JR東海「湧水全量回復」 姿勢転換、静岡県に方針

 JR東海のリニア中央新幹線南アルプストンネル工事(静岡市葵区)に伴う大井川の流量減少問題を巡り、JR東海がこれまでの姿勢を転換し、トンネル湧水の全量を大井川に回復させる方針を静岡県側に伝えていたことが17日、関係者の話で分かった。県の担当者が同日、利水団体の大井川流域市町を回り、JR側の方針を説明した。
  JR東海はトンネル工事に伴う流量減少量を「毎秒2トン」と試算し、湧水について「減少分を必要に応じて川に戻す」と主張。全量回復を求める県、利水団体と溝が埋まらず、流量減少対策に関する基本協定が締結できない状態が続いていた。JR側が県側の要求に歩み寄る姿勢を見せたことで、東京・品川-名古屋間で唯一未着工の静岡工区の本体工事が前進する可能性が出てきた。
  ただ、県関係者は「ただちに協定締結とはならない」と指摘。JR側と交渉を継続する姿勢を強調した。県は本体工事前に協定を結ぶようJR側に求めている。
  県は流量減少量の試算根拠を明示するよう求める質問書をJR側に送付し、今月10日までに回答するよう求めていた。県によると、17日に回答があったという。(2018年10月18日静岡新聞朝刊)

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