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冬の富士登山、死者後絶たず 10月、動画配信中の男性滑落

(2019/11/17 07:35)
「通行禁止」と記された看板が立つ富士山須走口登山道の入り口。閉山期の遭難事故による死者は後を絶たない=14日、須走口5合目
「通行禁止」と記された看板が立つ富士山須走口登山道の入り口。閉山期の遭難事故による死者は後を絶たない=14日、須走口5合目

 自らの富士登山の様子をインターネットでライブ配信中に滑落したとみられる男性が10月に死亡した富士山。夏の開山期以外の遭難事故による死者は後を絶たない。登山道は全面通行止めになっているが、登山自体は明確に禁止されているわけではない。静岡県は問い合わせがあれば登山の自粛を求めるが、強行する場合は黙認せざるを得ないのが現状だ。
 「万全な準備をしない者の登山禁止」。県や環境省などでつくる協議会が夏山以外の富士山に関して定めるルールの一つ。ルールを伝えるチラシには「登山はあくまで自己責任」との記載もある。
 県道である登山道は開山期以外、道路法の規定により通行止めとなり立ち入りが禁止されている。だが、県としては国などが所有する山体部分など他のエリアへの立ち入りは制限できない。
 閉山期の富士山は山岳遭難事故のリスクが高い。静岡地方気象台によると、昨年11月の山頂の平均気温はマイナス8・6度。12月の山頂について風速は最大29メートル、平均13・9メートルとの記録も残る。山小屋は閉鎖され、携帯電話は通じにくいなど安全確保が難しい。県警によると、静岡県側の閉山期の遭難事故は13年以降、年9~19件で推移。14年には6人が亡くなるなど毎年死者が出ている。
 県富士山世界遺産課は遭難事故防止対策の強化が必要との認識を示すが、手段を増やして「危険性を訴え続けるしかない」と話す。県警地域課の担当者は「(登山を)絶対駄目とは言う立場にない」とする一方、事故によって出動を迫られれば「救助隊員にも危険が及ぶ可能性がある」と複雑な心境を漏らす。
 雪山は最も危険が高まる。小山町のガイド集団「やまぼうし」の米山千晴代表(68)は、積もった雪の表面は凍りやすく滑落の恐れがあると指摘。「冬の富士山は夏の富士山とは違う。ヒマラヤ級」と警鐘を鳴らす。

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