大井川とリニア 国交省専門家会議・第1回議事録<概要>

 国土交通省は26日までに、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を議論する専門家会議の第1回会合の議事録を公表した。委員からJR東海に対する異論や批判が相次いだ。取材を加味して委員らの主な発言内容を紹介する。

国土交通省の第1回専門家会議での発言(ポイント)
国土交通省の第1回専門家会議での発言(ポイント)


 ■流量減少と環境影響評価(アセスメント)との関係
 大東憲二大同大教授「環境影響評価手続きが終わったから認められたとして工事が進められるところに若干、住民や県の不信感が出た可能性がある。影響が出た際にどうするかではなく、最前線でこのように対処するが、もし兆候が生じた際にはすぐにこのような対応を取るという仕組みを作る必要がある。北陸新幹線の深山トンネルでは、地下水への影響が少なくなるように認可ルートの変更を行った」

 ■JRの流量予測
 沖大幹東大教授「どのようなメカニズムで地下水が自然の地形に応じて河川の水として出てきているとモデル化しているのか教えてもらいたい。(JRが示した資料では)河川流量の減少量毎秒2トンに対してトンネル湧水量が2・67トンと増えているが、そういうおいしい話は世の中ないわけで、その分がどこかにツケが回っていることになる。未来永劫(えいごう)このようになるという計算なのか」
 宇野護JR東海副社長「地下水位に影響はあると思うが、増える形の状態が続くのではないかと考えている」
 徳永朋祥東大教授「恒常湧水量として計算すると、山の降水量が一定であるとすると、量が増えるようなことは起こらない」

 ■JRのデータ不開示
 森下祐一静岡大客員教授「資料を拝見すると計算方法は記載されていても生データが記載されていない。逆にデータの記載があっても、それがどのように使われたのかが明記されていないために科学的に検証可能とは言えない」
 丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダー「データがしっかりあるのかということを(県の有識者会議で)何度も質問したが、JRからは『やります』と言ってもらっているが、なかなか現実的にそのデータが見えてこない」
 西村和夫東京都立大理事「基礎的な資料の収集と検討を示しておかないと、機械で掘るとなった時にかえって時間がかかることもある」
 宇野副社長「しっかりと考えていきたい」

 ■導水路トンネルの工程
 福岡捷二中央大教授「導水路トンネルはどのようなスケジュールで完成し、特に先進坑との関係はどのようになるのか。工事中や工事後も含めて仕組みを作ることが(JRの)資料では見えない」
 宇野副社長「できるだけ早く設置したいと考えている。小さい断面で機械掘削による高速掘進を行っていく予定だ」

 ■「透明性は確保」 運営形態変えず 国交省 JRと面会促す
 国土交通省は26日、リニア中央新幹線静岡工区の専門家会議の全面公開を求める川勝平太知事からの文書への回答書を公表し、「透明性を確保している」などとして、運営形態は変えない考えを改めて示した。
 知事は、同省がJR東海の金子慎社長を次回会議に呼び、県の対応を問題視した発言の謝罪と撤回をするよう指導も求めたが、これについては金子社長との面会に応じるよう提案。「さらなる謝罪を求めたいのならば、早急に直接面会の機会を持ち、信頼関係構築につながる話し合いをされるのが望ましい」と促した。
 回答書は水嶋智鉄道局長名。会議の公開の在り方は「委員らの意向を踏まえた上での対応」などと、これまでの説明を繰り返した。オンライン会議での機器の不具合は陳謝し、「さらに改善に努める」と約束した。
 過去2回の会議は新型コロナウイルス対策のためオンライン会議で行われたが、インターネットで一般傍聴ができず、議事録の委員発言も匿名になっているため、県は同省と事前に約束したとする「全面公開」が守られていないと反発している。

 ■知事「約束守られず」
 川勝平太知事は26日、国土交通省の回答書に対して「県と国土交通省の約束事が守られなかった」とするコメントを発表した。
 回答書に関しては「内容的にはゼロ回答で、甚だ遺憾だ」との受け止めで、赤羽一嘉国交相に対して直接意見を伝える意向を示した。JR東海の金子慎社長との面会については「国交省専門家会議での謝罪の機会も不明確となったので、社長発言を見守った上で改めて関係各位と調整したい」としている。

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