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熊本地震断層帯に今もリスク 静岡県立大など、力の状態推定成功

(2019/9/8 08:19)
熊本地震発生後のb値の分布
熊本地震発生後のb値の分布

 2016年4月に熊本県で起きた熊本地震で、膨大な地震活動を統計的に処理する新手法を用いて、地震後の断層帯にかかっている力の状態を推定することに静岡県立大と中部大などの研究グループが成功した。断層帯で今後再び地震が起きる場合、いま大きな力がかかっている部分が震源になる可能性があるという。研究グループは「今後地震が起きる可能性が高い地域を科学的根拠に基づいてある程度事前に絞り込めた」としている。
 静岡県立大グローバル地域センター地震予知部門総括の楠城一嘉特任准教授が率いる研究グループは、小さな地震と大きな地震の発生数の割合を示す指標「b値」に着目した。一般に地殻内に大きな力がかかっていると大きな地震の発生数が相対的に増え、b値が低くなる傾向があることが知られている。
 研究グループは過去20年近くの間に起きた膨大な数の大小の地震活動を統計処理し、熊本地震の発生前にも、震源付近のb値が低下していたことを確認した。また、地震後の現在も日奈久(ひなぐ)断層帯の中央部分だけb値が低下していることから、今後も推移を監視していくとした。
 楠城特任准教授によると、断層帯や地殻内への力のかかり具合をb値で推定する手法は富士川河口断層帯や伊豆東部火山群、富士山の地下の監視などにも応用できるという。楠城特任准教授は、南海トラフ巨大地震の想定震源域の固着領域を、b値を用いて検出することにも成功している。
 楠城特任准教授は「地震予知と違い、いつ起きるかは分からないが、相対的な切迫性や地震発生の可能性が高い地域をある程度事前に絞り込める」と新手法の手応えを話す。その上で「日本はどこで地震が起きてもおかしくない。こうした情報を参考にした上で、個人や地域、行政はいつ地震が起きてもいいよう防災対策を徹底してほしい」と訴える。

 ■検証重ね、役立つ手法に 静岡大防災総合センター岩田孝仁教授の話
 近年、地震の監視観測網が充実して多くの微小地震を捉えられるようになり、b値でよりきめ細かい解析ができるようになった。これまで地震のリスクは過去の繰り返し間隔を基に評価するのが一般的だったが、それ以外の方法でリスクの高まりの程度を評価し、注意喚起できるようになる。従来の手法では分からないことも多かった伊豆半島内の断層や富士川河口断層帯など他の地域でも検証を重ね、将来さらに役立つ手法にしてほしい。

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