底流量だが、雨が降らないときに 一番地下水が湧き出してきているところ、その流量にトンネルが影響を及ぼしますよと示し、その流域はどこなのかを明示して、そこでまず流量観測を実施していただいて、今後、そこの観測を重点的にやりますという方針を示すことが住民達の安心感につながっていくと思う。
 確かに地形的に急峻で冬場は入れないなど色々あると思うが、その大きく影響を受ける流域の地下水位の低下が大井川そのものの本流の流量に影響を及ぼすようであれば、当然そこはしっかり観測しなければいけない。つまり、モニタリングもカメラで影響を監視しますだけではなくて、実際に流量がどれくらい変化するのかというところも、観測データをテレメータ等で飛ばすところも含めて検討していただきたい。流域の全部を観測しろということではなく、影響が大きく出そうなところを限定して、優先順位を付けてそのようなモニタリング体制を作るというのが必要であると思う。
 資料2(別冊)p9について、地下水位のデータがあって、被圧されている理由が分かりません、というコメントをされたが、資料2のp17の千石斜坑の縦断図と地下水位を比べれば、かなり明確に説明が付くのではないか。というのは、この千石斜坑、観測した田代付近というのは大井川と交差する付近に掘られていると思うが、浅いボーリングの地下水位観測深度はおそらく粘板岩層に入っており、ほとんど水位の変化がない。ところが、深いボーリングの観測深度はその下の砂岩粘板岩互層ということでかなりもまれているし、その上部の緩い地質の区間が連続している。その下の被圧地下水は上部の緩い地質の地下水と連動していて、降雨に非常に敏感に反応している。要するに、降った雨に反応するような被圧地下水位になっている。しかも粘板岩層によって若干ふたがされているので被圧になっているというような解釈ができる。 そのような考察をしながら、このデータに対するコメントがほしいと思う。このようなデータを検討すると工事に対する影響にも使える。粘板岩層を掘っているときはそれほど地下水位に影響は出ない。ただし、断層を掘る時は若干地下水位に影響が出ると思われる。しかし、砂岩粘板岩互層に入った時には、かなり地下水位が高いのでそれなりの水が出てくると思われる。そうすると、モデルで書かれた折れ線の湧水量のグラフは必ずしも適切ではない。ここまではシミュレーションのモデルでは再現できてはいないかもしれない。そうであれば仕方がないが、実際に掘っていく時に、断層に当たった際の上からの水圧は相当なものなので、工事は非常に難航すると思う。
 それから、水を抜いた際に帯水層の岩質が変わった場合には水の出方もまた変わるであろうと思う。こういったことが、今までの調査でもかなり説明が付くのではないかと思う。これは工事を実施する側の問題であるが、結果的には、湧水がたくさん出る流域の地下を掘れば、基底流量に影響を及ぼし、沢の水が減少するということもある程度予測ができるのではないかと思う。従って、そのようなデータを示していただき、この沢では流量が減ってしまう可能性があるので、だから、このような対策を講じますというストーリーで説明いただくのが住民の方々も分かりやすいのではないかと思う。
 ここまでは事前の段階の話であり、工事中にいろいろなことがあった場合に、先ほど、委員も指摘されたが、どのような形でフォローアップするのか、その体制をどのように構築するのかというところまで示さなければ、何が起こるか分からない、起きた場合にどうするのか、ということに対して説明が付かない。前回も北陸新幹線の深山トンネルの事例をご紹介したが、フォローアップの仕組みを作り上げて工事を始めて行くということをやった。是非、そのような考え方を取り入れていただけるとありがたいと思う。


簡単に地下の状況は分からない

 (委員・森下祐一静岡大客員教授)
 地下水位が地質断面図に示された地質と対応付くのではないかという話があったが、例えば、p17の地質断面図にしても、これはこのまま事実であるということにはならない。整然と堆積したような地質であればいいが、ここは付加体(プレートの沈み込みで、はぎ取られた地質)であって、そんなに簡単に地下の状況が分かるような話ではない。ただ、何本か短いボーリングはされていると思うので、お話のような地下水位との対応が付くのだとすると、ボーリングで確認されているところと単なる推定のところとを分けて地質図を示していただければ役に立つのではないか、とお話を伺って思った。
 この地質断面図はかなり以前から示されているが、この図を見ると地下がこうなっているかのように思いがちであるが、普通はそうではない。先ほど申し上げたように、ボーリングで実際に確認したところとそうではないところがあるはずなので、段々と議論もリアルになってきているので、そこのところのデータの質を考えていただいた上で表現していただけると、例えば、先進坑でコアボーリングを実施し、前方の地質がはっきりと分かるようになってくる段階において、この地質断面図もリアルタイムで改善されていくことになる。この地質断面図は現時点ではたたき台であって、本当にこうなっているとは思わないが、段々改善していけるといいのではないかと思う。


地質断面図が正しいと言っていない

 (委員・大東憲二大同大教授)
私もp17の地質断面図が全て正しいと言っているわけではなく、少なくともこのボーリング孔がある場所については、地下水位の変動を見ると、地質の境界の上と下をこのボーリングから水位を測っているんだろうな、という趣旨でご説明したものである。当然ながら先進ボーリングをしながら更新していかなければならないものである。

確認している部分は表現して

 (委員・森下祐一静岡大客員教授)
 それは理解しておりまして、昔からこの図を使い続けているので、分かっている部分、確認している部分であれば、そのような表現にしていただきたい。その方が使いやすいし、有益な情報になるのではないかということで申し上げた。


 (委員・大東憲二大同大教授)
 分かりました。


漫画のような記載

 (委員・西村和夫東京都立大理事)
 地質状態が分かっているところと分かっていないところがあるという話だが、観測井を掘る際に地質データも取っているはずである。そのようなポイントごとのデータを押さえておくということは価値があることだと思う。p17のような推定地質縦断図の中に、もしそのような点があれば、そこのポイントのボーリング柱状図を示しておくということはできるかもしれない。今は漫画のようになってしまっており、データがあるのであれば合わせて記載しておくのが良いと思う。


材料あるので、まず料理してしまう

 (委員・徳永朋祥東大教授)
 今までに比べて、どのようなことをお考えになっているのかということが、かなり明確な資料になっていると思う。かなり努力されているのだと思う。これまでもいろいろな議論があったが、資料2(別冊)であるが、委員も指摘されていたが、データがこれだけそろっているということについて、現状、この地域をどのように考えているのかというデータの整理と解釈を示していただけると良い。新しいデータを取ることは非常に難しいことであるが、既存のデータに基づいてどのように位置付けているのか、どのように考えているのかということを速やかに整理していただいて、そういったところに掘削を進めて行くといったことを考えるために、先ほどご説明いただいたような内容をどのように整理しているのかという形で説明していただくと、かなり理解も深まるのではないかと思う。折角これだけのデータを集めておられるので、委員の指摘にも関わるが、上手に示していただければと思う。
 現実問題として、いろいろとデータを見させていただいていると、p9に書いてあるような「高橋の方法による予測検討範囲」というものが、ある意味、比較的単純であるけれども、トンネル掘削の影響によって水がどのくらい影響を受けるのかということを、まず今ある理解に基づいて検証しているということだと思う。それに対して、その範囲内にこれだけの観測地点を設けて、今できる現状の技術と条件の下に計測している、さらにその範囲の外側でも計測しているということだと思うが、先ほども申し上げたが、これらをどういう位置付けで計測しているのか、データをどう理解して、実際に持っている情報量が少ない中でも考えていることに基づいて設計しているということは、どういう考え方なのかということを説明することがお互いの理解を深める上で重要だと思う。ある意味材料はあるので、その中でまずは料理をしてしまうということだと思う。


特に重要な所はどこか考えて

(座長・福岡捷二中央大教授)
やはり、現場のデータが出てくると、これまでの解析の持つ意味、考え方がわかり理解の幅が広がる。観測が大変な中で、それぞれの沢で河川流量が計測されているが、どういう状況の沢でデータが取られたのかを知りたい。河川流量とともに水位や地下水位がどうなっているのかといったことを含め、写真なども示していただけたらもっといい。現地の状況が想像しづらいところがあるので、写真なども見ながら、今後想定される工事のことも意識して、工事前、工事中、工事後の地下水面、流出水の変化などが議論でき、解析にも生きるようにしていただけたならば、より望ましいと思う。そのために、特に重要な所はどこなのかということを考えて調べた方がよいのではないか。現場の状況を考えると全箇所を調べることは難しいと思われるので、トンネル掘削が与える影響を想定し、これまでの検討結果を考慮してデータを集め、検討することが大切と思われる。
また、委員のご指摘にあったように、この資料は誰に向けて書いているのかを確認させていただきたい。静岡県民に分かっていただくことは重要で、JR東海の言いたいことを中心にまとめているのではないかというご指摘である。静岡県民に対して分かりやすくということは、私が委員を引き受けた時に一番大事だと思ったことであり常々言っていることである。専門家なら資料を見て分かるということかもしれないが、専門家でも分からないところがまだある。この会議は、リニア新幹線事業を着実に進めるうえで検討結果が科学的、工学的に確かなものとなっているかを検討、確認するとともに、地域の方々に理解していただけるよう説明力を高めることも求められている。この資料を作った思いをJR東海宇野副社長に語っていただきたい。


資料の分かりやすさ、これからも努力

 (宇野護JR東海副社長)
 今回の資料は、今までと異なり文字は多いが、私どもがトンネルを掘ることと、懸念される河川や地下水への影響がどのように関連しているかということを、できる限り時系列で表すことで、できる限り県民に対して分かりやすくできないかということを意図して、素案という形ではあるがまとめてみたものである。本日もいろいろとお話をいただいているが、意図するところは、一般の方々に分かりやすく、影響の可能性とそれを回避低減する方策がリンクしているということをご理解いただけるような資料としてまとめていきたいということであり、これからも努力はしていきたい。


県民の理解得るには足りない

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 よろしくお願いしたい。良い資料にはなってきているが、まだ専門的で、県民の理解を得るには足りない部分があるのではないかという指摘に対して、さらに努力をして改善していただきたい。


受忍できるかは受け手の話

 (委員・沖大幹東大教授)
まだ頭の中も整理がしきれていないが、不確実性も認めていただき、モデルの限界も認めていただき、情報も公開するということで、前回の我々の議論を最大限に受け止めていただいたものと思っている。いろいろと議論がある中で、私としては下流市町の水資源利用への影響ということが一つの大きな関心事として、そこに対してこの資料を基に頭の整理をしているところである。トンネル内湧水は全量戻すということであれば、その量が果たして毎秒2トンなのか毎秒1トンなのかということは、下流の水資源利用には影響はしないのではないかという気が私としてはする。
 問題はp7にリスクとして書かれている先進坑掘削時の毎秒0.08トンの流出が約10カ月続くということだが、約10カ月だけでも約260万トンの水が県外に行ってしまうということになる。それは大きな量のように思えるが、かたや今日お示しいただいた資料には、大井川の神座地点において、水利用との関係で分からないところがあるが、川口発電所で取った後、毎秒90トンから差し引いた残りが平均流量毎秒74トンということだと思う。大井川の流域面積からすると、毎秒平均流量74トンはやや大きい気もするが、毎秒0.08トンはその1000分の1くらいであり、渇水流量に対しても1/50くらいなので、河川流量の観測精度に照らして相対的に小さいと思う。実際に受忍できるかどうかは受け手の話であり、客観的、科学的に受忍限度を超えたリスクであるだとか、受忍限度以内のリスクであるかまでは言えないと思うが、平均流量自体も年によっても3倍くらい変動がある中で、ある年、10カ月間は毎秒0.08トン少ないということを、観測することは無理だが、気持ちとして許せないと思うのか、それくらい小さい値であれば問題ないとするかは、この会議で結論が出る話でもないかとは思うが、何と比較してこれが大きいか小さいかということを示すことが大事ではないか。私が思うに、下流の市町は何かあった場合の補償がほしいということではなく、今までと同じように水を使いたい、あるいは他所に水が行くのは嫌ということであり、その気持ちをくんでいただいて、何が不安なのかということをしっかりと理解して、何か比較する対象を考えていただくのが良いのではないか。例えば、毎秒0.08トンと毎秒2トンは全然違う話であり、毎秒2トンは渇水流量に対して3分の1であって、ものすごく大きな値である。毎秒0.08トンはそれとは違うので、これをどう考えていくかということを、是非、県民に寄り添って考えていただきたい。


山梨県への流出は大変重要な課題

  (座長・福岡捷二中央大教授)
 委員から、工事のある段階で、静岡県の水が山梨県に出てしまうことについて、有識者会議としてどのように判断して行くべきか議論が必要というご意見をいただいた。これは、静岡県からこの有識者会議に対して出された47項目の検討課題の中に含まれている大変重要な課題である。それを今、議論することも可能であるが、問題の重要性を考えると、まずは、J R東海が、委員から提供された問題をどう考え、説明しようとしているのか、私としては、今日の資料ではその点に関しては十分ではないと思います。判断の背景等をもっと丁寧に整理して示してもらう必要があります。次回の会議で JR 東海からの資料に基づいて議論したい。この段階で、委員のご意見に関連しての議論をいただきたい。


湧水をきっちり戻せば量が減ることない

 (委員・徳永朋祥東大教授)
委員に関連して、トンネル掘削による地下水の影響がどれくらい下流に影響するかということについてであるが、地下水を専門とする技術者としての感覚であるが、透水性の高い1.0×10のマイナス7乗m/秒くらいの透水係数であっても、これだけの流域の深いところの水が、地下水として途中で河川に出て行かないと地下水位が非常に高いことになってしまう。そういう意味では上流の方の地下水は河川に流れていっているところが結構あるのではないかということを感覚として持っている。そうすると、トンネル湧水をきっちりと河川に戻すということが適切にできれば、それよりも十分下流に関しては、質は別にして量の面で減るという議論にはならないと思う。逆に、透水性が非常に高く、地下水で流れていく分が下流側に影響を及ぼすということであれば、下流側影響はしっかりと考えなければならないが、透水係数が1.0×10のマイナス6乗~10のマイナス7乗m/秒くらいで一部断層があるという水系であれば、上流で降った水のかなりの部分は河川に出て行くというパスを描くと認識している。その部分の整理は明確にされた方がよい。委員としては、考え方としてはそのようにお考えか。


沢の方向や場所によって違う

 (委員・丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダー)
 委員との話も必要だが、(地質や地形により)沢の方向や場所によっても違うところもあるが、大筋は委員の考えのようになると思う。


数字の独り歩きは困るが、あくまで解析

  (委員・大東憲二大同大教授)
 私も大体同じである。沢にも種類がいくらかあり、それも把握されていると思っている。シミュレーションでは、ある程度再現されているとも思うので、それを見せていただくということだと思う。沢の流量の変化が大井川の流量にどのような影響を及ぼすかについては示すことができるはずなので、前提条件がたくさんあるので数字が独り歩きすると困るということだと思うが、あくまで解析なので、こういう前提で解析をすればこのような結果になるということをご説明いただければ皆さんも納得すると思う。
 私が35年程前に行った水収支ブロックモデルによる地下水状態解析の研究成果が掲載されている学位論文と国際会議に投稿した論文を事務局に送ってあるので、ぜひ委員の皆さま、JR東海もその研究成果を参考にしていただければと思う。


透水係数の説明が足りない

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 委員に伺いたい。委員が先の 2 回の会議で岩盤の透水係数に関連してご意見を述べられ、疑問を呈して来られました。おっしゃる通り透水係数がどのように与えられ、解析の中で、どのように扱われて来たかの説明が足りないように思うし、そこが分からないと、議論を進めにくいという指摘を考えなければならないと思う。JR 東海は、今回の資料の中で工事を進めながら、データを得て解析モデルを少しずつ精度を上げていこうとしています。水収支解析で、何を用いて、どういう考え方で設定され、検証したのかこれまでの資料ではその辺りが見えない。もう一度、委員からJR東海にどうしていただきたいか説明をお願いしたい。


具体的な数値や初期条件示すのが出発点

 (委員・森下祐一静岡大客員教授)
 このことは専門部会の時からかなり質問していることであるが、JR東海からは水収支解析の結果だけ出てきており、どのように設定されたのかは出てこない。委員からは、そもそもの解析ソフトももっと最新のもの、国際的なものがあるので、そちらでやってほしいとの意見を散々申し上げているが、JR東海からは、高橋の方法だとか国鉄時代のものを使用すると言われてしまうので、そうなると私達としても結果を検証できない。今、委員からご指摘頂いたように、どのような考え方で検証したのかということもそうであり、具体的な数値や初期条件を示していただくことが出発点であると思う。


JR東海は説明が必要

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 私は、モデルの限界や制約については理解しているつもりである。しかし、委員の水収支解析についての指摘については、そこを説明しないと、この会議はそこの議論に戻ってしまう。JR 東海は、説明が必要であると思う。他の委員のご意見をいただきたい。


モデルにはおのおの限界がある

 (委員・徳永朋祥東大教授)
 モデルはおのおのの特性があって、おのおのの限界がある。何の為にモデルを使うのかということによっても変わってくるものだと思う。まずはどれだけの情報を持っているのかということ。個人的に思っているのは、今回の議論の中でモデルは地下水の話で使用しているが、地下水の状況との比較ということがしっかりとできていないことが気になる。これも以前から申し上げているが、井戸を掘って水位をたくさん測らなければ比較できないということではなく、今の情報量から説明すると、河川の状況と地下水位は一定の関係を持っており、亀裂性の岩石や層状地質帯でないところの地下水位については、涵養量と透水係数の比で決まると考えられている。そうすると、地下水位高さと、もしくは河川の水が常に流れているところと、計算上の地下水位の比較をすると、100m×100m×25mのラフなメッシュではあるが、そこから議論できることはこういうことであり、それと観測井を比較してこのような検証をしているということは説明できるのではないかと思う。これだけしか情報がない中で、非常に高級な地下水流動モデルを使うことによって、どれだけ新しい情報が得られるかが分からないという感覚も私としては持っているので、やはり現場がどうなっているのかということと、モデルがどうなのかということを見合わせながら議論をしていかないと、モデルだけの話に陥ってしまうということは気をつけなければならないと思う。


 (座長・福岡捷二中央大教授)
 JR東海には、次回の会議でこの点についての資料を示していただきたいと思うが、JR東海澤田さん、ご意見があれば述べていただきたい。


今のデータでは中下流域に理解いただけない

 (沢田尚夫JR東海中央新幹線推進本部次長)
 先ほどの委員との話の中において二つの事柄があると思っており、一つはこれまでわれわれが行ってきた水収支解析のデータの入れ方だとか、前提条件は何かということをしっかりと示しなさいということだと思う。これまでも説明してきたところはあるが、まだ見せ方であったり、不足があったりする部分はあると思うので、ここはしっかりとご説明していきたい。
 二つ目の事柄は、委員からもご指摘があったが、別の方法や別のモデルを使った解析を改 めて実施するかどうかということだが、これは静岡県とも随分やりとりをしてきている。どんなモデルを用いるのが適切なのかということも議論があると思うが、モデルに入れるデー タや前提条件については、どうしても、モデルに入れ込むデータがなかなか足りていない。さらに 言うと、何の為にやるかということを考えた場合、今回は工事が適切に施工できるかや中下 流域にトンネル湧水を戻すために十分な設備を整えられるかという観点で検討を進めてきた。今回、なぜ、改めて解析を実施するのか、ということを考えた時に、同じような目的でやるの か、あるいは中下流域の方々にご理解をいただき、ご心配を解消するために行うのか、ということ になると、どのようなモデルを使っても、今のデータだけではなかなかご理解いただけないのではないかと思っていて、躊躇している。まずは今までやってきたことをきちんとご説明させていただ くということと、解析を別のモデルを使ったり、あるいは今回の解析をやり直すにしても、そ こに入れるデータはトンネルを少し掘ってみて、情報を得た上で、その次のステップに生かすということはできないかと思っているので、そのような方向性については、先生方のご意 見をいただきながら決めていきたい。


資料は疑問に答えていない

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 私が言いたかったことは、新しいモデルでどうこうということではなく、今の解析モデルにおける限界や不確実性は分かっており、使い道も分かっているが、現場でのデータをどのように使っているかが分からないところがあるということです。解析モデルの中でこういうことをやっていますということが分かる説明がほしい。その結果としての解釈は、この会議で議論することであって、今すぐ別の作業をしていただきたいということではない。本日出していただいた資料では、まだ疑問に答えていない。静岡県の水資源部会の専門部会長である委員が最初から指摘されていたということは、この会議においても問題として、捉えなければならない。その上で、この会議の中でしっかりと説明してもらいたい。委員がおっしゃられたことはもっともだと思うが、そういうことも含めて、説明していただければと思う。先ほど、委員からの重要な指摘もあり、これらの判断をしていくうえで、ベースのところはしっかりさせて、各委員の共通認識の中で議論をすることが必要と思っている。


トンネルを掘れば断層の位置や岩質が違うと分かる

 (委員・大東憲二大同大教授)
 モデルの初期条件や解析結果の話が出ているが、先ほどの学位論文の中でもトンネルを掘って行くに従って、当初の調査とは全く違う地質状況や断層の位置が変わっているということがあり、その都度モデルを作り変えるということをやった経験がある。実際にトンネルを掘れば断層の位置や岩質も違っていたということが分かることもあるので、その予測モデルも作り直す必要があるということで、何度か時期をみて作り変えている。今回は水収支解析のモデルなので、ブロックそのものの形状は変えられないが、そのブロックに入れる地質の情報や透水係数については、分かった時点で入れ換えてある程度計算がやり直せるはずである。水収支解析は、短時間で非定常の計算ができるというメリットがあるので、どのタイミングでモデルを見直すかの話はあるが、ある程度データがそろった段階で、流量がどれくらい変化するのか、どこの沢が枯れるのか枯れないのか、当初の計算では枯れるとなっていたが、実は枯れなかったといった将来予測の見直しが必要である。新しい地盤情報をどんどん入れていって、モデルを修正しながら再計算していく、そのようなフローを作って住民に示すということが安心感を与えることになる。不確定要素があり、それが分からないと説明すれば、ずっと分からないままであり、そうではなくて情報が分かり次第バージョンアップしていく、新しい情報を提供していきますという新しい流れを示すということが大事ではないかと思う。


流量予測のモデルの刷新を

 (委員・丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダー)
 今の委員からの説明にもあったが、本日の資料の中でJR東海は今回の計算ではトンネル湧水を多く見積もっている、あるいは、対策工をこれから行うのでもっと減るはずだと文章としては書いてある。委員からご指摘のあったモデルのリニューアルをどんどん続けていけば、JR東海にとっても有利になるし、住民の方々も安心されると思う。アップデートをぜひお願いしたい。


 (座長・福岡捷二中央大教授)
 ただ今の意見に対して、JR東海から、付け加えることはありますか。/p>

モデルの刷新は取り入れていく

 (宇野護JR東海副社長)
 モデルをリニューアルしていく、新たに得られたデータを用いて再計算していくことで、より現実に即した形で結果を見ていくことは大事だと思うので、そういう方向の話は取り入れていきたい。


ざっくり感から抜けられず

 (委員・西村和夫東京都立大理事)
 モデルのリニューアルの話が出ているが、今時点では物性値もざっくりなので、いくら細かい計算をしても、雑さ加減、ざっくり感からは抜けられない。トンネルの施工においては、前回会議でもお話したが、ここの現場で言えば、斜坑や導水路トンネルに相当するトンネルといったパイロット的なトンネルを掘って確認していくことになる。トンネル施工に当たっては事前に計画を立て、どのような事象が生ずればどのように対応をとるかというフロー図も作成する。そのようにあらかじめ準備をしておいて、パイロット的なトンネルを施工して検証していく。本坑において何か対策をしなければならない時に、その対策が有効かどうかについて、事前にパイロット的なトンネルで試験施工を行い、状況を確認したりする。
 先日の会議で紹介した「土木事業における地質・地盤リスクマネジメントのガイドライン」にも書いてあるが、何も掘らないで物性のデータを取得するということは限界がある。ステップごとに確認しながら、トンネルを掘りながら計測管理を行い、それをどのようにフィードバックしていくかということだと思う。それはトンネルの中に対しても外に対してもである。そのようなことが事前に用意できていなければならない。本日も話にあったが、現状のモデルに入力している物性値、例えばp5にも計画路線付近のボーリングデータによって得られた地質状況が書かれているが、初期値がいくらで、解析過程においてどのくらい修正したのかがわからない。その辺りの情報がないので判断がしにくい。
 領域が広い、データも少ない、限界もあるといった中で、どういう数値を入れたかということについても、既往の調査結果に基づく代表値を入れているのかもしれないが、p5の※もあっさり記載されているが、どのように値が初期値から変化したのかも一つの判断材料になる。ボーリング調査においても、掘進にともなって特定の地層から水が出てくることがあると思うが、それらの記録が残っているはずで、有力な情報となる。解析の初期値の話なども含めて、そのようなデータは専門的すぎて一般的ではないかもしれないが、付録などとして記載していただくと専門家の判断の参考になるので、類似のそのような情報もプラスしていただければと思う。


次回に解析とデータの扱い方の説明を

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 私が言いたかったことを委員から丁寧に言っていただいた。ありがとうございます。出された意見を勘案して、JR東海のモデルを用いての解析の考え方、解析でのデータの扱い方を示す説明を次回の会議でお願いしたい。


ボーリング調査を地図上に示して

 (委員・大東憲二大同大教授)
 先ほど、ボーリング調査の話があったが、今回の資料のデータでは地下水位の観測点のデータしかないが、かなり地質調査としてボーリング調査をされているのではないか。そのような実際にどこでどのくらいの深さまで掘ったのかというデータも地図上に示していただけると、先ほども話があったように、ボーリングを掘っていく際の孔内水位の変化が、おそらくその地域の地下水の分布状態を示す重要なデータを出してくれる。そのようなデータも見られるように、専門家がこういう地盤状況になっているのだなということが判断できるようなデータを有識者会議の場で見せていただけるとありがたい。


掘削ではトンネル周辺のデータが増える

 (委員・徳永朋祥東大教授)
 調査をする、もしくは掘削を始めるとデータが取れていくということはその通りであるが、それは、トンネルとトンネル周辺のデータが増えていくということである。例えば、前回の会議資料を見ていると、今回のモデルは500km2くらいをモデル化している。よって、モデルを常にアップデートし、自分たちが確認できるものはどれくらい適切かと議論することは極めて重要であるが、依然として、空間的に質の高い十分なデータがたくさん取れるということではないので、モデルと現場がどうなっているのかということをどのように見て、どのように判断していくかということを常に意識していかないと、モデルが良くなっていくということをあまり強く主張すると、議論をミスリードするような懸念がある。モデルを改善していくことによって水収支解析の結果がすごく質が変化するというような方向に持って行ってしまうとやや危険ではないかと思う。現場から得られる情報とのバランスというものは常に考えていただきたい。


現実はとても複雑

 (委員・沖大幹東大教授)
 委員もおっしゃっていたが、現地を見ないと実感も湧かないところはある。このご時世なので難しいかもしれないが、せめて写真などで示して教えていただけると助かると思う。そういう意味では、資料2(別冊)p19にこだわってしまうが、このようなイラストではなくて、地図に落とし込んでいただけないか。川根本町よりもさらに下流部の利水状況がどのようになっているのかが示されると、多少は概要が理解できるのではないかと思う。先ほどから議論になっているモデルの話であるが、私も水循環のモデルを使用しているが、モデルは本当の現実にはならない。現実はとても複雑であり、それを単純な方程式で表せる範囲でやっているということである。委員の皆さんがおっしゃっているように、地下のパラメータが分からなかったら、それは本当ではないということはその通りであるが、不可知なものが分からなければ全部答えは信用ならないのかというとそうではなく、例えば、資料2(別冊)p21の推計値については、観測ではありえない有効数字3桁の数値ではあるが、このような差がどれくらい確からしいかが分かるということが、モデルの精度を上げるということの意味だと私は理解している。皆さんは地下水のモデルの方程式と地下のパラメータだけに着目されているが、本当のことを言えば、例えば雨の量について言えば、山の中の観測点はほとんどないので、非常に不確実性が大きい。場合によっては10%や20%どころではなく、積雪だったらもっと大きなバイアスがある可能性がある。それも含めてモデルでそれなりの現状解析ができるように合わせているということ。そういうものの誤差に比べて、今、話に上がっている他の不確実性はどれくらいあるのかも考慮すべきである。また、今後20年間や50年間といった将来予測をするのであれば、その間にどのくらいの降雨量や気温などを与えているのかは分からないが、一つ非常に大きな台風が来たら地下の貯留量が上昇するといった不確実性もあるわけで、モデルが示すものはあくまで一つのシナリオに過ぎないという点にも注意が必要である。気候変動の影響もあるかもしれないし、台風により大規模な土砂崩れが発生した場合などでも全然変わってくる。現地を見たいと言っている理由の1つは、台風が来なくても森林の施業状態で土壌の状態も変わるので、今もし育っている最中の森林があれば、20年たった時に地下水の涵養量も変わってくる。非常に様々な変化がある中で、おそらくJR東海は、委員の指摘のように、設計のためにどのくらい湧水量があるのかを推計されたのだと思う。それを、環境アセスにおいても資料2(別冊)p21の図のように、流量の変化はこのくらいであると示されたということである。この不確実性が例えばプラスマイナス50%にあるのがプラスマイナス30%やプラスマイナス10%に減るということが、皆さんが懸念されている心配をどれくらい減らせるのか、 ということを議論した方がいいのではないかと本日までの地下水モデルの議論を踏まえて考えている。


JR東海は既存のデータを集めている

 (委員・丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダー)
 最初にも申し上げたが、JR東海は非常に既存のデータをたくさん集められているので、この地域の地下水や河川の水量、降水量などのデータを使って、この地域をどのように評価しているのかということを一度JR東海にご説明いただく機会を作っていただけないかと思うが、いかがか。


大井川の資料、作成を

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 委員が冒頭に述べられた大井川をどう考えて資料を作成しているのかに関連しているように思う。JR東海には、そのような視点を加えて資料を整理していただければ、今のご指摘の答えにはなると思う。よろしくお願いしたい。
他には意見はないでしょうか。本日の会議で、色々建設的なご意見が出て、議論が進んだと思う。これは事務局である国交省鉄道局とJR東海が、委員によるこれまでの意見を適切に取り込んだ資料が出て来て、課題に対する共通の認識が出てきたからであると思う。事務局には、次回の会議に向けて今日の議論を踏まえた資料の準備をよろしくお願いしたい。


宿題の進捗踏まえて次回

 (江口秀二国交省鉄道局技術審議官)
 今後の進め方ということで、先ほど、委員からも話があったが、本日もいろいろな意見をいただいた。議論も多岐にわたったと思われるので整理させていただきたい。その上で、JR東海にも様々な宿題が出ているので、その宿題の作業の進捗状況なども踏まえて、委員と相談させていただきながら次回の日程などを調整させていただきたい。本日の時点では日程は未定とさせていただきたい。


 (座長・福岡捷二中央大教授)
よろしくお願いします。


モデルのスタートどうだったか

 (江口秀二国交省鉄道局技術審議官)
 この会議は、元々、専門部会で議論をしてきた中で、意見がかみ合っていない二つの論点について先行して議論を行っている。委員などからもご意見があったが、モデルのそもそもスタート時点の話がどうであったかについて、きちんと説明する必要があるのではないかということは、まさにその通りだと思う。専門部会でかみ合っていなかったところをかみ合わせることが大事なので、ぜひ、委員から指示のあったデータの提示等々をやっていただきたいと思う。


地域の人がどういう感覚で問題を見ているか

 (水嶋智国交省鉄道局長)
 科学的、工学的な議論をすることは前提の場ではあるが、委員のご指摘を聞いていると、やはり地域の方々のご心配にどう答えていくのかを意識していかなければならないと思う。そのためには、大井川そのものをどう評価していくのかという説明をJR東海にしていただくべきではないかというご指摘も委員からいただいた。さらに言うと、この問題を地域の方々がどういう感覚で見ていらっしゃるかということも、科学的、工学的な議論の外側になってしまうところかもしれないが、地域の方々が大井川をどのように捉えておられるのかということをお知りおきいただくことが場合によっては必要ではないかと思う。そういった資料もあるので、この場で議論はできないかもしれないが、例えば地域でそのような番組も放映されていたりするので、そういったものも参考情報として提供させていただきたい。よろしくお願いしたい。 (了)

いい茶0

大井川とリニアの記事一覧

他の追っかけを読む