リニア水問題 国交省専門家会議、静岡県推薦委員は選定せず

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、国土交通省が発足させる新しい専門家会議について、同省は16日午前、委員構成を公表した。県が公募して推薦した委員候補2人は、選定を見送った。当初の委員構成案に連ねていた森地茂政策研究大学院政策研究センター所長は、中立公正性を疑問視する県の意向を踏まえ委員から外した。第1回会議を4月最終週に、オンライン会議で開く意向も示した。

国交省が示した専門家会議の委員構成
国交省が示した専門家会議の委員構成

 県が推薦したのは稲場紀久雄大阪経済大名誉教授(環境科学)と、蔵治光一郎東大教授(森林水文学)の2人。国交省で記者会見した水嶋智鉄道局長は、見送った理由を「(県による)審査のプロセスが明らかにされていない」とした上で、同省が県に提示した委員案に、2人と同じ分野の専門家がいるためと説明した。
 森地氏に代わる委員は補充しない。県に示していた委員候補のうち、仕事の都合で参加できなくなった1人に代わり、環境省から紹介された大東憲二大同大教授(環境地盤学)を加えた。
 県の有識者会議の委員からは、森下祐一静岡大客員教授(県専門部会長)と、丸井敦尚産業技術総合研究所地質調査総合センタープロジェクトリーダー(同委員)を、県の同意を得て選定した。
 水嶋氏は委員構成について「県は国交省の判断を尊重するとのことだった」と述べ、事実上決定したとの考えを示した。
 県が求めていた生物多様性の議論をする委員については、水嶋氏は「議論を行う段階で検討する」とし、水問題の議論を優先する方針。工事で水資源に影響が出た場合の補償は「科学的、工学的な議論とは違う。別の場で議論する必要がある」とした。

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