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道の駅、静岡県内BCPゼロ 「防災拠点」再評価、ソフト面遅れ

(2019/9/19 08:30)
静岡県内で運営中の「道の駅」の防災対応
静岡県内で運営中の「道の駅」の防災対応

 幹線道路沿いなど交通の要所にあり、ドライバーの憩いの場になっている公共施設「道の駅」。近年は地域の防災拠点としての機能が再評価される中、静岡県内で運営中の24施設がいずれも大規模災害時を想定した事業継続計画(BCP)を策定していないことが18日までに、国土交通省などへの取材で分かった。
 何らかの防災設備がある施設は8割超に上る一方、地域防災計画に位置付けられた施設は5割にとどまる。防災に関するハード面の整備に比べ、防災・減災に向けた自治体との連携などソフト面の備えが遅れている現状が浮き彫りとなった。
 道の駅は十分な広さのある駐車場や24時間使えるトイレ、情報発信機能の整備などが登録要件。発災時には道路利用者や観光客ら帰宅困難者が集まる避難場所や、物資輸送の受け入れ拠点などとして活用が進んでいる。国交省は1月から道の駅の機能充実を図るための有識者会議を開き、地域の防災拠点としてBCPの策定推進などの対応強化を検討している。
 県内で非常電源や貯水槽など何らかの防災設備がある道の駅は20施設に上るが、市町の地域防災計画に位置付けて発災時の活用を想定しているのは12施設。津波浸水区域に含まれるため、地域防災計画に組み込んでいない道の駅もある。
 国交省によると、2018年1月現在、全国の1134施設中、防災設備は793施設(約70%)にあるものの、地域防災計画に盛り込まれてるのは451施設(約40%)だけ。さらにBCPの策定は全体の1%程度と停滞する。
 宮崎大の熊野稔教授(都市計画学)は道の駅でBCPの策定が進まない理由を「自治体が意義を理解して推進することが重要だが、指定管理者制度による運営も多く、なかなか手が回っていない」と指摘。静岡大防災総合センターの岩田孝仁教授は「防災設備の整備だけにとどまらず、災害時に『誰が、どのような手順で、どの機能を立ち上げるか』といった内容を定めるBCPを整える重要性は高い」と強調する。

 ■被災経験踏まえ策定推進 北海道地震で千歳の道の駅
 国内で初めて全域停電(ブラックアウト)が起きた2018年9月の北海道地震。新千歳空港から程近い千歳市の道の駅「サーモンパーク千歳」では被災時の経験も踏まえ、改めてBCPの策定を含めた防災対策の再整備を進めている。
 道の駅を管理する市観光企画課によると、施設は揺れによる損壊はなく、発生直後から外国人旅行者らを含む多くの観光客が避難。駐車場はレンタカーで満車になり、建物内も多くの人であふれた。
 ただ、当時は十分な非常電源を備えていなかったため、影響でトイレの水が流せず、飲食店の冷蔵庫も使用できなくなった。市職員らは発電機の確保に奔走し、急きょ準備された旅行者向けの避難所への誘導に追われた。
 対応に当たった担当者は、非常時に道の駅の基本機能を優先して維持、復旧させる必要性を強調した上で、「ハード面とともに、BCPなどのマニュアルも用意し、普段から検証していくことが大事になる」と話した。

 <メモ>道の駅は1993年から、自治体や公的団体が設置者となって国交省への登録が始まった。道路利用者へのサービスに加え、近年は公共サービス機能や外国人を含む旅行客への情報発信、防災インフラとしての活用など役割が拡大。国交省の有識者会議では地域創生に向けた道の駅の「新たなステージ」の施策の一つとして、災害の頻発化や激甚化に対応した機能強化を挙げている。

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