県有識者会議、JRと国交省に不満噴出「検討不十分」「議論公開を」 リニア問題

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、国土交通省の専門家会議による議論が始まってから初めて開かれた31日の県有識者会議。「JR東海の流量予測の解析や検討は不十分だ」「国交省会議は全面公開を」などとJRや国交省に対する厳しい意見が噴出した。

県有識者会議の各委員の主な発言
県有識者会議の各委員の主な発言

 4月に始まった国交省専門家会議は7月16日の第4回会合後、福岡捷二座長(中央大教授)が中下流域の水利用への影響は軽微だとする方向性がまとまったとの趣旨の発言をしていた。だが、国交省と県の会議の委員を兼務する森下祐一静岡大客員教授と丸井敦尚産業技術総合研究所プロジェクトリーダーは方向性はまとまっていないと明確に否定した。
 森下氏は会議後の取材に「方向性が示されたことは全くない。JRは中下流域まで含めて解析していない」と述べた。また、JRから必要なデータが出てこないために水問題を巡る協議が長引いていると不満を漏らした。
 協議の長期化に関しては丸井氏も「これまでは(県有識者会議で委員が)質問する形だったが、あまりにも時間がかかっている。県側から解決策を提案できないか」と発言。難波喬司副知事は「そういう指摘をしていかないといけない」と応じた。
 JRが流量予測を踏まえて上流部の地下水位低下を示した地図については、各委員から「環境影響評価(アセスメント)時にJRから話は一切なかった」などとJRの対応に疑問の声が上がった。
 流量予測に関しては塩坂邦雄サイエンス技師長らが破砕帯(岩石が砕かれ、水を通しやすくなっている層)でコアを採取するボーリングを実施していない点を問題視。県有識者会議の委員が国交省専門家会議の議論を傍聴できないことについても「全面公開は県との約束事だったはずだ」と不快感を示した。

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