県有識者会議の専門部会長 「国交省設置会議、公開を」

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題で、JR東海と議論してきた県有識者会議「環境保全連絡会議」の地質構造・水資源専門部会長を務める森下祐一静岡大学術院理学領域教授(65)=地質学専門=が28日までに静岡新聞社のインタビューに応じ、国土交通省が新設する専門家会議を公開で行うべきだとの認識を示した。「公開が原則であり、非公開にする科学的な理由はない」と述べた。

これまでの県有識者会議の議論について説明する森下祐一専門部会長=27日、静岡市駿河区の静岡大
これまでの県有識者会議の議論について説明する森下祐一専門部会長=27日、静岡市駿河区の静岡大

 主な一問一答は次の通り。
 ―県の有識者会議は全て公開で議論されている。国交省の専門家会議を公開する必要はあるか。
 「非公開にしたら何か隠していると思うのが人の常で、公平性は担保されない。県民や利水者が納得することが重要だ。理解を得るのにどうしたら良いのか考えた時、非公開でこっそりやって結論が出てきたとしても信用する人がいるのか」
 ―これまでの県有識者会議は科学的に議論されてきたのか。
 「専門的、科学的に議論してきて47項目が抽出された。国交省の回答文には『科学的知見等に基づきながら両者の間で真摯(しんし)な議論が行われてきた』と記されている。だとしたら、県有識者会議での従来の議論を前提にすることが最低条件だ」
 ―国交省はトンネル湧水全量の戻し方や中下流域の地下水影響について「政策的というよりも科学・工学的な課題だ」としている。
 「科学的な議論とは別に、最終的に県や利水者がどこまでなら容認できるかというのが政策的な話。このような政策的な議論は県有識者会議では一切していない。国交省の回答文には『政策的』とした理由が何一つ書かれていないので、これまでの県有識者会議の議論が科学的なのか政策的なのか、国交省は明確にしてほしい」
 ―国交省は県有識者会議について「ある意味で当事者だ」と批判している。
 「国交省やJRの設置する専門家会議であれば当事者性はないのか。ある目的や立場で議論するのであれば、問題だろう」

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