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工事分割、条例に反する 難波副知事、ヤード着工認めず JR「納得できない」

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少問題で、難波喬司副知事は3日、静岡県庁で記者会見し、JR東海が2027年のリニア開業時期を左右するとして6月中の着工を求めた静岡工区のヤード(作業基地)追加工事について、水問題の対策を議論する県有識者会議の結論が出るまで認められないとの見解を改めて表明した。

2018年8月にJR東海と交わした確認文書を示す難波喬司副知事=3日午後、県庁
2018年8月にJR東海と交わした確認文書を示す難波喬司副知事=3日午後、県庁
【図表】リニア南アルプストンネル工事と自然環境保全協定の関係
【図表】リニア南アルプストンネル工事と自然環境保全協定の関係
2018年8月にJR東海と交わした確認文書を示す難波喬司副知事=3日午後、県庁
【図表】リニア南アルプストンネル工事と自然環境保全協定の関係

 追加工事には県条例に基づく自然環境保全協定を締結する必要があるとした。文書で県側の回答を受け取ったJRは「納得できない」として県に再度確認する方針を示した。
 川勝平太知事と金子慎社長による6月26日のトップ会談で、知事は条例に言及して着工への同意を遠回しに否定したが、金子社長は条例の趣旨を十分理解せず伝わらなかった。JRは会談後、追加工事の可否を文書で回答するよう県に求めた。
 県によると、18年8月にJRとの間で確認文書を交わし、トンネル工事に関し「活動拠点のためのヤード造成」と「トンネル掘削工事」を別の開発行為として整理した。5ヘクタール以上の開発行為は協定締結が必要。今回、JRが求めた掘削時の水や土砂の処理装置設置はトンネル本体工事と一体で、協定締結が必要な「トンネル掘削工事」に当たるという。
 難波副知事は会見で、一つの開発行為を分割して順次認めた場合に「条例の趣旨が崩壊する」と着工を認めない理由を説明。県有識者会議が結論を出す時期について、JRのデータ開示の消極姿勢などを引き合いに「見通せない」とした。

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