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特集 : 大井川とリニア

川勝知事、国交省提案応じず「ヤード工事と本体一体」 次官と会談

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、川勝平太知事は10日、国土交通省事務方トップの藤田耕三事務次官と県庁で会談し、藤田氏からヤード(作業基地)の追加工事に関する同省の提案内容の説明を受けた。川勝知事は「大井川流域10市町との間でトンネル本体工事と一体だという共通認識がある」として提案に応じなかった。

リニア中央新幹線の静岡工区に関し、国交省の藤田耕三事務次官(右)と会談する川勝平太知事=10日午後5時1分、県庁
リニア中央新幹線の静岡工区に関し、国交省の藤田耕三事務次官(右)と会談する川勝平太知事=10日午後5時1分、県庁
川勝知事と藤田国交省事務次官の会談の主なやりとり
川勝知事と藤田国交省事務次官の会談の主なやりとり
リニア中央新幹線の静岡工区に関し、国交省の藤田耕三事務次官(右)と会談する川勝平太知事=10日午後5時1分、県庁
川勝知事と藤田国交省事務次官の会談の主なやりとり

 同省から本県への提案は「坑口など整備の速やかな実施を容認し、7月の早い時期をめどに必要な手続きを進める」などの内容。県は会談に先立ち、流域10市町に意向を確認したところ、提案に否定的な意見が大勢を占めた。
 会談で藤田氏は「水資源への影響が小さい範囲内で坑口の整備を進められないか」と追加工事を制限する条例の運用を変更するよう求めた。川勝知事は「合理的な提案だ」としたものの、2年前にトンネル掘削工事とそれ以外の工事を整理したことや、昨年の台風や今月の豪雨でヤードや作業道が被害を受けていることを説明。現時点で追加工事を認めたとしても、すぐに工事に着手できないとして「(提案は)現場を抜きにした空論だ」と反論した。
 藤田氏はさらに提案内容に関する具体的な懸念について、同省が流域市町に直接説明する機会をつくるよう要請した。川勝知事は同省が専門家会議の設置に関する合意事項を守っていないとし「いったん信用を失った人が説明に来ても話を聞かない」と述べた。ただ、会談終了後、県の担当者は説明について、流域市町に意向を確認する考えを示した。
 また、会談で川勝知事は、県議会の議論を引用する形で問題が解決しない場合のリニアのルート変更に触れたが、藤田氏は「議論する段階では全くない」と強く否定した。
 両者の会談は昨年10月に続いて2回目。

 ■信頼関係欠き調整できず
 川勝平太知事が10日、大井川流域10市町の意向を踏まえ、国土交通省の追加工事に関する提案に応じなかったのは、大井川の水問題に関し、県との間に信頼関係が構築できていないからだ。
 対立する県とJR東海の調整役を同省が果たせなかった要因に、水問題の対策を議論する同省の専門家会議で、県との間で約束したはずの「全面公開」に応じていないことが挙げられる。水問題を解決する方向性を示さないまま、同省が「中立だ」「掘削はしないから着工を」といくら言っても、流域住民の信用は得られない。
 リニア建設事業を推進する立場の同省鉄道局が調整を主導していることに、県民は不信感を拭えないでいる。河川管理に関わる水管理・国土保全局(旧河川局)の積極的関与を一考すべきだ。「リニア工事」を鉄道問題に重きを置いて議論する姿勢を改め、本県にとって最重要な水問題として寄り添うことが、絡み合った糸をほどく第一歩になる。

 ■JRは提案受諾
 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事のためのヤード(作業基地)工事を巡り、JR東海は10日、国土交通省が提案した2点の「着工条件」について「受諾する」とのコメントを発表した。
 国交省が提示した「大井川の水問題を議論している同省主催の専門家会議の結論が得られるなど、必要な手続きが終わるまでトンネル掘削工事に着手しない」という提案には、JRは、6月に行った川勝平太知事と同社の金子慎社長の会談を踏まえ「すでに約束している」とした。
 「専門家会議が坑口の場所や各種設備に変更の必要があると指摘した場合は応じる」との提案には、「回避したいところだが、仮に変更が必要になった場合は実施する」と答えた。

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