流量予測、データ不足課題 国交省専門家会議【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事による大井川流域への影響を巡る議論で、国土交通省の専門家会議は、精度が低いと問題視されているJR東海の流量予測と並行し、静岡市が過去に試算した結果を使って検討を進めている。予測の基になる地質データが不足しているとの見方があり、予測の精度をどこまで高められるのかが今後の焦点の一つになりそうだ。

JR東海と静岡市の流量予測の比較
JR東海と静岡市の流量予測の比較

 2020年4月に始まった専門家会議では、山梨県での地質調査結果を基に静岡県内の地質状況が推定されていることなど、JRによる流量予測の問題点が早くから指摘されていた。
 このため7月の会議で森下祐一静岡大客員教授が「新しい解析、データを示すことが重要だ」と発言。翌8月の会議では、大東憲二大同大教授から静岡市の予測を使った検討の提案があり、JRが静岡市の予測方法も活用しながら、トンネル湧水の県外流出量や上流部の沢の水量に関する予測を進めることになった。
 市は14年度と16年度の2回、工事による南アルプスの環境への影響を調べるために予測を実施した。市によると、市の調査は予測範囲や利用したデータなどがJRと異なり、より細かく分析して厳密な予測ができる解析手法を使った。一方、地質や断層の情報は産業技術総合研究所やJRの作成した地質図を参考にしていて、市の担当者は「独自に現地を調査したわけではなく、詳細な地質は分からないので、市の解析も不確実性が残る」と説明する。
 県は「予測は工事によって最悪の事態が生じた場合、どう対応するのかを議論する上で重要。JRのこれまでの解析では議論にならなかった」と今後の推移を見守る。
 JRの担当者は「解析の計算に入れるデータが実際の状況と違うものもある。その点ではどちらも不確実性がある。そこを加味しながら考えていく」としている。

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