山口組組長ら浜松に集結 警戒区域外、規制逃れ会合
分裂抗争事件が続く指定暴力団の山口組と神戸山口組の対立の収束が見通せない中、山口組が13日、浜松市中区の同組国領屋一家本部事務所で会合を開いた。暴力団対策法に基づき、活動を厳しく制限する「警戒区域」が全国各地で設定されて以降、同組は静岡県を含む警戒区域外で規制を逃れて集会を開いているとみられる。
この日は早朝から、山口組関係者を乗せたとみられる県内外のナンバーの乗用車が続々と事務所内に入った。篠田建市(通称・司忍)組長が到着すると、組ナンバー2の高山清司若頭らが出迎えた。静岡県警などの警察官約50人が警戒に当たり、周辺は物々しい雰囲気に包まれた。
会合は例年12月13日に「直参」と呼ばれる直系組長が集まる事始め式とみられる。通常は神戸市の総本部で開かれるが、暴対法の規制で会場を変更せざるを得ない事情がある。
兵庫、愛知など10府県の公安委員会は2020年、抗争を繰り返す両組を、市民に危害を及ぼす可能性があるとして、特定抗争指定暴力団に指定した。10府県では傘下組織事務所などが立地する市町を警戒区域に設定し、区域内で組員5人以上の集合や事務所への立ち入りを禁じている。
関係者によると、警戒区域外の浜松市の国領屋一家本部事務所は交通利便性や建物の広さなどを理由に、会場になったとみられる。同事務所には20年12月と今年5月にも組幹部が集まった。地元住民の1人は「抗争になれば、市民が巻き込まれかねない。暴力団追放運動の先駆けの浜松が集会場になるのは受け入れられない」と不安そうに話した。
捜査幹部は「引き続き情報収集に努める」と気を引き締める。