JR東海、争う姿勢 リニア工事差し止め訴訟初弁論
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、大井川流域の住民らがJR東海に静岡県内区間(10・7キロ)の工事差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、静岡地裁(増田吉則裁判長)であった。JR東海は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。主張は「追って行う」とした。次回期日は4月23日。

原告団の共同代表2人が意見陳述した。米や野菜などを生産する島田市の桜井和好さん(70)は「(最大)毎秒2トンの水が減るのは農家にとって重大な問題」と指摘。「南アルプス上流部の水減少や地下水位の低下は自然を荒廃させ、水の安定供給どころか災害を激化させる」と述べた。茶生産者で牧之原市議の大石和央さん(65)は、同市に水源がないとして「建設工事で水の供給が途絶えれば生死に関わる」とした。
原告側は訴状で、生活・農業・工業用水を取水している流域8市2町の住民にとって大井川は「命の水」と表現した。工事によって表流水や地下伏流水が減少すると、生活に多大な不利益が生じかねず「人格権としての平穏生活権」が侵害されると主張している。また、南アルプスの自然を享受する権利が奪われるとも訴えている。