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特集 : 福祉・介護

利用証掲示せず、平然と 障害者優先「ゆずりあい駐車場制度」モラル頼み【NEXT特捜隊】

 「障害者用駐車場に平然と車を止める人が後を絶たない」―。8月、読者投稿欄「ひろば」にこんな投稿が掲載されたことをきっかけに、さまざまな声が寄せられた。静岡県は、あらゆる理由で歩行困難な人が駐車しやすくする「ゆずりあい駐車場制度」に基づく利用証の掲示を呼び掛けているが、浸透していないのが実情だ。どうすれば適正利用につながるのか。関係者に意見を聞いた。

車いす利用者の乗降はドアを全開にする必要がある。「スペースを確保してほしい」と当事者は訴えている=11月中旬、静岡市駿河区のアピタ静岡店
車いす利用者の乗降はドアを全開にする必要がある。「スペースを確保してほしい」と当事者は訴えている=11月中旬、静岡市駿河区のアピタ静岡店
ゆずりあい駐車場の利用証。左は車いす利用者、右はさまざまな障害や病気を抱える人、高齢者、妊産婦らに交付される=11月中旬、県庁
ゆずりあい駐車場の利用証。左は車いす利用者、右はさまざまな障害や病気を抱える人、高齢者、妊産婦らに交付される=11月中旬、県庁
車いす利用者の乗降はドアを全開にする必要がある。「スペースを確保してほしい」と当事者は訴えている=11月中旬、静岡市駿河区のアピタ静岡店
ゆずりあい駐車場の利用証。左は車いす利用者、右はさまざまな障害や病気を抱える人、高齢者、妊産婦らに交付される=11月中旬、県庁

利用証≠許可証


 「『あるある』ですね」。障害者支援施設を運営する「ひまわり事業団」(静岡市駿河区)を訪ねると、車いすを利用する職員らが声をそろえた。村松雅也さん(50)は「特にスーパーは利用証のない車が止まっていることが多い」と嘆く。大川速巳さん(52)は「駐車場が空いていることを前提にして出掛けない」とも。気軽に止められないよう施設側の善意で置かれている三角コーンを移動させる手間を考えて、あきらめることもあるという。
 県内では、障害のある人が優先的に使える駐車スペースを確保しようと、2013年に「ゆずりあい駐車場制度」が始まった。車いす利用者には赤色、そのほかの障害や病気を抱える人や「要介護2」以上の高齢者、妊産婦らには緑色の利用証を交付する。利用証は駐車時にルームミラーに掛けるなどして掲出する。県内だけでなく、同様の制度がある40府県で利用可能だ。県地域福祉課によると、利用証は10月末までに約4万9000枚が交付された。ただ、「許可証」ではないため、実際には誰でもゆずりあい駐車場が利用できてしまう。
 現在、ゆずりあい駐車場はスーパーや大型商業施設、金融機関など県内約1700カ所にあり、行政から提供されたステッカーなどで示されている。車のドアを全開にすることなどを考慮し、幅は通常より広い3.5メートル程度。ほとんどの場合施設入り口近くに整備されている。このため、雨の日などは一般車両が増えるという。苦情を受けて、その都度館内放送で注意を呼び掛けたり、警備員が見回りをしたりする施設もある。


近くなくても


 「制度がナンセンスだと思います」。障害者の移動支援事業などを行う「太陽ホスピタリティー」(藤枝市)の山内達仁代表(57)は、そう意見を寄せた。既存の車いす利用者用の駐車場をゆずりあい駐車場に変えたケースが少なくなく、「障害者同士のゆずりあいでしかない」とみる。車いす利用者の乗降には広いスペースが必須で、駐車場がないために予定をキャンセルせざるを得なくなった人を多く見てきたという。その上で、車いす利用者にとって入り口近くに専用駐車場があることはさほど重要でないとし、「遠くても、平らで、雨の日の乗降時にぬれないよう屋根があるといい。車いす利用者専用のスペースは確実に設けるべき」と注文する。
 自身も車いすを利用するひまわり事業団の小久江寛理事長(59)は「そもそも障害者らが自ら申告しないと快適に生活できないような世の中は違和感を感じる。行政や企業には、ルールやマナーを守ってほしい人たちに向けた啓発を積極的に続けてほしい」と訴える。


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