静岡新聞NEWS

トイレトレーラー、災害に威力 清潔で快適 富士市、派遣協力も

(2020/1/22 17:00)
2019年10月、台風19号で大きな被害を受けた長野市赤沼に派遣された、富士市のトイレトレーラー
2019年10月、台風19号で大きな被害を受けた長野市赤沼に派遣された、富士市のトイレトレーラー

 清潔で快適に使える移動式の「トイレトレーラー」に全国の自治体が熱い視線を注いでいる。災害時には太陽光発電で稼働でき、被災地のトイレ不足解消に威力を発揮。一般的なトレーラーと同様に、けん引式で移動しやすいメリットがあり、普及を進める一般社団法人「助けあいジャパン」(東京)によると全国で100を超える自治体が導入を検討している。
 トレーラーは約1500万円と高額だが、プライバシー面で課題があった従来の仮設トイレとは違い、防音性や遮熱性に優れる。断水時には近くの水源から揚水ポンプで給水できる。約1500回分の汚物をためられ、くみ取り式としても、マンホールに直接流して使うことも可能だ。
 富士市は、全国に先駆け2018年4月に1台を導入。昨年10月の台風19号では、大きな被害が出た長野市赤沼に約2カ月間派遣した。長野市社会福祉協議会によると、地区では床上浸水し、トイレを使えない世帯が多かった。公園にカーテンで囲まれた簡易トイレも設置されたが、プライバシーや臭いの面などで敬遠されていた。
 市社協の高野光昭課長補佐(57)は「ゆったりとしたスペースで臭いも気にならない。トイレがほとんど使えない状況だったので、トレーラーがなければ大変なことになっていた」と話す。
 昨年12月上旬、北海道沼田町の役場前にお目見えしたトイレトレーラーは高さ約3・5メートル、幅約2・4メートル、奥行き約5・6メートルで、キャンピングカーなどを販売する「ロータスRV販売」(埼玉県三芳町)が、米国の工場に委託生産している。
 洋式の水洗トイレを設置した個室4室は子どもと入れるほど広く、壁には化粧鏡も。換気扇や清掃用の排水溝も整備され、長期間使用しても衛生状態を維持できる。
 16年に内閣府がまとめた「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によると、11年の東日本大震災では一部のトイレが「排せつ物の山」となり、衛生状況は劣悪。トイレに行くのを避けるために水分摂取を控えると、脱水症状やエコノミークラス症候群を発症する恐れもあり、こうしたリスク回避につながる。
 全国の自治体で災害時にトレーラーを相互派遣できる仕組み作りを目指す「助けあいジャパン」によると、富士市のほか、愛知県刈谷市や岡山県倉敷市など計5自治体が既に導入した。
 災害時のトイレ事情に詳しいNPO法人「日本トイレ研究所」(東京)の加藤篤代表理事(47)は「移動式トイレはインフラの復旧状況が刻々と変わる被災地で、ニーズに応じて臨機応変に移動できる」と指摘。「自治体は携帯トイレの常備や、緊急時に市町村間で支援し合える仕組みを作ることが重要だ」としている。

防災・減災の記事一覧

ニュースアクセスランキング

  • 読み込み中です・・・
静岡新聞データベース

SBSテレビチャンネル

YouTube
こどもみらいプロジェクト「おやこアットエス」
静岡新聞SBSスクープ投稿
静岡新聞モバイルサイト