地域防災訓練、想定多様に 5日、2年ぶり静岡県内で本格実施

 静岡県内各地で12月5日に地域防災訓練が行われる。昨年は新型コロナウイルス感染拡大で大半の市町が中止したため本格実施は2年ぶり。コロナを見据えた避難所運営のあり方を確認するほか、熱海市伊豆山の大規模土石流を受け、土砂災害を想定する地域がある。一方、一般住民は参加せず、自主防災組織(自主防)の役員のみの訓練にとどまる所も存在し、長引くコロナ禍が地域の防災力向上に影を落としている。

富士山噴火を想定し行われた避難訓練=11月下旬、御殿場市
富士山噴火を想定し行われた避難訓練=11月下旬、御殿場市

 県によると、今年の地域防災訓練には全35市町で約34万人が参加する。昨年の約17万人から倍増した。各地で津波避難や医療機関との連携、ヘリコプター運用訓練などが展開される。
 地域防災訓練は南海トラフ巨大地震を想定するのが従来の形式だが、今回は異なる想定で実施する地域が出ている。浜松市西区の志都呂町自主防災隊は、土砂災害を念頭に土砂災害警戒区域の住民を対象に安否確認を行う。田沢健司隊長(69)は「熱海市の土石流災害があり地域の関心が高い。対応を確認する必要がある」と語る。河津町でも土砂災害防止をテーマにした出前講座が予定されている。
 御殿場市は他市町に先駆けて11月末、富士山噴火を想定し広域避難訓練を時之栖区で実施した。住民がバスや自家用車で避難する方法を確認した。自主防災会の池谷昇会長(64)は「短時間で避難する必要性を共有するきっかけになった」と成果を語った。
 一方、コロナ感染への懸念から訓練規模の大幅縮小や、一般住民は参加せず自主防役員のみでの実施とする地域も多い。地域防災訓練には例年70万人以上が参加していたが、今回は半分程度にとどまる。
 県の杉山隆通危機報道官は「対面で訓練が行えるのは貴重な機会。熱海の経験を生かし、地域の防災に関する意識やノウハウを再確認してほしい。一般住民が参加できる地域は積極的に臨んでもらいたい」と呼び掛けている。

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