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国関与、期待と警戒 国交省、流域3市長会談 リニア水問題

 国土交通省鉄道局の江口秀二技術審議官は6日午後、リニア中央新幹線トンネル工事を巡る大井川の流量減少問題で、午前の島田市に続き掛川、藤枝、焼津の流域各市を訪れ、それぞれの市長と非公開で会談した。各市長から水資源の保全対策について次々と意見や要望が挙がった一方、江口審議官は聞き役に徹し、いずれの市長とも個別具体的な議論には至らなかった。

松井三郎市長(右から2人目)らから意見聴取する江口秀二審議官(左)=6日午後、掛川市役所
松井三郎市長(右から2人目)らから意見聴取する江口秀二審議官(左)=6日午後、掛川市役所

  江口審議官は各市長に対し、国として従来の“議論を見守る”から“行司役”に関与を強める姿勢を説明。各市長の要望は多岐にわたり、松井三郎掛川市長はJR東海に市民向け説明会の開催を働きかけるよう訴えた。
  中野弘道焼津市長は河川の水量水質に加えて地下水への影響に対する懸念を伝え、国に対策の議論の調整役を求めた。北村正平藤枝市長は流域8市2町の利水者や関連団体を集め、国として幅広く意見を聞く場を設けることなどを提案した。
  江口審議官は要望にどう対応するか明言しなかったが、各市長はいずれも国の関与に期待をにじませた。松井市長は「われわれがJR東海に言っても聞いてもらえない」と計画ありきの姿勢を貫くJR東海への不信感を吐露し、「審議官は不安を理解してくれたと思う」と国との協議を前向きな議論への糸口にしたい考えを示した。
  一方、ある市の幹部は「国にとっても要望の実現は容易でないのでは。地元の声を聞いたという国の実績づくりで片付けられないか」と警戒した。
  川勝平太知事は6日の定例記者会見で、江口審議官の流域市町への訪問について「感謝を申し上げたい」と歓迎する意向を示した上で、大井川の上流部も併せて視察するよう要請した。

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