辞職勧告決議も続投 川勝知事の失言騒動で見えたものは?

 静岡県政史上初となる知事辞職勧告決議案可決後、最初の議会となる県議会12月定例会の論戦が始まった。辞職勧告決議後にも、過去の女性差別とも取れる発言が問題化し、県議会の追及は収まる気配がない。知事のいわゆる「コシヒカリ発言」に端を発した政局は、県政に何をもたらしたのか。議会が行政を監視する健全な二元代表制が機能したのか、過度な対立による県政の停滞か。辞職勧告決議の意味を考える。

県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁
県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁
県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁
県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁
県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁
県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁
県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁
県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁
県政史上初の辞職勧告決議後、県議会12月定例会の論戦に臨む川勝知事=7日午前、県庁

 辞職勧告決議後に開会した先月29日の県議会12月定例会の冒頭、川勝平太知事は「即刻、辞職すべき身になった」としながらも辞職しないことを明言した。辞職勧告決議に法的拘束力がないからだ。地方自治法に明記された「不信任の議決」に基づく不信任決議と異なり、辞職勧告は法律上の規定がなく、あくまで政治的な意思表明。都道府県知事に対する辞職勧告決議案が可決されたのは川勝知事を含め戦後7例だが、辞職したのは3例にとどまる。
 今回の政局は、県議会最大会派の自民改革会議が法的拘束力のある不信任決議案を提出する方針を示したことで一気に熱を帯びた。辞職勧告決議は過半数の賛成で可決するが、不信任決議は出席議員の4分の3以上の賛成が必要。可決すれば知事は議会を解散しなければ自動失職する。自民会派は結局、不信任決議案が否決された場合、「信任」と受け止められる恐れがあるとして、確実に可決できる辞職勧告を選んだ。
 6月の知事選で4選を果たしたばかりの知事の辞職を求めることの是非には議論がある。知事を辞めさせるには、有権者にも解職請求(リコール)という手段があるが、選挙から1年間は法律上できない。県議会の不信任には期間の制限がなく、県民の代表たる県議会の権限の大きさが分かる。
 ただ、現在の県議会を構成する県議を選んだ民意は2019年4月の県議選による。自民会派は知事選に推薦候補を擁立して敗れているだけに、直近の民意という意味では知事に分があるともいえる。リコールすら認められていない選挙後1年以内に知事の辞職を求めるには、県民を二分する政策上の対立などそれ相応の理由が必要といえるが、今回の失言がそれに当たるかは議論は分かれるだろう。
 知事と議会には一定の緊張関係が求められる。議会の多数派と首長が一体化した場合、「なれ合い議会」になり、二元代表制が健全に機能しない可能性があるからだ。その一方で、過度な対立は県政運営の停滞を招きかねない。知事と議会の対立が県民にとって有益なのかどうか、有権者がしっかりと監視していく必要がある。(政治部・市川雄一)

 ■政治的意思表明 あっていい
 静岡大の井柳美紀教授(政治学)の話 
 辞職勧告決議は地方自治法にも明文化されていない政治的な意思表明。望ましくないとする専門家もいるが、議会は法や条例などルールを決める立場であり、政治的な意思表明はあってもいいと考える。ただ、辞職勧告は重みがあるので乱用されるべきではない。中身は精査される必要がある。
 民意の選択を覆すのは大きなことなので、失政が基本になるが、失言は資質や政策に結び付くこともある。いずれにしろ、議会が有権者に納得できる説明ができるかどうかにかかっている。
 二元代表制でねじれが生じるのは選挙制度の問題がある。全県選挙の知事には大胆なリーダーシップを求める傾向があるが、市区町の範囲で選ぶ県議は地域の利害を代表しがちで、両者の民意が異なるものになるのは、制度上の背景もある。

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