リニア工事 水質悪化も補償の検討対象 JR、流域市町に説明へ

 リニア中央新幹線工事に伴い大井川中下流域の水利用に影響が生じた場合の補償について、JR東海の宇野護副社長は17日、補償の検討対象に表流水の減少や地下水位の低下に加えて水質の悪化も含める方針を表明した。JRと国土交通省、静岡県の3者は同日、国交省で協議し、補償方針を明確化した上で流域10市町に直接説明することも確認した。

JR東海が示した補償方針のポイント
JR東海が示した補償方針のポイント

 3者が協議後に記者会見して明らかにした。宇野副社長は「従来のトンネル工事とは置かれた環境が違う。絶対(に影響は出ない)という証明はできない」と柔軟に対応する姿勢を強調し「利水者に立証責任があるとは考えていない」と述べた。因果関係を証明する方法は今後、具体的に示すという。補償検討の申請期間を無期限とする方針は「大井川の中下流域は特別な状況だ」とし、本県だけに適用するとした。
 JRは7日、県議会最大会派の自民改革会議に補償方針を記した資料を示したが、県や国交省に説明していなかった。原則30年間としている補償を受けられる期間や対象となる範囲について曖昧な部分があったため、この日、国交省が確認のため、JRを呼び出して非公開で協議した。
 終了後の説明によると、JRの資料が分かりづらいとして国交省が利水者向けに分かりやすく表現した文書を作るようJRに要請。JRは2月中にも資料を修正し、国交省や県に提示する。国交省はJRが流域10市町に説明する機会も設けるよう県に求め、難波喬司副知事は「歓迎したい」と応じる考えを示した。

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