リニア 国主導新協議枠組み 知事と国交次官一致

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡る静岡県とJR東海の協議が難航する中、国土交通省の藤田耕三事務次官が24日、打開策を模索するため県庁を訪れ、川勝平太知事と会談した。2人は膠着(こうちゃく)する議論の進展に向け、国交省が主導する形で県とJRが協議する新たな枠組みを設けることで一致。詳細は国交省がJRと調整した上で後日、3者の確認文書として発表する。

知事室に入り、川勝平太知事(左端)と会談する国土交通省の藤田耕三事務次官(右から4人目)ら=24日午後、県庁
知事室に入り、川勝平太知事(左端)と会談する国土交通省の藤田耕三事務次官(右から4人目)ら=24日午後、県庁
リニア中央新幹線大井川流量減少問題を巡る国土交通省の主な動き
リニア中央新幹線大井川流量減少問題を巡る国土交通省の主な動き
知事室に入り、川勝平太知事(左端)と会談する国土交通省の藤田耕三事務次官(右から4人目)ら=24日午後、県庁
リニア中央新幹線大井川流量減少問題を巡る国土交通省の主な動き

 終了後、取材に応じた同省鉄道局の江口秀二技術審議官は「静岡県に対し、JRとしてどのようなことができるのか国交省が調整できればと思っている」と説明した。ただ、国交省側は「技術的な個々の中身についてどうこう言う話ではない」(江口審議官)として技術的問題に踏み込まない姿勢を示し、新たな枠組みの協議で対立が解消されるかは不透明だ。
 会談は非公開で約1時間行われ、県から難波喬司副知事ら、国交省鉄道局から水嶋智局長や江口審議官らが同席した。難波副知事と江口審議官が記者団に内容を説明した。
 説明によると、藤田次官は「(国交省が)議論の交通整理をするという立場で、進めさせてもらえないか」と伝えた。川勝知事はリニア事業には賛成だと強調した上で「(JRの持つ地質情報など)データの過不足も評価し、その中身をしっかりと見て行司役をやってほしい」と求めた。
 今後の協議を巡っては、拙速な議論を避けたい県側と、計画通り2027年のリニア開業に間に合わせたい国交省側の間で考え方に開きも見られた。
 川勝知事は会談終了後、JRが現在示している対策に関し、国交省としての評価を書面で提出するよう藤田次官に求めたことを明らかにした。藤田次官は対応を保留したという。

 ■解説 異例の訪問、打開本腰
 全国で大きな被害が出た台風19号の災害対応に追われる中、国土交通省事務方トップの事務次官が24日、本省を離れて県庁を訪れ、川勝平太知事と会談する異例の対応を見せた。リニア建設に伴う大井川流量減少問題では、これまで鉄道局職員が県とJR東海の協議に立ち会っただけだったが、国交省が打開に向け本腰を入れ始めたと言える。
 問題解決を重視する国交省の姿勢は評価できるが、道路や河川の公共事業整備にも影響力を持つ事務次官が前面に出て、県側の軟化を狙ったとする見方もある。大井川流域10市町長はトンネル湧水の県外流出を容認していない。水質悪化などの課題も残る。リニア建設を認可した責任のある国交省は、流域住民が納得する対策をJRに促すべきだ。(2019年10月25日静岡新聞朝刊)

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