盛り土新条例、業者に住民説明義務付け 静岡県が骨子案
静岡県は29日、熱海市伊豆山の大規模土石流を受けて、盛り土の規制を強化するために策定を目指している新条例の骨子案を示した。土地を改変する業者に対し、説明会などを通じて周辺住民への事前周知を義務付ける内容を盛り込んだ。盛り土崩落などの危険性が切迫し、業者が行政命令に従わない場合は土地所有者に対策を命じられる独自の条文を定める方針も明らかにした。
同日から12月28日まで、県民から意見を募るパブリックコメントを実施する。
新条例案では、対象の盛り土を「面積1千平方メートル以上または土量2千立方メートル以上」と定める方針。届け出制を許可制に改め、同条例違反で処分を受けていたり、暴力団員に該当したりしている場合などは許可しない。
業者には土地所有者の同意のほか、土砂搬入量を1日ごとに記入する管理台帳の作成、搬入前土砂の環境基準確認なども義務付け、工事完了までの間に半年に1度の定期的な報告を求める。行政命令を出す場合、現行条例は業者名の公表が難しかったが、新条例案は「公表できる」と明記する。危険が迫っている盛り土の周辺を土砂等搬入禁止区域に設定し、搬入を止められるようにする。
県土地対策課は「業者のハードルは高くなるが、先行する三重県などで実施されている」と理解を求める。