リニア 国土交通省専門家会議 実名化議事録①

国土交通省専門家会議 第1回 議事詳報

2020年4月27日:国土交通省(オンライン形式)


いたずらに時間かけない

 (水嶋智国土交通省鉄道局長)
 福岡座長をはじめ、有識者の先生方におかれては、大変お忙しい中、有識者会議の委員へのご就任をご承諾いただき、また、コロナの感染防止対策が大変な時期にこのような形でご参画を賜り感謝。
 リニア中央新幹線静岡工区については、リニアの早期実現と環境への影響の負荷の回避軽減を両立させることを静岡県、JR東海、国土交通省の共通の認識としてきたところであるが、残念ながら静岡県とJR東海の議論がかみ合わない中、時間のみが経過してきており、国土交通省が調整役として関与してきたところ。
 このような中で、国土交通省より専門家の先生方からなる会議の設置を提案させていただき、その後、議論を重ねた上で、本日の開催に至ったところ。この会議の趣旨は、本年1月17日に静岡県に申し入れた文書にも記載させていただいているが、これまで静岡県とJR東海の間で行われてきた議論等の検証であり、静岡県からは47項目の課題が提示されているところであるが、特に私どもとしては、大きな2つの論点、すなわち「トンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方」および「トンネルによる大井川中下流域の地下水への影響」について議論する必要があると思っている。また、この会議の場は政治的な議論の場ではなく、科学的工学的な議論の場であることが前提であると理解している。
 このリニア中央新幹線は静岡県民のみならず、国民の皆さまにとっても非常に大きい関心事項である。このようなことから、いたずらに時間をかけるわけにはいかない問題と考えており、お忙しい中、恐縮であるが委員の先生方には精力的な議論をお願いしたい。また、事業主体であるJR東海においては、会議の議論に真摯(しんし)に対応していただき、地域の皆さま、国民の皆さまに対してきっちりと説明をお願いしたい。


JR東海は理解得られる説明を

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 座長を拝命いたしました福岡でございます。よろしくお願いいたします。
 私は河川工学を専門としており、また2010年から15年までは、河川、道路、都市計画、住宅宅地などの幅広い分野を議論する社会資本整備審議会の会長を務めました。このような経験も踏まえて、この会議の座長を務めさせていただきたいと思います。
 この中央新幹線静岡工区の大井川の水資源問題は、先ほど、鉄道局長のあいさつにもあったように、広く我が国の国民が期待しているリニア中央新幹線の早期実現と、トンネル掘削による水資源や環境への影響の回避軽減の両立という、非常に重要で難しい課題と認識しています。
 この課題に対して、有識者会議では科学的工学的な観点から議論することが求められています。一方でこの会議は公開で行われることから、参加いただいている各委員の方々の協力を得ながら、静岡県民の方々をはじめ、この問題に関心を持たれている方々に対して、何が問題となっているのか、その問題についてどのように考えればよいのかについて、わかりやすい議論が進められるように努めて参りたいと考えています。
 説明責任者であるJR東海には、自らの正当性を主張するような説明ではなく、いかに理解していただけるかとの視点での説明を求めたいと思います。
 また委員の方々には、地元の方々にも納得していただけるような方策が示せるよう建設的な議論を是非お願いします。それにより、先程申し上げたリニアの早期実現と水資源への影響の回避軽減の両立が図られればと思いますので、ご協力をよろしくお願いします。


 (事務局・国交省鉄道局)※リニア中央新幹線の概要と大井川水資源問題の主な経緯と静岡県の有識者会議の議論について資料を使って説明


JR東海は生データ記載せず

 (委員・森下祐一静岡大客員教授)
 静岡県の専門部会(※静岡県主催の有識者会議)では精力的に議論を行ってきた。これに対してもう少し迅速に議論できないかという感想を持たれることがあるが、それに対してご説明差し上げる。専門部会ではJR東海から提示された資料を基に議論をしてきたが、資料を拝見すると計算方法は記載されていても生データが記載されていない、あるいは、逆にデータの記載があってもそれがどのように使われたのかが明記されていないために、科学的に検証可能とは言えないものがあった。それら1つ1つについて専門部会の場で質問し、回答を求める作業を行ってきたため、労力と時間を必要とした。また、専門部会の席上では回答できずに、保留とする事項も多くあったことから、それらについては事務局である静岡県がまとめて質疑応答を行った。このやりとりの経緯については、資料2-4に記載されているが、質問に対するJR東海の回答に時間を要したり、また、回答内容に不十分な点があり、再質問を余儀なくされることなどにより、時間がかかった事実がある。この点についての改善を期待したいと思う。


 (JR東海)※資料を使って影響回避の取り組みについて説明


静岡県から実現しがたい課題

 (金子慎JR東海社長)
 ※この発言に関して後日、撤回を表明。議事録には記載
 今日は、私どもの決算発表の日にあたり、このような形(※オンライン)で名古屋から参加させていただく。まず、有識者会議の委員の先生方におかれては、私どもが進める中央新幹線建設工事の南アルプストンネル静岡工区に関する問題解決のために、ご多忙のところ、お世話をかけることになり、感謝申し上げる。また、その第1回の会議において、工事を進める事業者の責任者として、発言の時間をいただき、お礼を申し上げる。
 私どもは、この会議に真摯に対応することで、静岡県の地域の方々が心配されている様々な問題について解決が図られ、全国の多くの方々が強く期待されているリニア中央新幹線の早期実現につながることを期待している。本日は会議の開始にあたり、大きく2つのお願いをさせていただきたい。
 1つは水についての議論である。私たちは、トンネル工事を進めるに際して、静岡県において大井川の水についての歴史的な経緯も踏まえて、地域の方々に水についてのご迷惑をかけないこと、心配があればしっかり解消することは、重要な課題であると認識している。これまで、トンネル工事に伴う大井川中下流域の水資源への影響について、河川流量は減少しないことや、地下水への影響で地域の方々にご迷惑をお掛けしないという説明を行い、万が一影響が生じた場合には、補償を行うことも明らかにしてきた。
 これに関連して、県の専門部会に様々な説明を行い、また、それに対して質問をいただくというやり取りを行ってきたが、残念ながら納得をいただけていない。一方、私どもが直接、地域の一般の方々に水に関する話をすると、専門部会でのやりとりについて、専門的で理解しにくいという話も伺うようになってきている。
 有識者会議において、これまでの専門部会でのやりとりを一般の方々にも分かりやすく、理解いただけるように検証いただくことは、地域の方々の心配解消に向けて大切なことではないかと考えている。地域の方々が心配しているのは、いったいどういう事態をさしているかと言うと、トンネル掘削によりどういう仕組みでどういう被害が生じるのかという、まずその仕組みについてであり、さらにはそれがどのぐらいの蓋然性で起こるのだろうかということだろうと思っている。この点について明らかにした上でその心配に応えることが、地域の方々の心配の解消につながるのではないか、と思っている。
 例えば、地下水について言えば、静岡県のホームページでは、トンネル掘削箇所付近から100kmほど離れている大井川の中下流域まで地下の水路が存在しているかのような図を示されていて、これは上流部のトンネル掘削工事が中下流域の地下水の減少をもたらすという仕組みを示されているように思う。そういう仕組みが示されていると、われわれとしては、地層の形状などからいってそういう心配は生じにくいのではないか、とお答えができることになる。それについて、当社の回答で十分なのか、有識者会議での検証を通じて明らかにしていただくことを通じて、地域の方々の心配解消につながるのではないかと思っている。更に加えて、水は大変重要な資源なので、わずかな可能性でもそのような仕組みで、地下水が減少する可能性があるのであれば、やはりまだ心配は解消されたとはいえないということだと思う。
 そのため、どのくらいそういう事態が発生しそうなのかという蓋然性が問題となるが、それは一般の方に見解を求めるのは難しい。しかし、そこがわからないと、心配が膨らみ、解消されない。有識者会議には静岡県の専門部会からも参画されているので、専門的な知見から心配が起こる蓋然性がどの程度のものなのか、せめて発生する可能性が大きいのか小さいのかお示しいただければありがたい。それによって心配の実態が漠然としたものではなく、はっきりしてくると思う。こういった見地から言えば、当社のこれまでの説明も必ずしも十分ではなかったかもしれないが、これに応えることが地域の心配の解消につながるのではないかと考える。有識者会議の先生のご指導のもと、被害発生の仕組みと蓋然性に着目する見地から解明を行い、静岡県の地域の方々の心配解消を実現できればと思っている。
 せっかくの機会なので、水資源だけでなくその他の環境問題にも共通する議論の進め方もお話させていただきたい。2014年8月に環境影響評価法に基づくアセスを完了し、10月に国土交通大臣から環境の保全についての審査を経て工事実施計画の認可をいただき、各地で工事を進めてきた。その際、評価書等に記載した様々な環境保全措置、事後調査、モニタリングおよび確認調査を実施することはもちろんだが、あわせて静岡県から様々な質問や要請をいただいている。それについても全力で取り組むという姿勢で対応してきた。
 しかしながら、いまだ専門部会で理解が得られていない問題が相当数残っている。専門部会から求められている課題の中には非常に難しい問題が含まれている。例えば南アルプスの生態系を把握するため、季節により変化する生物の関係性を表す精緻な食物連鎖図を四季ごとに作成することが求められて おり、苦労しながらも取り組んでいる。しかし、さらに、これに加えて、上流部に存在する数多くの沢について、それぞれの流量が減少した場合に、水域の生物の生態系に影響を与える可能性があるということで、あらかじめ影響が出て危険となる水準を設定しておくということや、川底の小動物の生息が可能な空間サイズや質の変化についての予測と評価を求められており、これらの課題については時間をかけての観察と調査が必要で、場合によっては学問的に究明するところから始めなければならない難しい問題も含まれている。
 つまり、大変ハイレベルで時間を要する課題が含まれている。さらに、静岡県が提起されたこれらの課題について、着工前に完了しなければならないという意向も示されている。少なくとも大規模プロジェクトでここまでのレベルの環境アセスを行っている例は承知していない。我々は環境保全のために現実的に可能なことは精一杯対応するスタンスであるが、静岡県からはなかなか実現しがたい課題が課せられている。
 また、水の問題に戻るが、工事中に湧水が一時的に県境を越えて流出することも大きな論点となっている。これは、環境問題に加えて水資源の問題にも関わることだが、工法の安全性とあわせて水資源に与える影響に着目して現実的な解決が図られるようお願いしたい。これらについて法制との関係で申し上げれば、中央新幹線の建設は全国新幹線鉄道整備法に則って、環境に関する法制としては環境影響評価法に基づいて進められることが基本だと理解している。私どもは、中央新幹線が有益な事業であるからと、環境保全を軽んじるつもりは全くない。しかし逆に、県も南アルプスの環境が重要であるからといって、あまりに高い要求を課して、それが達成できなければ、中央新幹線の着工も認めないというのは法律の趣旨に反する扱いになるのではないかと考えている。
 中央新幹線の建設に際しては、開発行為と環境保全のバランスをとる必要があり、それを達成するためには環境影響評価法に基づいて丁寧に環境アセスを実施して、その上で主管大臣である国交大臣により工事実施の認可をいただくのが基本であると考えている。地域に特有の問題に配慮するとしてもその要件があまりにも高すぎると、対応することが難しくなり、問題が解決しないということになる。そのために、有識者会議におかれては、静岡県の提起されている課題自体の是非、すなわち、いくら何でも事業者にそこまで求めるのは無理なのではないかという点も含めて審議をいただければ幸い。あわせてそれが達成できなければ、工事を進めてはならないという県の対応について、事業を主管される国交省においても法律の趣旨を踏まえて、適切に対処をお願いしたい。
 申し上げたポイントは2点である。一つは、水についての不安について、トンネル工事がどういう仕組みで被害を発生させるのか、それはどのくらいの蓋然性があるのかについて改めて注目し、それを解消することが地元の皆さまの心配解消のために大事なのではないか、ということ。もう一つは、水に限らず環境問題全般については、静岡県が要請されている課題自体の適否について考慮のうえ、ご審議いただきたいということ。
 われわれは現実的に対処できることは精一杯取り組んでいきたい。しかし、実現が困難な課題を課され、これを成し遂げなければ工事に着手してはならないということでは、リニアの実現は大変遠のくということを懸念する。この2点は、これまでの私たちと静岡県の議論が、なかなか収束しなかった原因にもなっていると考える。環境問題は重要と考えており、全力で取り組むので、この会議を通じて中央新幹線の実現に向けて現実的な解決が図られることをお願いしたい。


 (沢田尚夫 JR東海中央新幹線推進本部次長)※資料の説明


JR東海の説明のように簡単ではない

 (委員・森下祐一静岡大客員教授)
 ただ今のJR東海の説明には、専門部会で議論した内容以外のものも含まれている。それについてはJR東海の主張であると受け止めるが、専門部会で了承していないことが多く含まれている。個別の問題については次回以降にコメントさせていただきたい。専門部会において十分に検証されていない事項であっても、議論を先に進めるために暫定的に容認したものもある。これらの事項は今後の議論の中で検証していく必要がある。したがって、それらについて本会議において、専門的な見地から十分に吟味、検討し、その妥当性や具体的な改善方法などについて議論していきたいと考えている。特に、トンネル湧水の全量の戻し方とトンネルによる大井川中下流域の地下水への影響については、先程JR東海から説明されたような簡単な問題ではないと考えている。それらは、本会議の中で重点的に検討していく必要がある。各委員におかれては、是非、専門性を発揮していただき、科学的に検証可能な形で解決が見られるよう期待している。


静岡県民を納得させるような議論を

 (委員・丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダー)
 専門部会委員として付け加えてご説明したい。JR 東海からの資料だが、p3に大井川表流水への戻し方としてまとめてある。(1)①で大井川の河川表流水は減少しないと推測している、(2)では中下流域の地下水への影響は生じないと推測しているとあるが、専門部会で議論が長引いてしまっている要点を申し上げると、p5やp6のように地下水の流れと表流水の関係をモデルを用いて説明している。
確かに、このようなモデルは概念モデルとして初期的な計算をするにあたっては十分であると考えているが、例えばトンネル工事をしていくにしたがってモデルを精緻化できないのか、といったことを申し上げてきた。また、中下流域については、p18にあるように中下流域の地下水は大井川の水が涵養していると環境衛生科学研究所のレポートの内容が記載されているが、この中で酸素、水素の同位体比を計測して上流から流れてくる川の水が地下水を涵養しており、その場に降った水が地下水を涵養するのは大井川から少し離れたところで、大井川のごく周辺については大井川上流部の水で涵養されていると報告されている。
例えば、これと同じような調査がしっかりとできるのか、バックグラウンドデータがしっかりあるのかということを何度も質問させていただいたが、JR 東海からはやりますとは言っていただいているが、中々現実的にそのデータが見えてこないところである。静岡県での議論はもう2年になるが、そういったモデルの改善やリアルなデータを見せていただけないといったところで科学的な議論が進まないという現状がある。もし可能であれば、そのようなデータを見せて頂いて、科学的な議論をさせていただきたい。
また、JR東海をはじめとしたJR各社は大変多くの経験を持っておられるので、例えば、土木技術や工法技術に関する知識、経験は一流だと思っているのでそこについての心配はしていないが、社長の発言にもあったように、県民の皆様を納得させるような議論をいただきたい。1つだけ例を申し上げると、p18の図にあるように、大井川の上流の水質や水温と比べると600~700mの土被りがあるトンネルの中に出てくる高い水温あるいは水質の違う地下水をそのまま下流域に流してしまうと魚の養殖や農業などの経済活動に影響があるかもしれないので、是非、環境影響評価をしっかりと考えていただければと思っている。


アセス後にルート修正の事例も

 (委員・大東憲二大同大教授)
 初めて静岡の問題に関わらせていただくが、これまで地下水の問題は多く関わってきたため、その経験から本件にもコメントしていきたいと思っている。資料1-1のp2でこれまでの経緯が示されているが、2011年頃に今の計画段階配慮書に相当するアセスを担当しており、当時は3ルートの議論をしていたが、その中で最終的に南アルプスルートに決める際にも少し関わらせていただいた。この時はルートがまだ幅20kmの時点であり、どこを通るかは決まっていなかった。それが3km幅に縮小され、その段階でも、周辺への環境影響が議論された。その当時から静岡の南アルプスについては、後々、水問題が争点になるのでしっかりとやりましょうと当時から意見は出されていた。それをJR東海はある程度、考えながらこれまで環境アセスを進めて来られたものと思うが、そのアセス手続きが終わったから認められたとして工事が進められるというところに、若干、住民や静岡県の不信感が出た可能性があると思う。 というのも、私自身が愛知県の環境影響審査会の会長を4年間務めたが、方法書の段階は部会長として担当しており、準備書、評価書のタイミングでは会長の立場でたくさん意見を申し上げた。非常に工事を急ぐがために、本来アセスでやるべき精緻な議論が若干、不足している段階でアセスを終わらざるを得なかったというような感じを持っている。1つ例を言うと、愛知県内は全てトンネルであるが、その残土をどこに持って行くのかが決まっていない段階でまとめないといけないということがあった。今の計画が煮詰まっていない段階で工事をするのであれば仕方がないが、煮詰まった段階で事後調査に相当するアセスをやりながら工事を進めて行くという考え方で提言をさせていただいた。これは愛知万博と同じような考え方であり、計画が煮詰まっていない段階でも事業を実施するというゴーサインを出さなければならない状況であった。この時に取られた手法が、その都度対象地域で詳細にアセスを実施して常に事業者と周辺の住民とでコミュニケーションを取りながら進めていくということが事業に対する信頼感を持つことになる。 もう1つ気になったのは、大井川の水が減ったら対応します、証拠が出たら補償しますというコメントが非常に多い。昔の建設工事は事前に対策を取られてこなかったわけだが、環境アセスは事前に対策を取って影響が出ないようにどうするのかというのが環境アセスの考え方なので、その部分がJR東海の説明の中で、被害があったら補償するというのが強調され過ぎたのではないかという印象を持っている。シミュレーションのモデルを見直すフローチャートや工事中に測ったデータが環境に影響が出ないように工事を進めていくために、どのように利用されるのかというシステム作りという部分があまり見えていない。土木工事において何か影響が生じることは仕方がないことであるが、影響が出た際にどうするかではなく、最前線でこのように対処するが、もし兆候が生じた際にはすぐにこのような対応を取るという仕組みを作る必要がある。 そのような事例は多くあり、北陸新幹線の深山トンネルでは、アセスが終わった後にトンネルのルートが修正されて認可されたが、ラムサール条約の中池見湿地に影響を及ぼすのではないかとして、地元から懸念が生じた。事後調査としてしか実施できないが、アセス調査並に動植物や地下水の調査を行い、地下水への影響が少なくなるように認可ルートの変更を行った。毎週データが送られて来ており、異常がないか監視をしながら工事を進めているところである。もし何かあれば対策を取ることになっている。そのような仕組みを作って工事をしており、今回の静岡の件もそのような仕組みができれば県民も安心感が出る。そのような安心感の出る仕組み作りを是非お願いしたい。われわれはそれの裏付けになるようなデータの解析も含めて検証していきたいと考えている。


どこかにツケが回っている

 (委員・沖大幹東大教授)
 科学的工学的にということなので、資料3についてJR 東海に質問したい。p6のトンネル水収支解析の概要について、地表水流動連結タンクモデル模式図のところで表層部分はタンクモデルを用いて深層部分はラプラス方程式を解いているかと思うが、地下水が表流水に出てくるところをどのようにモデル化しているのか。このような広域モデルでは案外テクニックが必要になるので、どのようなメカニズムで地下水が自然の地形に応じて河川の水として出てきているというようにモデル化しているのか教えていただきたい。
 また、p7で河川流量の変化を示されているが、これが定常状態にあるかということに関心がある。その後の戻し方にも記載されているが、河川流量の減少量約2立方メートル/秒に対して、トンネル湧水量が約2.67立方メートル/秒と増えているが、そういうおいしい話は世の中ないわけで、その分がどこかにツケが回っていることになる。これが、未来永劫(えいごう)このようになるという計算なのか、どこかの状態でトンネル湧水も減少し、河川流量の減少分と同じになるのかという考え方について教えていただきたい。
 さらに、上流部の環境影響ということで既に議論がなされているかもしれないが、本来地下にあるべき水を表流水として無理矢理出すようなことをするわけだが、しかも増えるということである。増えるのも環境への影響として今とは異なる状況になるということが問題になると思っている。そういう意味では増えることについては環境問題を考えなくていい、増えることには問題はないと県側が考えられているのかについても教えていただきたい。


地下水位に影響あるが、湧水量は増える

 (宇野護JR東海副社長)
 水収支解析のモデルの話は次回させていただくが、トンネル湧水量については、トンネルが完成した後の恒常湧水量と解析上はなっている。地中の水が出てくることになるが、これがいつまで出てくるかということについては、モデル上は恒常湧水量ということで算出しているが、地下水位というところに影響はあるとは思うが、増える形の状態が続くのではないかと考えている。また、河川流量が増えることが問題にならないかということについては、これまでの議論の中でも大雨の際の話などとして出ている。これについては全体の容量が大変大きな数字になるので、この程度の増加ではそれ程大きな影響にはならないであろうとお聞きしている。 また、先ほど委員から愛知県の環境影響評価審査会のお話もいただいた。発生土処理について申し上げると、確かにアセスの実施時点では処理先が決まっていなかった所が多くあったが、逆に静岡県内は発生土置き場候補地を全て網羅して予測を行った。愛知県内の発生土の処理先は決まっていなかった。私どもが設置する発生土置き場については、候補地を決めて、その時点で事後調査としてご指摘のような環境影響評価を実施して、県に保全計画を提出するということで進めさせていただいている。


計画が煮詰まれば適切な処理をと意見付けた

 (委員・大東憲二大同大教授)
 私の発言がアセスが乱暴であったかのような印象を持たれてしまったかもしれないが、決してそういうことではなく、計画段階の発生土の搬出先が煮詰まっていない段階においても工事を進めて行かなければならない問題なので、それは課題として計画が煮詰まった段階で適切な処理をしてくださいという意見を付してアセスを通したという趣旨である。


量が増えるようなこと起こらない

 (委員・徳永朋祥東大教授)
 私も先ほどの委員の指摘が非常に気になっており、仮に恒常湧水量として計算すると、水を違うところから持ってくるような形に変えていることになるのか、あるいは考えにくいが蒸発散量を減らすような影響を与えるかということが想定されるのではないかと思うが、ある地点から下に出ていく量が変わらないものとして、山の降水量が一定であるとすると、量が増えるようなことは起こらない。どのような計算を具体的にされて、どういう結果に基づいてこのようになっているのかということをご説明いただくことが大事なんだと思う。
そういう意味で言えばp5において、水収支解析をしましたという記載があり、一定程度の検証をしているとあるが、どのような検証結果になっており、どのくらい再現率があるのかということについて、データがまだ不十分なので完全に合うことがないことは承知しているが、どのくらい精度の高いモデルになっているか議論し、その結果、モデルとして改善されるようなものになるのかという適切さを議論しないと難しいと思う。
もう1つは、大井川上流は過去にも岩盤の中に導水路トンネルを掘ったエンジニアリングの実績がある。そのような結果からどのような変化があったのかということについて、どのように理解されて、どのように整理されているのかについては教えていただきたい。


電力開発の事例は次回に

 (宇野護JR東海副社長)
 モデルの話は次回以降で話しをさせていただくが、上流部では電力開発で導水路トンネルを掘った事例が複数あることは承知しており、どのような施工を行ってきたのかについても承知している。これについてももう少し具体的に次回以降お話をさせていただきたい。


湧水量はだんだん減っていく

 (沢田尚夫JR東海中央新幹線推進本部次長)
 少し補足させていただく。恒常湧水量の件については次回以降にまた詳しくご説明させていただくが、p9に記載した約2.67立方メートル/秒は、トンネル貫通後の恒常湧水量の最大値であり、時間の経過とともにだんだん減っていくという傾向になっている。これについては静岡県にも説明しており、そのような傾向も合わせてご説明していきたい。


定常状態かトンネル掘削影響か明確に

 (委員・徳永朋祥東大教授)
 それが委員が指摘された、定常状態として解けているのか、トンネル掘削影響のどちらを見ているのかというようなところが明確にならないと議論が混乱する。本日教えていただけたことはありがたいが、その辺りを丁寧にご準備いただきたい。


下流扇状地の長期的な地下水状況は

 (委員・沖大幹東大教授)
 中下流の地下水について、下流の扇状地の地下水の状況というのが、長期的に見てどういう傾向にあるのかというのはどれくらい把握されているのか。次回以降で構わないので教えていただきたい。宅地開発や水田耕作の放棄などで日本中の地下水は変わりつつある。大井川扇状地においてどのような状況にあり、また20年、30年というスケールで上昇していくのか減っていくのかについて分かれば、それと比較して実際のトンネル工事における影響が比較できることになるので、既に議論されていればそれをご教示いただきたい。分からないのであれば、その議論が必要ではないかと思う。


 (宇野護JR東海副社長)
 水利用については、もう少し県の方からも話を聞いた上で次回以降説明させていただく。


導水路トンネルの工程は

 (委員・福岡捷二中央大教授)
 本日見せていただいた資料では、先進坑と本坑との関係は分かったが、導水路トンネルはどのようなスケジュールで完成し、特に先進坑との関係はどのようになるのか。山梨県との境界との話にも関係するので、そのようなものがまとまっているのであれば、次回の会議に出していただきたい。そのマネジメントをどう考えているかを確認したい。


できるだけ早く設置したい

 (宇野護JR東海副社長)
 導水路トンネルはできるだけ早く設置したいと考えている。また、小さい断面で、機械掘削による高速掘進を行っていく予定である。導水路トンネルの計画についても、標高との兼ね合いで自然流下であると取り付け点が椹島付近となることも含めて、次回以降話をさせていただく。


基礎的な資料の収集を

 (委員・西村和夫東京都立大理事)
 破砕帯周辺をトンネルが通過することになるが、周辺の事例がかなりあると思う。地質条件が悪くなると機械で掘れない場合が出てくる。基礎的な資料の収集と検討を示しておかないと、機械で掘るとなったときにかえって時間が掛かることもある。慎重に考えなければならない。


機械掘りで遅くなった事例も

 (宇野護JR東海副社長)
 早くしたいがために機械掘りにして結果的に遅くなってしまった事例もあるので、しっかりと考えていきたい。電力会社の導水路トンネルでも機械掘削の事例があるので、次回以降ご説明させていただきたい。


工事中や工事後も含めた仕組み作りを

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 先程委員からも話があったが、環境アセスでは十分にできなかった環境の問題もあるだろ うと思うが、本日のご紹介があったものは主にハード面の問題になっているが、やはり環境 問題については工事中や工事後も含めて仕組みを作るということがこの資料では見えてない。具体的に問題が出る、または異常な状態になった時にはどう対応するのかも含めて、突発出水などもあったが、どのような仕組みでデータをしっかりと提示してどう対応するかということが大変重要になってくる。静岡県民も含めて関心が高いことであり、このような状態に なった際にどのような対応を取ろうとするのかを分かりやすく加えていくことが判断の仕方としてあるのではないか。委員も指摘されていたが、予測問題ではシミュレーションで行けるが、工事の進捗に連れ、いろいろなことが起こりうる中で、どのように対応するのかという仕組み作りを考えなければならない。地下水の出方についても出来上がった際に影響することになるので、次回以降分かりやすく出していただければと思う。


リスクマトリクスについて議論を

 (座長・丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダー)
 静岡県の専門部会でもこの問題について議論したことがあるが、その際にはJR東海にはどのような原因がどのようなリスクを生じさせるのかというリスクマップを作ってほしいというお願いをした。またリスクを回避するため、リスクの確率を減らす、またはリスクの大きさを減らすというところで、リスクコントロールのためのリスクマトリクスを作ってほしいというお願いもしている。今の段階でJR東海がお考えになっているリスクとはどのようなもので、それを回避するための道具、手法はどのようなものかということについて、静岡県の専門部会で議論したものをJR東海には説明していただき、この場でも議論したい。


ブラッシュアップしている

 (宇野護JR東海副社長)
 リスクマップの話も頂いており、ブラッシュアップをしているところである。また、リスク回避についても議論を進めてきたところであるので、専門部会での議論の内容についてもご紹介させていただきたい。


導水路トンネル掘削による地下水の動きは

 (委員・徳永朋祥東大教授)
 資料3のp8において、導水路トンネルでトンネル湧水を戻すことになるが、導水路トンネルを作ることで先進坑の水は流れることになるが、これによる地下水の挙動はご説明いただくことはできないか。トンネルを掘削すると水を引いてしまうことになり、導水路トンネルもトンネルなので、その評価についても教えていただきたい。


 (宇野護JR東海副社長)
 本日の資料にはないが、検討はしているので次回以降また説明させていただきたい。


第3回以降は論点ごとに議論

 (江口秀二国交省鉄道局技術審議官)
 今後の進め方であるが、本日委員の方からは質問事項、専門部会委員からはご指摘があったが、論点をとりまとめてそれを整理し、お示しさせていただきたい。第3回以降については、論点ごとに科学的工学的に議論を進めていくことを考えている。
 本日、事務局として聞いていて、まず本日はJR東海から説明があったが、時間の関係や我々の進め方の関係もあり、専門部会の方から、何がもめているのかということについて、具体的な説明はなかったが、論点整理するにあたっては、専門部会でのJR東海の見解に対する思いも整理して比較する形にして、それに基づいて科学的議論をという形になると思うので、次回の会議までにこちらからも委員の皆様に問い合わせさせていただいて資料を作っていく必要があると考えている。資料作成にご協力いただきたい。
 また、先ほど、リスクマトリクスの話もあったが、資料2-4をご覧いただければ分かるが、この問題は非常にいろいろな問題を含んでいて、皆様ご疑問の点あると思うが、事務局としては、この中で3の全量の戻し方と5の中下流域の地下水への影響を集中的に議論したいと考えている。3や5の関連で必要があればそれに含めて他の項目も議論するということはあると思うが、なるべく広がらないようにと思っている。委員いかがでしょうか。


工事進めながらか、工事前にやるのか総合判断

 (座長・福岡捷二中央大教授)
 よく分かるが、いずれは両方重要になる、すなわちその議論だけでは十分ではないよねとなると思う。そのときに具体的にリスクというものをどう考えるか、これは工事の進捗の中で考えようとするのか、事前にいろいろなことをやっておかなければならないのか、そういう判断を総合判断として必要になると思う。
 ただし、2回目は、集中的にやるという観点から、今日質問が出た事項である、全量の戻し方と中下流域の地下水への影響を中心に議論していただくということでお願いできればと思う。


47項目は優先順位をつけて議論

 (江口秀二国交省鉄道局技術審議官)
 この有識者会議では47項目は一通り議題にするので、決して避けるという意味ではなくて、必要なものはやっていく。その中でも優先順位をつけてやっていきたい。第2回目の開催については、委員の皆様のご都合を踏まえ日程調整させていただきたい。追って事務局よりご案内させて頂く。いずれにしても集中的にやっていきたいので、ご協力のほどよろしくお願いします。


 (座長・福岡捷二中央大教授)
 具体的にどのあたりの日程を考えているのか。


 (江口秀二国交省鉄道局技術審議官)
 大型連休明けの5月11日の週を目指して、資料作成、整理をしていきたい。



2項目以外もJRは回答の準備を

 (水嶋智国交省鉄道局長)
 これまでの議論の経緯としては、有識者会議では47項目について検証してくださいと言われているので、47項目が対象となっている。一方、重要な課題は冒頭申し上げた2項目であると考えている。先生方からは、その2つの問題を議論するとしてもその前提として聞いておきたいことがあるというご指摘だと思うので、それについては2つの議論うんぬんもさることながら、きちんと情報として共有しておく必要があると思うので、JRにおかれては先生方のご指摘に対してお答えいただけるように、準備を進めてほしい。
 次回、論点整理と書かせていただいているが、議論を効率的に進めるためには、今後の議論に備えて、こういうことを聞いておきたい等があれば、次の会合を待たずに事務局に事前にご指摘をいただければ、次回の会議を効率よく開催する上での準備もできると思うので、よろしくお願いしたい。


どれだけ議論しても影響ゼロはない

 (委員・沖大幹東大教授)
 今後の進め方について、少しコメントさせてください。本日はJR東海の話を一方的に聞いたが、それに対してなぜ静岡県、関連市町村、住民の方が心配がとれないのかということが分からないことがもどかしい感じがする。  その上で、例えば、今回はJR東海の計算結果についてコメントしたわけだが、県なり流域住民の方はJR東海の結果を100%信じるのか、そこは中立性がないと言って、本気になれば反対する側は自分たちで計算することもありうる。そうではなくて、一応、JR東海の手法が正しければ正しそうであれば、皆さん納得するものなのか、ということが私は気になる。  どういう計算結果が出れば皆さん納得するのか、例えば、自分にとって不本意な計算結果が示されたときに、科学的に正しいと言うんだったら信じるというのか、そう言われてもきっと違うに違いないと思うのか、これは科学の限界というか、科学は多くの前提条件があり適用範囲があってやるわけですから、そこのところが分からないと、どれだけここで議論しても、影響ゼロということはなくて、私が少し動くだけで、重力場は宇宙の彼方まで変化するわけで、全ての行いには何らかの影響がある。それに対してどの程度の影響であれば納得し、信用するのかということが分からないので、双方の立場の方がいた方が、議論はある意味で建設的に進むのではないかと感じたので、是非何らかのご配慮をいただければと思う。

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