コーヒーかすを菓子に再生 沼津の企業、発酵の力でチョコ風仕上げ

 沼津市の食品開発会社「ソーイ」が、通常は廃棄されるコーヒーかすを発酵させてチョコレート風の菓子に生まれ変わらせる取り組みを始めている。未利用資源を、素材はそのままに新たな価値を付けて再生させる「アップサイクル」の一環で、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献を目指す。同社によると、コーヒーかすを食品化する“完全循環型”の商品開発は世界でも例が少ないという。

コーヒーかすを発酵させて作った菓子と飲料を紹介する石垣哲治社長(左)と杉山大和オーナー=11月上旬、沼津市のライラックコーヒーロースター
コーヒーかすを発酵させて作った菓子と飲料を紹介する石垣哲治社長(左)と杉山大和オーナー=11月上旬、沼津市のライラックコーヒーロースター
液体状に加工したコーヒーかすの発酵工程(ソーイ提供)
液体状に加工したコーヒーかすの発酵工程(ソーイ提供)
コーヒーかすを発酵させて作った菓子と飲料を紹介する石垣哲治社長(左)と杉山大和オーナー=11月上旬、沼津市のライラックコーヒーロースター
液体状に加工したコーヒーかすの発酵工程(ソーイ提供)

 「捨てるという概念を持たない。創業からのもったいない精神」。同社の石垣哲治社長(55)が取り組みの狙いを語る。同社は1984年の設立時から発酵製品の開発や技術提供を行ってきた。SDGsの機運の高まりを背景に、食品廃材をアップサイクルしてごみゼロを目指すプロジェクト「アップゼロテック」を始めた。
 第1弾として、多くが廃棄されるコーヒー抽出後のかすに着目。同市のコーヒー店「ライラックコーヒーロースター」と連携し、同店で出たかすを液体状に加工して発酵させ、固めた菓子「コレハ」を開発した。微生物の分解作用で栄養成分が増し、酸味のきいた味に仕上がった。
 コーヒーかすは国内で脱臭剤や飼料、国外で洋服などに活用する例があるが、含水率が高いため、乾燥工程で多くの二酸化炭素を発生させるという。発酵による処理で乾燥工程を省くことが可能になり、環境にも配慮した。同店の杉山大和オーナー(48)は「捨てる物が発酵の力で食品に戻る。可能性のある取り組み」と話す。
 同社はコーヒーかすを発酵させた液体をお湯に溶かしたコーヒー飲料も開発。今後はビールの醸造過程で生じるモルトかすやカカオの殻など、さまざまな食品廃材の再生に挑戦するという。石垣社長は「食品は全てが資源という考えのもと、対象を広げていきたい」と意気込む。

 ■効率的な食循環 環境負荷を軽減 県立大・原准教授
 微生物を活用した発酵による未利用資源の食品化の取り組みについて、県立大食品栄養科学部の原清敬准教授(応用微生物学)は「食循環を効率的に行うことができ、食品生産における環境負荷を減らせる」と期待する。
 11月上旬に、富士市の「富士かぐや蒸溜所」がサンドイッチ製造で生じるパンの耳を活用した第三のビールを発売した。原准教授は、県工業技術研究所、はごろもフーズ(静岡市駿河区)と協働し、工場で発生した食品廃棄物を発酵させて生じた有価物を抽出し、食品分野に応用する研究を進めている。
 食品は化成品と比べて再利用が難しく、現在は肥料や飼料での活用が主流だという。原准教授は「家畜や作物を経由すると資源のロスは増える。物質収支の観点からも、人が直接食べられるメリットは大きい」と評価する。

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