知事と自民、融和遠く 識者「歩み寄り必要」【知事辞職勧告可決】

 川勝平太知事の御殿場市をやゆした「コシヒカリしかない」発言に端を発する知事と県議会の対立は、県政史上初となる知事辞職勧告決議の可決にまで至った。臨時会閉会後に続投を表明した川勝知事は「ノーサイド」を強調し、6月の知事選以降強めてきた自民党への対決姿勢を“封印”。一方の自民は「議会に対して身の処し方を示した段階で対応を考えたい」と態度を保留し、“戦い”を終えても和解ムードはなかった。

宮沢正美県議会議長(左)から辞職勧告決議書を手渡される川勝平太知事=24日午後3時ごろ、県庁
宮沢正美県議会議長(左)から辞職勧告決議書を手渡される川勝平太知事=24日午後3時ごろ、県庁


 「生まれ変わったような人間になる」。臨時会後に記者団の取材に応じた川勝知事は改心を誓った。それに対し県議会最大会派の自民改革会議の野崎正蔵代表は「これまで『仏の川勝になる』などさまざまな言葉があったが、実践できていない。言葉だけで信頼できる状態にはない」と突き放した。
 これまでも選挙や発言を巡り対立してきた両者だが、6月の知事選後、川勝知事は「ノーサイドというわけにはいかない」と過去3度の選挙後とは態度を変え、対決姿勢を鮮明にした。知事に近い関係者によると、リニア水問題を巡り自民がリニア推進の立場であるにもかかわらず、その推薦候補が工事中止やルート変更に言及した矛盾への不信感がきっかけになったという。川勝知事は続く参院静岡選挙区補欠選挙で自民の対立候補を支援し、初めて応援演説に立った。コシヒカリ発言は自民候補をおとしめる狙いから出た発言だった。
 対立の影響は県政にすでに出ている。県は最上位計画である総合計画の改定作業を進めるが、自民側は異例の全面見直しを求め、11月中に予定していた議員側への説明会開催が宙に浮いている。県議会で過半数を握る自民会派の賛同は県の施策実現には必須。野崎代表は「県民の生活に支障をきたすようなことはしない」とすべての施策に反対するような行動は取らないとしつつも、浜松市の新野球場や東静岡の県有地整備など知事肝いりの政策を例示し、「われわれの意見が反映されているのかを含めて議論したい」と県当局をけん制した。
 識者からは両者の歩み寄りが必要との声が聞かれる。静岡大の井柳美紀教授(政治学)は「今回の辞職勧告は政策上の理由ではない。県政運営に関してはお互いノーサイドで県民の側に立ってほしい」と指摘する。一方、県立大の前山亮吉教授(政治学)は「この決議で知事と自民の対話の幅は狭まる」と今後の県政運営に懸念を示した。

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