コロナで備蓄意識向上 3割が「買い増す」、若者や単身者に顕著
(2020/8/9 11:00)-
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛をきっかけに、家庭内の備蓄品に対する静岡県民の意識が変化している。静岡経済研究所が実施したアンケートでは、新型コロナ流行前から食料などを保管していた層を含め、全体の3割近くが備蓄を増やす意向を示した。これまで比較的関心が薄かった若年層や単身世帯にも確保の動きが広がり、全体を底上げしたとみている。
調査は緊急事態宣言解除後の5月末、静岡県民1030人を対象に実施した。同研究所によると、新型コロナ流行前からインスタント食品やレトルト食品、缶詰など保存食の備蓄に努めていたのは7割前後で、感染症の流行とともに買い増す傾向が浮かんだ。
とりわけ、若者や単身者の意識の変化が目立った。防災に詳しい同研究所の川島康明研究部長は「外出自粛で家庭内の食材消費の回転率が上がった。加えて、これまでは近所のコンビニを冷蔵庫代わりに使っていたような人にも、ある程度は備蓄しておこうとする考えが広がってきた」と分析する。
衛生用品に関しては全ての年齢層で関心が高かった。マスクは5割超、消毒液は4割超の人が備蓄を増やすと回答。爆発的な需要増と供給不足で入手困難になった経験が不安を増幅させたとみられ、品物のストック量を増やす動きにつながったという。
静岡県は7月にまとめた「避難所運営ガイドライン」で、必要な物資は可能な限り避難者自身が持参するよう市町に周知を求めた。マスクや消毒液、体温計、タオルなどの衛生用品も含まれ、避難所内での使い回しが感染の拡大要因につながりかねないとしている。
一方、衛生意識の高まりから密集状態になりがちな避難所を避けて、自宅の安全な場所にとどまったり、危険性の低い親戚、知人宅での避難生活を選んだりする人も増える見込みだ。静岡県地震防災センターの油井里美参事は「個々で対応しようとする意識が高まっている。日常生活を送る中で、それぞれがいざという時に何が必要になるか考えて、物資をそろえていく姿勢が必要になる」と話す。
■災害時 段ボール調達迅速に 静岡県と業界団体 協定
新型コロナウイルスなどの感染症対策を視野に入れた避難所運営では、密集を避けるための環境整備が求められる。鍵になるのが、間仕切りやベッドに使われる段ボール。静岡県は7月、業界団体「東日本段ボール工業組合」と大規模災害時の段ボール製品調達に関する協定を結んだ。
協定締結で、静岡県が指定する避難所に段ボールベッドなどを優先的に供給する仕組みが整った。加えて、世界的な建築家の坂茂さんが代表を務めるNPO法人「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク」とも協定を締結。坂さんが考案した避難所用間仕切りシステムの提供を受ける。
静岡県は「間仕切りやベッドは感染症対策として非常に有効。床に直接、座ったり寝転んだりすることがなくなり、衛生面も大きく向上する」(危機情報課)としている。
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