問われる「林地開発許可」熱海・土石流、繰り返すな  宮城のメガソーラー計画「ずさん」

 福島県境に接する宮城県丸森町で、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設計画が進められている。山林約55ヘクタールを開発する一大プロジェクト。地元住民は災害発生への懸念から事業に反対してきたが、熱海市伊豆山の大規模土石流を受けてさらに反発を強めている。一方、宮城県は森林法に基づき計画を認めた。現地を訪ねると、林地開発許可を巡り、本県にも通じる課題が浮き彫りになった。

太陽光発電事業で大規模開発が予定されている一帯。下流には集落があり住民は土砂災害の発生を懸念している=11月下旬、宮城県丸森町
太陽光発電事業で大規模開発が予定されている一帯。下流には集落があり住民は土砂災害の発生を懸念している=11月下旬、宮城県丸森町
大規模太陽光発電が計画されている宮城県丸森町の耕野地区
大規模太陽光発電が計画されている宮城県丸森町の耕野地区
太陽光発電事業で大規模開発が予定されている一帯。下流には集落があり住民は土砂災害の発生を懸念している=11月下旬、宮城県丸森町
大規模太陽光発電が計画されている宮城県丸森町の耕野地区

 「あまりにも計画がずさん」。事業に反対する住民団体の義高光さん(54)=同町耕野=は憤る。住民団体の資料によると、計画が浮上したのは2019年夏ごろ。開発区域に約6万枚の太陽光パネルを敷き詰め、山の保水力を維持するため調整池を2カ所造成する。総容量は25メートルプール76杯分に相当する4万5千立方メートルに上る。
 住民らが最も懸念するのは、土砂災害の発生だ。同町は同年10月の台風19号で土砂災害が多発し、死者・行方不明者11人、全壊家屋100棟など甚大な被害が出た。調整池は「50年に1度」の大雨になると越水し、計算上、毎秒13トンの水が流下する。下流には小学校やまちづくりセンターもある。義高さんは「排水経路は沢や側溝しか想定されておらず、到底理解できない。災害リスクは増大する」と批判する。
 町議会は昨年、地元住民の意向を受け事業に反対の請願を採択し宮城県に提出した。だが、県は今年7月、森林法に基づく林地開発を許可した。県の担当者は「技術基準を満たす以上、許可せざるを得ない」と話す。排水機能については「豪雨時は森林があっても排水設備の処理能力を超える」とする。業者は「取材には応じられない」と語る。
 本県でも、函南町や伊東市での大規模太陽光発電所計画で地元の強い反発がある中、林地開発が認められた。熱海市の土石流では林地開発を巡り業者の違反が判明。県の指導で是正されたものの、源頭部の開発が甚大な被害につながった。義高さんは「同じ災害を繰り返してはならない。林地開発許可制度は機能しているのか、あり方を抜本的に見直すべきだ」と訴える。

 <メモ>宮城県丸森町は、再生可能エネルギー発電施設の設置に関する規制強化の条例改正を行う。18日開会の町議会12月定例会に上程する計画で、発電出力が一定規模以上の事業を対象に開発できない「禁止区域」を新設する。ただ、林地開発を巡っては事業終了後の原状回復に関する法的な規制や義務がなく限界がある。太陽光パネルや調整池などの構造物が放置される懸念が残り、静岡県の担当者は「森林法にとどまらず、国土利用をどうするかという視点で関係法令を整理することが必要だ」と指摘する。

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