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狩野川、内水対策強化へ 台風19号で支流氾濫、減災協議会計画を策定 施設整備や住民啓発推進

(2020/6/28 16:00)
台風19号の影響で一帯が冠水した沼津市大平地区。狩野川流域では内水氾濫が相次いだ=2019年10月13日
台風19号の影響で一帯が冠水した沼津市大平地区。狩野川流域では内水氾濫が相次いだ=2019年10月13日
台風19号の影響で増水した狩野川から大量の水が放流された放水路=2019年10月12日、伊豆の国市(国土交通省沼津河川国道事務所)
台風19号の影響で増水した狩野川から大量の水が放流された放水路=2019年10月12日、伊豆の国市(国土交通省沼津河川国道事務所)

 国土交通省沼津河川国道事務所と県、東部10市町などでつくる県東部地域大規模氾濫減災協議会は2020年度、昨年10月に伊豆半島に上陸した台風19号の教訓を踏まえ、狩野川流域の豪雨対策アクションプランの策定に乗り出す。増水で狩野川本流に水が流れ込めなくなった支流や排水路から越水する「内水氾濫」の対策を強化し、被害の軽減を図る。住民の避難意識を高めるソフト対策にも力点を置く。
 台風19号は県内など東日本を中心に甚大な被害をもたらし、気象庁に「東日本台風」と命名された。狩野川では本流の堤防決壊や氾濫はなかったものの、沼津市大平地区や伊豆の国市長崎地区など支流域で内水氾濫が相次いだ。県沼津土木事務所によると、狩野川流域だけで1200棟以上の家屋が浸水被害に見舞われた。
 同協議会は、再び19号クラスの豪雨に遭っても水害を軽減できるようアクションプランの策定を決めた。流域を18地区に分け、それぞれの地形などを踏まえた対策を短期、中期、長期と段階的に講じていく実行計画を盛り込む方針。21年3月までの策定を目指す。
 既に対策の方向性を示した基本方針を決定。「河川」「流域」「ソフト」の三つの対策を柱とし、構成団体が連携しながら持続的に対策に取り組むとした。
 地区別の実行計画策定には、河川や防災分野の職員だけでなく、各市町の都市計画担当者も加わり、まちづくりの観点から地域の防災力強化を図る。県沼津土木事務所の担当者は「土地利用の段階から対策を考えることで、まち自体を災害に強くしていく」と狙いを説明する。
 河川対策では、堤防や排水機場の増強、川底の掘削などを行い、川自体の防災機能を高める。流域対策では、浸水被害を減らすため、雨水の貯留施設の整備や可搬式ポンプの導入などの取り組みを盛り込む。
 一方、ハード対策は時間も予算もかかるため、住民の防災意識を高めるソフト面の対策も欠かせない。防災教育や避難訓練、住民への情報提供の充実などを進め、住民が適切に自分の命を守る行動を取れるよう意識の向上を図っていく。
 アクションプラン策定後も毎年、各団体の取り組みの進捗[しんちょく]状況をチェックし、必要な支援を行う方針だ。
 国交省沼津河川国道事務所の阿部聡副所長は「流域全体で治水対策に取り組んでいく必要がある。各関係団体の役割を明確にした上で、取り組みを連携・連動させていくことが重要」と強調する。

 ■本流守った放水路
 昨年10月の台風19号では、狩野川放水路が機能し、本流は氾濫や堤防決壊を免れた。国土交通省沼津河川国道事務所によると、放流量は一時、毎秒約1500立方メートルに達した。放流能力は同2千立方メートルで設計されていて、同事務所は「1965年の完成以来、最大級の放流量だった」としている。
 同事務所は、放水路の開放によって狩野川本流の水位は1・85メートル低下したと推計している。放水路がなかった場合、氾濫や堤防決壊が発生し、流域では家屋1万6千棟のほか、伊豆箱根鉄道や国道136号など重要な交通網に浸水被害が出ていたと想定する。
 同事務所は「放水路は流域を狩野川本流の氾濫被害から守った」とし、被害の防止効果を約7400億円と推定した。

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