流域首長、川勝知事の主張支持に温度差 国交省次官と会談、ヤード工事拒否

 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川の流量減少問題を巡って10日に行われた川勝平太知事と国土交通省の藤田耕三事務次官の会談。「ヤード工事とトンネル本体工事は一体」と一貫して国交省の提案を拒否した川勝知事に対し、流域市町の首長からは賛同する声が多く上がった。一方、国交省の提案については「反対するには論拠が必要」(染谷絹代島田市長)との意見も出るなど、先の見えない議論が続く状況に温度差も生まれている。

会談の動画配信に見入る菊川市の担当職員=10日午後、菊川市役所
会談の動画配信に見入る菊川市の担当職員=10日午後、菊川市役所

 菊川市では担当職員が配信画面を通じて会談に見入った。太田順一市長は「知事はこれまでの経緯、流域市町の意見を踏まえて発言していた」と、ヤード工事を容認しない知事の主張を支持。掛川市の松井三郎市長も賛同し「掛川市は大井川の水に全てを頼っている」と改めて強調した。
 川根本町の鈴木敏夫町長は「ヤード工事には大きな環境負荷がかかる。水への影響が少ないからといって切り離すものではない」と述べた。袋井市の原田英之市長は「(今回の会談で)国と県の認識の違いがはっきりした」、牧之原市の杉本基久雄市長はヤード整備について「知事の見解は流域市町の統一見解」とした。
 一方、島田市の染谷絹代市長は国交省の提案について「(有識者会議の結果によって)坑口などの変更も約束されるのであれば、反対する理由を見つけることが難しい」と指摘。「直接国交省から話を聞きたい」とも述べた。中野弘道焼津市長は「国交省の提案をどう判断するかは県が決めるもの。引き続き有識者会議で前向きな議論を段階的に進めてほしい」と、国交省提案に対する是非には触れなかった。

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