湧水資料、JR非公表 静岡県に文書で回答「不安与える」

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、JR東海は7日、同社の委託を受けて大井川直下部分でトンネル本線を掘る際の留意点を記載した地質調査会社の資料の公表を求めた県に対し、「(公表は)適当でない」として報道関係者や流域住民に非公表にする方針を文書で回答した。川勝平太知事が同日の定例記者会見で明らかにした。県への資料の再提供にも現時点で応じていない。
 JRは回答文書で「一般に専門性が高く、軽重の判断がないまま一部のみを抜き出して不適切に使用すると、大井川流域の皆様に不安を与えてしまう結果につながりかねない」と流域住民に情報開示しない理由を記載した。
 静岡新聞は9月、大井川直下部分で「涵養(かんよう)された地下水が大量に存在している可能性があり、高圧大量湧水の発生が懸念される」と記した非公表資料の存在を報じた。JRは閲覧を限定する条件で2018年10月から8カ月間、県に資料を貸し出し、返却後にトンネル湧水の県外流出の問題が明らかになった。
 報道を受けて金子慎社長は9月24日の記者会見で「大井川流域住民の心配の種が残っているのは良くない。心配なことがあれば解消していくのが当然」と説明していた。県は2日、金子社長の発言を踏まえて「重要情報は公表すべきだ」と同社に要請していた

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